2・28事件:台湾政府を賠償提訴…父犠牲、沖縄の72歳
7時間前
【台北・鈴木玲子】台湾で1947年に国民党政権が台湾住民を武力弾圧し多数の死傷者を出した「2・28事件」で日本人の父親が犠牲になったとして、沖縄県浦添市の青山恵昭(けいしょう)さん(72)が15日、台湾政府を相手取り600万台湾ドル(約2200万円)の損害賠償を求めて台北高等行政法院(裁判所)に提訴した。日本人被害者の提訴は初めて。
青山さん一家は日本統治下だった台湾・基隆で暮らし、漁師だった父の故・恵先(えさき)さん(当時38歳)は出征後、ベトナムで終戦を迎えた。復員後の47年3月、事件発生を知らずに台湾に家族を迎えに行き、基隆で国民党軍の兵士に連れ去られ行方不明になった。
当時の目撃証言などを得て、青山さんは2013年、父の被害認定と補償を日本人被害者遺族で初めて台湾当局に申請した。被害者の可能性は認められたものの、補償は「日本政府が台湾人元日本兵や慰安婦に賠償していないため、平等互恵の原則に反する」などの理由で却下された。処分撤回を求めて提訴した青山さんは「人権問題として承服できない。戦後補償をしていないので応じられないというのは負の連鎖で、報復的措置といわざるを得ない」と訴えた。
又吉盛清・沖縄大客員教授の調査では、日本人被害者は恵先さんを含め沖縄県出身の男性4人が判明しているが詳細は不明だ。
戦時中、日本人として出征した台湾人日本兵と軍属は約21万人に上り、うち約3万人が死亡した。