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 「みんなで手すりにつかまろう!」。エスカレーターの利用について、全国各地の鉄道などが7月下旬から、各地の駅にこんなポスターを掲示した。これがきっかけとなって、エスカレーターでの歩行禁止の是非がネット上などで議論に。ただ、この問題をめぐっては、鉄道事業者側にも温度差がある。

 「急ぐ人のために片側を空けるのはマナー」

 「急ぐ人は階段を使えばいい」

 ポスターをきっかけに、インターネット上で行われた「Yahoo!ニュース 意識調査」(7月23日~8月2日調べ)では、11万2160票の回答が集まったという。結果は「エスカレーターの片側空け」に賛成60・3%、反対39・7%と、賛否が割れた。

 Webメディア「WooRis」の調査結果(7月31日~8月1日調べ、300人回答)では「エスカレーターの片側を空けるマナー・歩行についてどう思いますか?」との質問に、賛成(必要だと思う)が76%、反対(不要だと思う)が24%だった。「あなたがエスカレーターに乗っているときの、あてはまる行動は?」という質問には「急いでいるときは歩く、普段は立ち止まって乗る」との回答者が62・8%いたという。

 エスカレーターは、急ぐ歩行者のため、片側を空けて立つのがマナーとして定着。左側に立ち、右側を空けるのが関東流。関西は逆のケースが多い。

 しかし、日本エレベーター協会は「エスカレーターは、もともと歩行用に設計していない」という。幅は1メートル程度。大人2人が横に並び、それぞれが手すりにつかまることを想定している。歩くと、人や荷物にぶつかることもある。

 東京消防庁によると、管内では2013年に、エスカレーター事故で1380人が救急搬送された。そのうち5歳以下の73・4%、6歳以上の94・8%が、転倒・転落事故だった。

 事故を少しでも減らそうと、JR東日本などは、10年春、「手すりにつかまり、安全に利用を」と呼びかけるキャンペーンを始めた。鉄道事業者の参加は全国に広がり、5回目となる今夏は、51社と同協会などが参加。共通ポスターを駅構内などに掲示した。

 すると、期間中、同協会には、ほぼ毎日のペースで、賛否の声が寄せられた。担当者は「わざわざ連絡してくる人は、ポスターに反対の人が多い」と明かし、「1、2年で定着するとは思っていない。継続的にお願いしたい」と話す。