韓国陸軍の対戦車誘導ミサイル「ヒョングン」の納品をめぐる不正事件への関与が疑われ、防衛事業不正政府合同捜査団から捜査を受けていたLIGネクスワンの研究員K氏(43)が、14日午前2時40分ごろ、京畿道烏山市のマンションの花壇に転落し死亡した。
K氏の妻は警察の事情聴取に対し「午前1時30分ごろ、携帯電話のメールの着信音で目が覚め、夫から遺書めいた長文のメールが来ていたため、辺りを探し回ったところ、(マンション23階の)自宅のベランダから飛び降りて死んでいた。夫は検察の事情聴取を受けて帰ってくると『俺のせいで会社がめちゃくちゃになった』と口にし、とてもつらそうだった」と話した。
K氏は妻にあてたメールで「俺の小さなミスが非常に大きくなってしまった。1年もの間、監査院の監査を受けてきたが、今度は検察の捜査まで受け、同僚や会社、家族にただただ申し訳ない」とつづっていたという。
K氏は納品業者から、戦車自動操縦モジュール7セットの納品を受けながら、11セットを受け取ったかのような書類を作成したとして、14日に合同捜査団から3回目の事情聴取を受けることになっていた。合同捜査団は先月25日と28日の2回にわたり、K氏に対する事情聴取を行った。K氏は事情聴取に対し「納品が予定されていたため、あらかじめ書類を作成し、予算からの支援を受けたが、その間に納品業者が不渡りを出したため、国庫から11億ウォン(約1億1200万円)の不当な支援を受けたことになってしまった」と供述したという。LIGネクスワンの関係者は「Kさんは『慣行の中で犯したミスだったが、検察は会社が組織的に上部の指示で虚偽の書類を作成し、予算をだまし取ったかのように思っているようで、とてもつらい』と話していた」と語った。
合同捜査団の関係者は「先月25日、捜索令状とともに、K氏に対する逮捕状を請求したが、逮捕状の請求は却下されたため、家宅捜索の直後に事情聴取を行った。聴取には何ら問題はなく、弁護士の立ち合いの下で順調に行われた」と説明した。