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【東京】

集団的自衛権の「正体」 衆院特別委の議事録から探る

「憲法決壊」を手にする游学社の遠藤社長=中野区で

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 中野区東中野の出版社「游学社」が、安全保障関連法案を審議した衆議院特別委員会の議事録を整理・編集したブックレット「憲法決壊!『集団的自衛権』の正体」を緊急出版した。遠藤眞彌社長(62)は「現時点での記録を形にしてきちんと残すべきだと思った」と動機を語る。 (石原真樹)

 游学社は社長と社員四人の小さな出版社。英語や論語などの教養書、原発関連の書籍など幅広く扱う。国会審議の行方に危機感を抱いていた七月上旬、出版業界の仲間に「今、何かやるべきじゃないか」と背中を押され、書籍より費用が安いブックレットでの出版を計画。約一カ月で仕上げ、八月十五日に発行した。「編集プロダクションの仕事も手掛けるスタッフだからこそできた」と遠藤さんは振り返る。

 編集に携わった大友麻子さん(44)は「今が戦後七十年の大きな転換点との意識がある」と力を込める。「それなのに、横畠裕介内閣法制局長官が何を話したのかなど、日々、頭の中で情報がどんどん流れていってしまう。大事だと思うことを整理して残したかった」と狙いを説明する。

 本では、「砂川事件最高裁判決は本当に集団的自衛権について論じていたのか」「最高指揮官たる安倍晋三首相の『歴史認識』」など、九つのテーマごとに議事録を抜粋。冒頭に読み解くポイントを明記し、わかりやすさを心掛けた。

 衆議院のホームページで公開されている議事録の抜粋作業では「あまり長く引用はできないが、政府がのらりくらり答弁する臨場感を残したくて苦労した」と大友さんは明かす。ジャーナリスト高野孟氏の論考では、安倍首相と関係が近いとされる政治団体「神道政治連盟」と保守系団体「日本会議」の活動内容などを取り上げた。

 大学生協から「学生に読ませたい」と注文が入っているという。八十六ページ、八百円(税別)。問い合わせは同社=電03(5337)0630=へ。九月末には参議院での審議などをまとめた第二弾の出版を予定している。

 

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