北朝鮮のミサイル発射示唆 南北関係への影響は?

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が10月10日の朝鮮労働党創建70周年に合わせ、人工衛星打ち上げと称し事実上の長距離弾道ミサイルを発射する可能性を示唆したことで、改善に向かっていた南北関係に再び暗雲が漂い始めた。

 北朝鮮の朝鮮中央通信は14日、国家宇宙開発局の局長が「世界は今後、わが党中央が決心した時間と場所で衛星が高く飛ぶことを見ることになる」と述べたと伝えた。

 韓国政府当局者は15日、「弾道ミサイル発射は重大な挑発行為であり軍事的脅威だ。国連決議は弾道ミサイル技術を利用した全ての行動を禁じている」と指摘。北朝鮮が弾道ミサイルを発射すれば、「明確な国連決議違反行為になる」と警告した。

 北朝鮮が実際にミサイルを発射した場合、南北関係が再び冷え込むのは避けられないことから、ミサイル発射示唆は今後の南北当局者会談の開催時期や議題にも影響を与えるとみられる。

 韓国と北朝鮮は先月25日、高官協議で当局者会談開催に合意した。その後、北朝鮮は同会談の早期再開を求める立場を示している。2010年3月に発生した韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件を受け同年5月から韓国が実施している対北朝鮮制裁措置(5・24措置)の解除や、2008年に起きた北朝鮮兵による韓国人観光客射殺事件以来、中断している金剛山観光の再開について協議が行われる可能性が高いためだ。

 これに対し、韓国は「北の真意を確認しなければならない」として、慎重な態度を示している。

 韓国・東国大北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は、北朝鮮のミサイル発射示唆によって当局者会談の早期開催の理由ができたと指摘。その上で「北が新たな行動や武力示威を行わないよう会談を最大限早期に開催しなければならない」との見解を示した。また、「北が当局者会談の開催を先に提案し主導権を握ろうとする可能性もある」と見通した。

 韓国政府が先に同会談の開催を提案するのは難しくなったとの見方も出ている。人工衛星打ち上げと称した北朝鮮の挑発に韓国側が屈したとも受け取れる誤ったサインを送りかねないためだ。

 実際、韓国政府当局者は当局者会談開催を先に提案する意向があるかとの質問に対し、「今は全ての可能性を念頭に置いて検討している」と答えるにとどめた。

 北朝鮮の長距離ミサイル発射に対し韓国と米国が断固対処し、国連レベルの制裁が協議される場合は、来月20~26日に北朝鮮・金剛山で行われる南北離散家族再会行事も悪影響を受ける可能性がある。北朝鮮は2013年9月、離散家族再会行事の開催4日前に、一方的に延期したことがある。

 ただ、韓国政府は北朝鮮の長距離ミサイル発射に関する判断を下すのは早いとの立場だ。

 北朝鮮はミサイル発射の時期について「党中央が決心した時間と場所」と述べ、含みを持たせた。

 韓国政府当局者は「今のところ北の立場が確定的だとみるのは難しい側面がある」と話している。北朝鮮がミサイルを発射した場合、先月の高官協議での合意に反するとみるべきかとの質問には「具体的なことはそのときになって総合的に判断すべきだ」と答えた。離散家族再会行事についても「最善を尽くして準備している」と述べるにとどめた。

 一方、北朝鮮が米国の朝方の時間帯に合わせてミサイル発射を示唆したのは、米国と中国に向けて発したメッセージの可能性があるという見方もある。

 韓国・北韓大学院大の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は「実際の行動を予告したのではなく、朝鮮半島問題に対する世論を主導し、探るためという可能性がある」と述べた。北朝鮮の核問題をめぐる6カ国協議の韓国首席代表、黄浚局(ファン・ジュングク)外交部朝鮮半島平和交渉本部長が訪米中であることや、米中が首脳会談を控えていることを踏まえると、米中に対し対北朝鮮政策の転換と対話を促す意図があるとみるべきだと主張した。

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