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 与党が安全保障関連法案の採決を今週中にも目指す中で、15日の参院特別委の中央公聴会では学生団体の中心メンバーと元最高裁判事という異色の顔ぶれが「勇気を出して来た」と口をそろえた。元裁判官75人も法案の慎重審議を求める意見書を提出した。

 前夜は茶髪にTシャツ姿で国会前でマイクを握っていた青年が15日、「朝買ったばかり」というスーツに身を包み、黒髪を固めて参院委員室に現れた。学生団体「SEALDs(シールズ)」の中心メンバー、奥田愛基(あき)さん(23)。「公述人に選ばれた」と連絡を受けてから緊張で眠れなかった。

 SEALDsは「危機に瀕(ひん)した憲法を守る」と抗議を続ける。奥田さんは前日も国会前で「僕はみんなの代表ではない。みんなが個人として来ている。それを伝えに国会に行く」と宣言していた。

 各地のうねりを国会で伝えたかった。「私たちが世論を作り出したのではない。この状況をつくったのは紛れもなく与党の皆さんです。国会答弁や理解しがたい例え話を見て、不安に感じた人が声を上げ始めた」。議員の顔を見渡しながら、淡々と話した。

 与党が週内の法案採決を目指す中、奥田さんは議員に訴えかけた。「政治のことをまともに考えることが馬鹿らしいことだと思わせないでください。自分の信じる正しさに向かい、勇気を出して、孤独に思考し、判断し、行動して下さい」