月間150万PVのオウンドメディア「ferret」飯髙編集長に聞く。成功の歴史とマーケティング戦略
2015/09/15
SEOやSEMのアドバイスツール、順位チェックツール、ライティング支援など、常に時代のニーズに応えるサービスを提供し続けてきた「ferret」。2014年にマーケティング専門メディアとして生まれ変わり、今では月間150万PV、28万人超の会員数を誇ります(執筆時の2015年9月7日時点)。
そんなBtoBマーケティングのお手本とも言えるferretの、現・部長兼編集長の取材に成功。成長の歴史と今後のマーケティング戦略に迫ります。
text / INBOUND marketing blog編集長 中村竜次郎
目次
- ferret編集長プロフィール
- 世の中に求められるツールやサービスを提供し続けてきたferretの歴史
- 例えば新潟のお米屋さんがWebサイトの活用を始めるために学べる場所、それがferret
- ferretの次の戦略はマーケティングオートメーションツール
ferret編集長プロフィール
飯髙 悠太 氏
株式会社ベーシック Webマーケティング事業部 部長 / ferret編集長
1986年生まれ。広告代理店、ソーシャルメディアコンサルタントを経て、ferretに参画。これまでに複数のサービス、メディアの立ち上げを経験。ライターとして複数のメディアで寄稿。 Webマーケティングポータル「ferret」の編集長を務める。
ferretの歴史と実施してきたマーケティングを振り返るferret編集長・飯髙 悠太 氏
世の中に求められるツールやサービスを提供し続けてきたferretの歴史
中村:ferretは私も常にベンチマークしています。知人の多くもferretにはお世話になっているようですよ。
飯髙氏:ありがとうございます。
ferretは順位チェックツールや解析ツールなど、時代のニーズにあわせてサービスを展開してきたのですが、2014年9月に今のメディアとしてのferretにリニューアルしました。私がferretに参画したのも、メディアとしてのferretを立ち上げて育てることが目的です。
中村:メディアとしてのferretは改めて詳しく伺いたいのですが、まずは今までのferretの歴史についてお聞きしてもいいですか。
飯髙氏:前任者から引き継いでいるので大丈夫ですよ。
ferretとしてサービスの提供を始めたのが2007年です。誰でも使える検索エンジンとしてスタートしました。今では当たり前になっているキーワードサジェスト機能を搭載していたのですが、主にWebマーケッターやアフィリエイターが複合キーワードの調査を目的に利用していました。
そこで、2008年にWebマーケッターやアフィリエイターにターゲットを絞って、ツールポータルとしてFerretPLUSに大幅リニューアルしました。このポータルで提供しているサービスは今でも利用できるものが残っています。
中でも根強い人気を誇るのがSEO/SEMツール。キーワードアドバイスをはじめ、SEOの状況を簡単にチェックできる分析、順位計測などを利用でき、Web担当者から高く支持されてます。
中村:私も活用していました。利用するためにはメルマガに登録しないといけないんですよね。
飯髙氏:無料会員登録が必須ですが、メルマガは解除できるようになっています。
中村:毎日メルマガが届いていましたね。これはユーザの活用を促すことを目的に配信していたんですか。
飯髙氏:当時も今もメルマガをメニューとして販売しています。自社の広告だけでなく、他社のサービスも掲載しています。
現在のメルマガは単純にユーザが喜ぶような記事にして配信するように意識しています。
中村:FerretPLUSのサービスをフルに使うためには有料会員になる必要がありましたよね?
飯髙氏:そうですね。無料で使えるものと有料になるものが存在します。
その頃のferretのマーケティング戦略はフリーミアムモデルで、他社が有料で提供するようなマーケティングツールや資料を無料登録したユーザに無償で提供していました。より高度なツール機能を使うためのプレミアム会員以外の無料会員には、バックエンド商品をタイミングを見ながら案内、販売していました。
時代の流れにあわせて、コンテンツライティングサービスの提供も開始しました。これはSEOのトレンドがコンテンツ重視になってきた背景から生まれました。都度見積り依頼をしなくても、Webサイト内で条件設定するだけでリアルタイムに見積が提示されるサービスです。
他にもマーケティングに役立つホワイトペーパダウンロードや、クラウドソーシングのランサーズと連携したWebサイト制作、運営もやっています。
中村:色々なことにチャレンジしてきたんですね。
飯髙氏:色々やりましたねぇ…。当社の考えが、時代に必要とされるものを提供することなので、その時代に求められるものがあれば、サービス化してしまいます。
中村:で、メディアとしてのferretにたどり着くわけですね。
例えば新潟のお米屋さんがWebサイトの活用を始めるために学べる場所、それがferret
飯髙氏:
メディアとしてのferretは2014年9月にスタートしました。ここではWebマーケティングに役立つ記事を平日は1日7本・休日は1日3本の割合で配信しています。無料会員として登録してもらえれば、Webマーケティングを理解、実践するために必要なカリキュラムが利用できます。
中村:1日に7本の記事って、相当なパワーが必要ですよね。私もINBOUND marketing blogの責任者ですが、携わるメンバーが全員兼務のため、今は1週間で1本更新する割合です。どのような体制なのですか?
