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 自民、公明両党は15日、消費増税の負担軽減策として軽減税率の導入を再び検討することにした。財務省が提案したマイナンバー(社会保障・税番号)のカードを活用した「2%還付案」に公明党の反発が強いためだが、自民党は事務負担の増加などから軽減税率導入には否定的だ。堂々巡りの議論となるのは必至で、着地点は見えない。

 「公明党からは批判的な意見しか出ていません」。公明の斉藤鉄夫税調会長は15日、国会内で開かれた与党税制協議会で、財務省が提案した「2%還付案」に批判的な党内の状況を報告した。

 公明は直近の国政選挙で目玉公約として軽減税率を掲げてきた。加えて世論に敏感な体質を持つ。朝日新聞が12、13両日に行った全国世論調査(電話)では、財務省の還付案に反対が54%で、賛成の35%を大きく上回った。こうした世論の状況も、党内の反発が収まらない背景にある。

 与党協議に先立って開かれた公明の税制調査会総会でも、前回に続いて反対意見が相次いだ。

 「還付案が機能するか疑問だ」「痛税感の緩和効果が少ないのではないか」

 山口那津男代表は会合で「軽減税率制度についても引き続き検討していくべきだ」と表明。この発言をきっかけに、今後の与党協議では軽減税率の導入も再検討するよう求める方向が定まり、自民も議論することを受け入れた。

 ただ、軽減税率の導入を譲れないとする公明に、与党協議の「出口」が描けているわけではない。

 公明は消費税率が8%から10%に引き上がる2017年4月からの軽減税率導入を目指す。山口氏は15日の記者会見で「10%の引き上げと恒久的な逆進性緩和策は、セットで論じていく必要がある」と訴えた。

 それに合わせるには、今秋には基本的な制度設計で与党合意しないと間に合わせることが難しい。この日の与党協議では、公明側から「家を出るには次の家が見つかっていないといけない。野宿は困る」との意見もあり、財務省の還付案を頭ごなしに否定できない状況にもある。

 財務省案への批判が相次ぐなか、麻生太郎財務相はこの日の会見で「(財務省案に)こだわるつもりは全くありませんから」と語った。一方で、「もっと簡単な案があるなら、我々には考えられなかったんで、ぜひお考えいただいたらいい」と突き放した。