市井の人の魅力を引き出す人間力
NHK『鶴瓶の家族に乾杯』(月曜午後8時)が10周年を迎えた。長寿化は人気の表れ。視聴率は今も、10%前後からそれ以上を得ており、安定している。番組を成功に導いたのは、笑福亭鶴瓶(63)の人間性にほかならないだろう。
原型のスペシャル番組『さだ&鶴瓶のぶっつけ本番ふたり旅』の放送開始からは20年。スタート当初は、さだまさし(63)と鶴瓶の2人で地方を訪れていたが、4回目以降は鶴瓶とゲストとの旅に。ただし、番組の真の主役があくまで市井の人であるところは一貫している。
昭和の視聴率王・萩本欽一(74)には「素人の面白さにプロは勝てない」という持論があるが、『鶴瓶の家族に乾杯』に登場する人たちは確かに面白い。登場する人や家族それぞれに違った個性と本物のドラマがあるから、見入ってしまう。その素顔をいとも簡単に引き出しているのが鶴瓶だ。ほかの人には真似の出来ない芸当だろう。
人はカメラを向けられただけで構えてしまいがちだが、鶴瓶がそうさせない。瞬く間に相手の懐に入り、打ち解けてしまう。緊張も警戒もさせない。ゲストもまた鶴瓶が一緒なので、この番組に出演するときは普段より自然体に近いように見える。
鶴瓶と一緒にいると誰もが自然体になってしまうのは、鶴瓶が人間を肩書きや経済力、容姿など表面上のことで判断しないからではないか。鶴瓶は人の値打ちを内面で測る。だから、相手は肩に力が入らないのだと思う。虚勢を張っても仕方がないのだから。
鶴瓶自身も自分を飾らない。超が付くほどの売れっ子である上、上方落語協会副会長であり、さらにはブルーリボン賞主演男優賞などの受賞歴もある名優でもあるのだが、偉そうな素振りは微塵も見せない。万一、鶴瓶が尊大だったら、『家族に乾杯』は成立しないはずだ。
では、鶴瓶が人間を測る物差しは何か。それは個人が持つ愛情の量や誠実さ、やさしさではないだろうか。本人は2013年9月に『あさイチ』(NHK)に出演した際にも「人生は愛」と語っている。
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