消費税還付、導入困難に 与党内、強い反発 15日税制協議
産経新聞 9月15日(火)7時55分配信
消費税率10%引き上げに伴い、財務省が提案した飲食料品の2%分を払い戻す「還付制度」の与党合意が困難な情勢になってきた。自民、公明両党議員からの批判が噴出していることに加え、世論の支持も得られていないためだ。両党は15日に与党税制協議会を開くが、白紙撤回のシナリオが現実味を帯びている。
還付制度は、公明党が求める軽減税率に代わる案として財務省内で作成された。与党内の有力幹部と合意を取り付け、月内にも大筋合意に取り付けるのが財務省のシナリオだったとみられる。
しかし、公明党からは反対意見が続出している。公約に掲げてきた軽減税率とは一線を画した内容であるうえ、まだ始まってもいない税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度の個人番号カード活用を前提とすることへの反発も多い。
12日の公明党全国県代表協議会では「従来(の軽減税率)と違う案がいきなり出てきた。承服できない」という発言が相次ぎ、同党幹部からも「党の皆さんが駄目という意見なら、初心に戻る」(斉藤鉄夫税調会長)と、白紙撤回もやむなしの声が出ている。
これに対し、自民党の野田毅税調会長は「振り出しに戻って議論をまとめるのは難しい。別の知恵があるのか」として、還付制度の撤回には応じない姿勢をみせる。
与党は平成25年から軽減税率の導入に向けた議論を続けてきたが、欧州の事例などを検証した結果、品目の線引きや事業者負担をめぐり問題が多すぎるとして協議を中断、代替案を財務省に求めた経緯があり、野田氏は「軽減税率は断念した」という認識だ。
還付制度が抱える消費者の利便性や安全面での課題などについても、野田氏は「自動的に還付する仕組みなど工夫できることはたくさんある」として、国民が理解できる形に修正できるとしている。
だが、自民党内にも還付制度への批判が出ている。また、報道機関が実施した最近の世論調査では、還付制度に反対の回答が半数を上回る状況にある。
公明党は地方の党員の声や世論を踏まえ、与党協議を通じて還付制度への反対を強く訴えていく構えだ。来年夏に参院選を控えていることもあり、還付制度の導入の是非をめぐる議論が長引けば政権運営に影響しかねず、安倍晋三首相が早期の判断を迫られる場面が出そうだ。
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