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ひさしぶりに姉と出会いました。意図した邂逅ではなく、偶然、エレベエタアのまえで鉢合わせてしまったのです。
2人のポケットモンスタア(子供)を従えた姉は、威風堂々とエレベエタアに乗り込んで参りました。
僕がやあと笑顔を向けると、姉はしげしげとこちらを眺め、快活な、歯切れのよいサバサバとした口調でこうおっしゃりました。
「なに、その安っぽいメガネ」
世間にあまたいる「姉」という生き物は、数ヶ月ぶりに再会した実の弟に対して、この様な物言いをするものなのでしょうか。
子は親の背中を見て育つと申します。姉の傍若無人な言動は、子供たちにどう映っているのでしょう。僕は2人の子供の行く末が心配でなりません。
僕は、心臓を射抜かれたような衝撃を静かに押しころし、口のなかでモゴモゴと言い訳を述べたように思います。
そして姉と2匹のモンスタアは去って行きました。入ってきたときと同じように、慌ただしく去って行ったのです。
ジンズ(JINS)の眼鏡は安っぽいのだろうか。僕は姉の発言を独り心のうちで反芻しました。
たしかに価格がリイヅナブルなのは事実です。しかし、安っぽいとまで断罪するのは如何なものでしょう。
僕はジンズのかけ心地の面では十分に満足しております。
なぜならば、勤め先のお得意様が愛用されているクロムハアツという20万円のメガネを試着させて頂いた折、さほど変わらないな、という印象を持ったからです。
また、見た目もそこまで違うとは思いません。そもそも見ただけでプライスの高低が判別出来るほど眼鏡は単純ではない、というのが僕の出した結論でありました。
姉の考えはこうです。
「お、こいつ生意気にメガネをかけているな、どうせ安物だろう、ちょっと揺さぶりをかけておくか」
いくら強い言葉を使っても、彼女の発想は所詮その程度のものなのです。若いころは可愛いと、そして現在は美人だと世間にちやほやされるせいで、ひねくれた性根になってしまったのでしょう。
幼いころは、もやしのようにか弱く、勉学に勤しんでいた姉は、変わってしまわれました。弟は嘆かわしく思っております。
個人的にジンズ(JINS)のメガネには満足しております。そろそろ2本目が欲しくなって参りました。なんと言いますか、心持ち、女子の方々にモテているような錯覚もあります。
遠くもハッキリ見えますし、たびたび置き忘れることさえ気をつければ、こんなに便利なアイテムはありません。
下記のリンクにて、眼鏡を購入した顛末を綴っております。宜しければ合わせてお読み下さいませ。