古沢範英
2015年9月15日03時00分
奈良市の秋篠寺にほど近い窯元「秋篠窯」は、80年前に開かれた。その3代目として活動している今西泰赳(ひろたけ)さん(31)は、分子生物学の研究で博士号を取得した異色の経歴を持つ。技術を学びながら、自分らしい表現を模索している。
細胞を思わせる四角いオブジェの一角が破れ、何かがあふれ出そうとしている。卵や心臓状の形、血管が絡み合うような文様も強い印象を残す。泰赳さんは「命のエネルギーが今の大きなテーマです」という。
秋篠窯は、人間国宝の富本憲吉氏に学んだ祖父の洋さん(故人)が1935年に開いた。志賀直哉らとも交流のある文化人だった。2代目の父・方哉(まさや)さん(68)は文化庁研修員として在米経験もあり、自然をテーマに作陶を続けている。
残り:929文字/本文:1253文字
おすすめコンテンツ
PR比べてお得!