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【社会】常総水害 在住ブラジル人、言葉の壁で疲労重く
関東・東北水害では、避難所での生活が長引く中、「言葉の壁」から詳しい情報を得られず、不安にかられる外国人は少なくない。同胞が孤立しないよう、サポート役を名乗り出る日系ブラジル人も現れた。 「防災無線が何を言っているか分からなくて、避難が遅れて孤立した友人がいた」。常総市水海道(みつかいどう)森下町の会社員トロット・エジソンさん(40)が明かした。 トロットさんは、家族とともに自宅近くの避難所に身を寄せた。約二十年前にブラジルから来日。日本語はあまり得意ではなく、「日本で生まれた小学校六年の娘は日本語が上手。分からないことがあれば彼女に通訳してもらっている」。だが、慣れない避難生活の疲れがたまり、「早く家に戻りたい」と漏らした。 勤務先のトラクター製造会社には、日本語が分からないブラジル人の同僚も多い。「会社では通訳してくれる人がいるけど、周りにいない場合は苦労する」と語る。 常総市の人口六万五千百十人の6%、約四千人が外国人(いずれも八月末現在)で、茨城県内ではつくば市に次いで二番目に多い。大半がブラジル人で、製造業の会社で働く人が多い。今回の水害では十四日現在、常総市内十九カ所の避難所に計七十六人の外国人が避難している。 各地の避難所に、出入り口やトイレの位置を知らせるポルトガル語のメモが張られている。だが、時々来る通訳ボランティア以外は、常駐の通訳がおらず、日本語が分からない被災者の細かいニーズに応えるのは難しい。 避難所でボランティアをしていた小学校教員大根絵帆(おおねえほ)さん(37)=同市大生郷新田町=は「被災者のブラジル人で日本語も英語も通じなくて、何を求めているのかが分からず、困ったことがあった。通訳が常駐しているとよいのですが…」と表情を曇らせた。 防災無線の放送も、日本語のみ。外国人への緊急時の情報伝達について、市の担当者は「現状では、そこまで手が回らない。今後、改善していかなくてはならない」と話した。 (水害取材班) PR情報
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