リースした2億ウォン(約2000万円)以上するベンツについて、「エンジンが頻繁に止まるなどの欠陥があるのに車を換えてくれない」と主張、乗っていたそのベンツをゴルフクラブでたたき壊した男(33)のことが報道され、話題になった。ところが、この男は法律上、車の修理代はもちろん、刑事処罰も受けなければならない状況に立たされている。
光州西部警察署は、自身がリース形式で購入したベンツ車をゴルフクラブなどでたたき壊した男に対し、器物損壊罪の適用を検討していることが14日、分かった。刑法第366条は「他人の所有物を損壊または隠匿、その他の方法で効用を害した者は、3年以下の懲役または700万ウォン(約70万円)以下の罰金に処する」と規定している。男はすでに業務妨害容疑で立件されている。
男が乗っていたベンツの法的所有者はリース会社だ。自分の物を壊した場合は何の問題もないが、男は他人の所有物(ベンツ)をたたき壊したことになり、刑事罰の対象になるというのだ。検察関係者は「車両リース契約は事実上、運転者が所有する形態だが、契約上の所有者はリース会社になっているので器物損壊罪に該当し、所有者の告訴がなくても処罰が可能だ」と説明した。また、「運転者は家族の乗車中に事故という事態に遭遇し、販売会社がきちんとした対応を取ってくれないとして腹を立て、ベンツをたたき壊したものと見られるが、処罰を免れることができるわけではない」とした。
男はこのほかにも、自身がたたき壊した車の保険金を受け取れずに修理代を支払わなければならないと見られる。保険会社関係者は「リースの場合、長期のレンタカーとは違い、通常は本人名義で自動車保険会社と契約を結ぶことになるが、保険約款上の被保険者が『故意』に車を破損した場合は保険金が支給されない。この男の場合も自ら車を壊したので、保険金支給対象ではない」と語った。
男は、今年3月に割賦金を毎月キャピタル会社に分割払いする形態のリース契約を結び、2億900万ウォン(約2100万円)のベンツを受け取った。しかし、走行中にエンジンが切れる事態が相次いで発生、男は販売店に車の交換や返金を要求した。今月9日に釜山市内の道路で走行中にエンジンが切れる事故に遭った時は、車に妊娠6カ月の妻と5歳の息子が乗っていたという。販売会社側が車両交換や返金要求を断ったため、男は11日、光州市西区のベンツ販売店前でゴルフクラブなどにより車をたたき壊した。