安保法案:参院委、今夜にも採決 野党は抵抗の構え
毎日新聞 2015年09月16日 11時44分(最終更新 09月16日 12時51分)
安全保障関連法案を審議する参院平和安全法制特別委員会は16日午後、安倍晋三首相が出席して締めくくりの質疑を行う。自民、公明両党は、質疑打ち切りに反対する民主、維新、共産党などの対応を見極めたうえで、同日夜にも特別委で採決に踏み切る構え。これに対し、民主など野党6会派の参院国対委員長は同日午前、国会内で会談し、同日の特別委開催を認めないことで一致した。安保関連法案の採決を巡る与野党の攻防は激しさを増している。
民主党の榛葉賀津也参院国対委員長は会談後、「27日の会期末まで10日以上あるのに、なぜ慌てて締めくくりの質疑をするのか。国会、国民を愚弄(ぐろう)するものだ」と記者団に語った。同党は、16日の特別委を開催させないため、委員会室前で委員長の入場を阻止するなど物理的な抵抗も検討している。
安住淳国対委員長代理も16日午前の記者会見で「議論すればするほど法案のほころびが出るので封印する形だが、逆に国民の怒りに火が付く。可能な限り抵抗をしたい」と述べた。岡田克也代表は同党の緊急集会で「私たちの後ろには説明不足と考える8割の国民、今国会の法案成立に反対する6割の国民がおり、民意をしっかり体現したい」と強調した。
一方、自民党の谷垣禎一、公明党の井上義久両幹事長らは16日午前、東京都内で会談し、今週中に安保関連法案を成立させる方針を確認した。
首相と公明党の山口那津男代表は16日午前、日本を元気にする会、次世代の党、新党改革の野党3党の党首らと国会内で会談し、自衛隊の海外派遣の際に国会の関与を強める閣議決定などを行うことで正式合意した。首相は「安全保障に関わる法案はできる限り多くの党の支持を得たいと思っていた。自衛隊もスムーズな活動に専念できる」と首相官邸で記者団に語った。野党3党が安保関連法案に賛成することになり、与党は特別委での採決の環境は整ったと判断している。
与野党5党首の合意では、中東・ホルムズ海峡での機雷掃海を念頭に、日本が攻撃される明白な危険がないのに集団的自衛権を行使する場合、「例外なく事前承認を求める」ことなどを国会の付帯決議で採択し、閣議決定で担保する。
特別委は16日午後1時から2時間半、横浜市で地方公聴会を開催。午後6時から、締めくくりの質疑を2時間行う。野党が特別委に出席した場合、与党は採決を17日に先送りし、同日中の参院本会議で可決、成立させたい考えだ。ただ、与党が採決に踏み切れば、野党は衆院で内閣不信任決議案、参院で首相や閣僚の問責決議案を提出して徹底抗戦する方針で、成立は18日以降にずれ込む可能性がある。【水脇友輔、佐藤慶】