役員・社員間の所得格差、韓国最大はサムスン81.7倍

■業績不振でも高報酬

 企業経営者の高年俸はしばしば「成果に対する褒賞」として合理化される。しかし、高年俸が成果に必ずしも比例していないこともその正当性に疑問を投げかける。業績不振でも高年俸が支給され続けるからだ。

 代表的な事例が尹富根社長率いるサムスン電子消費者家電(CE)部門だ。白物家電とテレビを販売するCE部門は2012年に尹氏が担当社長に就任して以降、何とか赤字を免れてきたが、今年第1四半期(1-3月)は売上高10兆2560億ウォン(約1兆400億円)で、1410億ウォン(約143億円)の赤字を計上した。冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど白物家電部門は赤字転落を回避したが、テレビが多額の赤字を出した。CE部門は第2四半期の営業利益が2110億ウォンで、サムスン電子の3部門で最低だった。

 それにもかかわらず、尹社長は上半期だけで16億5000万ウォン(約1億6800万円)の報酬を受け取った。昨年上半期の28億8600万ウォンに比べれば40%以上減少したが、携帯電話事業を統括する申社長より1000万ウォン多い。サムスンの携帯電話事業は実績が予想を下回ったが、上半期の営業利益は生活家電の約80倍に達する。

 国策シンクタンク関係者は「業績不振で尹、申両社長の報酬は減ったというが、2人が上半期に受け取った報酬は都市部の労働者の平均月収(444万ウォン・2014年下半期)の372倍に達する」と指摘。漢城大の金尚祖(キム・サンジョ)教授は「成果給が30%減った役員よりも給与が30万ウォン減った給与労働者のほうがつらいのが現実だ。役員にははるかに厳格な基準を適用すべきだ」と述べた。

■格差12倍以上が154社

 サムスン電子だけではない。役員と社員の年収格差は以下、現代百貨店(71.7倍)、ゼロトゥーセブン(インターネット通販・59.9倍)、現代製鉄(55.9倍)、イーマート(54.9倍)、フレックスコム(プリント基板製造・50,5倍)、ロッテショッピング(50倍)などの順だった。うちロッテショッピングは社員年収が3307万ウォンで中位以下だったが、役員は平均16億1940万ウォンを受け取り、年収格差では上位に顔を出した。

 役員と社員の年収格差は12倍が受容可能な上限だとする調査がある。2013年にはスイスで「12倍法」を設定する動きもあった。年収格差が12倍を超える企業は調査対象のうち154社あった。

李吉星(イ・ギルソン)記者
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