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<宮城豪雨>堤防に水染み込み強度弱まる?

 記録的豪雨により宮城県大崎市古川の渋井川で3カ所発生した堤防決壊について、増水のため高い水位が長時間続き、堤防内に水が染み込んで強度が低くなった可能性が高いことが、宮城県や専門家への取材で14日分かった。渋井川を管理する県は詳しい原因を調査し、本格的な堤防復旧を進める。

 堤防決壊の原因は一般的に(1)川の水が浸透し強度が落ちる(2)急流が内側を浸食する(3)越水して外側から削る−の3パターンがある。
 現地調査した東北大災害科学国際研究所の呉修一助教(水工学)によると、堤防3カ所の決壊幅は下流側から40メートル、15メートル、17メートル。住民の証言と合わせて、呉助教は11日午前4時前後に下流側から決壊したとみる。
 川は決壊箇所付近はほぼ直線。カーブなどで急流が直撃する地点ではなく、水が外側にあふれた痕跡もなかった。合流する多田川の水位上昇で渋井川の水が行き場を失い、急激に増水した可能性があるという。
 呉助教は「急な増水による水の浸透で破壊されたと考えるのが妥当だ。下流から2カ所目の地点はやや湾曲し、水の力が集中したかもしれない。堤防の土の透水試験などで、詳しく調べる必要がある」と話す。
 県の調査でも、越水の跡は確認できなかった。堤防の最上部から60センチ以上余裕があったとみられ、県河川課は「浸透による決壊の可能性が大きいが、あらゆる要因を検証する」と話す。
 東日本大震災の強い揺れによる影響については「震災後の調査結果は問題なかったが、当時何を調べたのかもう一度検証する」(県河川課)と言う。
 決壊箇所では県の依頼を受けた東北地方整備局が緊急復旧工事を代行。14日午後、土砂で埋める工程を終えた。川側をコンクリートブロックで覆い、16日に完了する。


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2015年09月15日火曜日

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