飯髙氏:編集長の私以外にライターが3人で、そのうち一人はディレクションを兼務しています。外部のライターに協力してもらうこともあります。3人すべて、ライター経験者ではないので、私が教育しています。
ニュース系やまとめ系の記事は、ある程度フォーマット化していますが、その中でもライターとしての経験と幅を広げるため、自由度を持たせて書かせるようにしています。
新卒であれば最初の3ヵ月間は、かなりチェックを入れるのですが、次第に手がかからなくなってきます。そういうメディアとしての体形と教育システムで、効率的な運営をできるようにしています。
中村:確かにニュース系やまとめ系の記事なら書きやすいですね。
ferret内には人気の記事ランキングがありますよね。このランキングはライターの評価やモチベーションになるんですか。
飯髙氏:現状評価にはしていませんね。ライターのメディアに対する貢献度って、必ずしもランキングに入る記事だけでは測れないと思うんです。例えば拡散される記事が得意なライターがいれば、長い目で見たSEOに貢献する記事に強いライターもいる。そのため、モチベーションという意味では、書いた記事がどのくらいの人に見られたかという点になりますね。
ferretは2015年に220万PV、会員数30万人を目指しています。そのためにどう貢献しているのかが評価になります。
中村:220万PVはすごい数ですね。
飯髙氏:220万PVはもう見えている数字です。私のferretでのミッションは、より多くの人に閲覧されるメディアに作り、育て、会員を増やすことですから。また私自身の強みもそこにあると思っています。
立ち上げ当初は、まずソーシャルで拡散させPVを伸ばしましたが、今は検索エンジン経由での流入が多くなっています。コンテンツ一つひとつが検索で上位表示されるようになってきました。
中村:ferretは会員登録するとカリキュラムが閲覧できるようになるとのことですが、これはどのようなものですか。
飯髙氏:はい、カリキュラムはWebマーケティングの全体像を体系的に学べるようにしたものです。非常に人気なコンテンツで企業研修で活用されるという事例も多数出てきています。会員登録すれば、もちろん無料で利用できます。
中村:これは初級、中級、上級みたい分かれているのですか?
飯髙氏:現状は、基本のみとなっており、中級・上級者向けは作っていないです。
ferretの目指す先って、例えば新潟のお米屋さんがWebでビジネスをするために何が必要かを伝えていきたいんです。
「新潟 おいしい 米」とかで検索したときに上位表示されるためには、以前であれば外部リンクや他の施策が重要でしたが、今は自分たちのコンテンツが求められます。そういったことを伝える上で、100点を目指す上級者向けの内容は必要ないわけです。
一方で、専門性がある人でも、リスティングだったら100点だけど、Webサイト改善のことはわからない、という方もいます。でもそういった人が100点を目指す必要があるかといえば、そうでもない。
私たちはWebマーケティングをする上で最低限必要なことを教えていきたいのです。そういう必要知識を身に付けるための場がferretでありたいと思っています。
そのためには、ferret自体をソーシャルで拡散できるような戦略や検索エンジンで上位表示されるようにしていかないと、信頼されないですし、そもそも出会えないですよね。なので、Webマーケティングに関しては、相当研究しています。
ferretの次の戦略はマーケティングオートメーションツール
中村:ターゲットが明確なんですね。
メディアとしてのferretの今後は、やはり広告でのマネタイズですか。
飯髙氏:そこはやはり考えています。純粋なマーケティングメディアとして、ferretは価値が少しずつではありますが、できてきています。仮に今、マーケティングのツールベンダーのネイティブアドを掲載すれば、そこそこのリードを獲得できることは分かっています。そういう価値を今後も追求していくべきだと認識しています。
とはいえ、ネイティブアドって、直接コンバージョンを獲得するのは難しいと思うんです。いかに間接効果を測定し評価にするかが課題ですね。
ferretの裏側の仕組みを説明する飯髙氏。効率化とノウハウが随所に散りばめられていて、詳細はお見せできません。
中村:ビュースルーの評価ですね。
飯髙氏:そうですね。
例えば当社が2015年4月から提供を開始したマーケティングオートメーションツールのHomeup!ですが、この間接効果の測定をするための機能を開発中です。
この機能をferretに組み込んで、効果を追えるようにする予定になっています。
中村:ferretの次の展開はマーケティングオートメーションツールですか。
飯髙氏:今の時代のマーケティングに求められる要素の一つがマーケティングオートメーションですよね。多くの企業からツールは提供されていますが、基本的にどのサービスも機能としては似ています。
Homeup!も他のマーケティングオートメーションツールでできることを包含しています。ページを更新しやすいCMSの機能、ユーザの行動解析(トラッキング機能)、フォーム作成機能、メール配信機能などですね。
今までFerretPLUSで提供してきたSEOやSEMのアドバイスツール、SEO順位ツール、アクセス解析機能もあり、何より当社で提供してきたferretでのノウハウを反映したものになっているのが強みですね。
とはいえ、後発のサービスのため、まだまだ知名度が低いので、今後の課題としては認知の向上です。
中村:確かに使いやすそうですね。CMSとマーケティングオートメーションツールが一体となっているので、Webサイト制作のスキルがない方でも更新が楽そうです。
今後、ferretと連携するなどの施策はあるんですか?
飯髙氏:実際の導入企業からは、使いやすいという声をいただいています。
ferretとの連携は、日々のマーケティングを実践する中で、不明点が出てきたら、すぐにferretで調べることができるという機能を強化していくつもりです。
そして、ferretでもHomeup!を使う中で、必要と思われる機能は、随時追加する予定になっています。
中村:Homeup!のマーケティング戦略を伺うことはできますか?
飯髙氏:今まさに戦略を立案中です。その一つとして、知名度をアップするため、各所で紹介してもらっています。このINBOUND marketing blogで掲載されることも知名度アップの一つです(笑
中村:それが取材を受けていただいた理由なんですね(笑
検索、SEO、ソーシャル、コンテンツ、そしてマーケティングオートメーションですか。
まさに時代とともに生きるferretですね。今後の戦略からも目がはなせません。
ベーシック社のエントランスで記念撮影。飯髙さん、ありがとうございました。