未来のことを考えると、この法案は恐怖でしかない――。将来のある若者の、切実な思いである。

 高校生で構成される「T-ns SOWL(ティーンズ ソウル=Teens Stand up to Oppose War Law)」のメンバー・あいねさんは、2015年9月11日、安保法案に反対する国会前抗議(主催:SEALDs)でマイクをとり、安保法案について、「何十年先も続く法案」であると述べ、将来に禍根を残す可能性を指摘した。

 「今の近隣諸国との関係性も変化しているはずだし、安倍首相よりも酷いファシズムも現れるかもしれない。そのとき、この法案には“歯止め”が存在しないため、いつでも政権が暴走できる仕組みになっている。戦争になってもおかしくない」

 さらに「私たちはまだ十何年しか生きていない。あと70年近く、日本で平和に生きたい」と主張。「高校生だろうが、大学生だろうが、大人だろうが、私が日本国民である以上、私は声を上げ続ける」と宣言し、安保法案の廃案と安倍政権の退陣を求めた。

 以下、スピーチ全文とスピーチ動画を掲載する。

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T-ns SOWLメンバー・あいねさんスピーチ

 「こんばんわ高校生の あいね です。

 5月の閣議決定から、私は様々なデモに参加しました。『T-ns SOWL』という戦争法案に反対する高校生のグループも立ちあげました。どうしてそこまでするかというと、私は安倍首相、あなたに強い怒りを持っているからです。

 安倍首相は、安保関連法案を、『国民の命と安全を守るための法案』だと言います。しかし、世論調査では国民の8割が説明不足、過半数の国民が反対意見を示しています。こんな中で、憲法違反と言われている法案を強行採決する。これは私が中学校で習った憲法9条、立憲主義、民主主義などの理念、多くのことに反しています。

 それなのに国民の命と安全など、本当に守れるのでしょうか?

 政府の第一の仕事は、国民の命を守る仕事です。台風の影響で、昨日は栃木、茨城で、今日は東北地方で、ひどい浸水被害が生まれています。

 テレビで、自衛隊の方の救出活動を見ました。本当に格好よかった。日本の自衛隊は、アメリカの戦争に加担するのではなく、震災などで困っている人たちを助けるほうが何百倍も格好いいし、それこそ日本の誇れる自衛隊の姿です。

 東日本大震災のときにも、自衛隊の方々は被災者の方々のために働いてくれました。だから自衛隊が海外で人を殺し、殺されるなんて絶対に嫌です。

 自衛隊員の命を奪わないためにも、日本は武力による平和作りではなく、平和外交による平和構築をするべきだと私は思います。

 第二次世界大戦での過ちを認め、謝罪し、復興支援や難民援助を進んでするほうが、国際社会における信頼関係は生まれます。武力による信頼関係は、表だけの友達関係のように、すぐに壊れてしまいますし、武力による平和構築をした結果、現在のような『テロリスト』をたくさん作ってしまいました。

 現在、ドイツは中東からの難民の受け入れを積極的に行っています。それと比べ、日本の去年の難民申請数が5000人にも関わらず、11人しか認定しませんでした。

 また、安保関連法案が可決すれば『駆けつけ警護』ができますが、現地で働いているNPO、NGOの方々は、駆けつけ警護は必要としていないし、『私たちが必要としているのは憲法9条だ』と言っています。

 日本は、ドイツの戦争に対する謝罪の姿勢を見習い、世界各国と信頼関係を作っていくべきだと思います。それこそ私の望む日本の本当の姿です。

 この法案は何十年先も続く法案です。今の近隣諸国との関係性も変化しているはずですし、安倍首相よりも酷いファシズムも現れるかもしれません。そのときこの法案は、歯止めが存在しないため、いつでも政権が暴走できる仕組みになっています。

 戦争になってもおかしくないんです。

 私たちはまだ十何年しか生きていません。あと70年近く、日本で平和に生きたいんです。今もそうですが、未来のことを考えると、この法案は恐怖でしかありません。

 私たちは国民の意思を無視する首相に、この国の未来など任せられません。

 日本が本当の民主主義国家ならば、私たちの声が反映されるはずです。だから、私たちはまだまだ声を上げていきます。安保法案が強行採決されようと関係ありません。

 廃案になったあとも、間違っていることには『NO』と言い続けます。それが高校生だろうが、大学生だろうが、大人だろうが、私が日本国民である以上、私は声を上げ続けます。

 2015年9月11日、私は安全保障関連法案の廃案と、安倍政権の退陣を求めます」

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