労働経済白書:「労働生産性向上を」

毎日新聞 2015年09月15日 12時18分

 厚生労働省は15日、「2015年版労働経済白書」を公表した。少子・高齢化による労働力の減少に対応するため、労働生産性(生産量を労働力で割った比率)の向上が不可欠としている。

 白書は、労働生産性向上のため、職場のIT(情報技術)への投資や、社員への職業訓練など人的投資が必要と強調した。

 また、効率的な働き方の実現に向け、長時間労働の是正も挙げた。厚労省所管の独立行政法人の聞き取り調査で、労働時間の短縮に取り組んでいる企業は、労働生産性が他社に比べ高いと認識している傾向を紹介。時短が疲労の低減や仕事への意欲向上に効果があるとした。長時間労働の常態化が女性の労働参加の妨げになっているとも分析した。

 企業の営業利益が高まっている一方、労働分配率(生産で生み出された付加価値に占める賃金の比率)が低下傾向にあることや、非正規労働者の増加による平均賃金の下落も指摘。経済の好循環には賃金上昇による消費喚起が重要とした。【東海林智】

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