安倍政権は、新しい安全保障関連法案を週内に成立させようとしている。国会…
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安倍政権は、新しい安全保障関連法案を週内に成立させようとしている。国会の会期末が、秋の大型連休をはさんで27日に迫っているからだ。
ところが、衆参両院を通じ200時間もの審議で、集団的自衛権行使の違憲性をはじめ様々な問題の指摘に納得できる答弁はなされていない。国民の多くが不信と不満を抱いている。
こうした民意をかえりみぬ採決は、してはならない。
最新の朝日新聞社の世論調査では、法案に賛成29%に対し、反対は54%に達した。
注目すべきは「今の国会で成立させる必要はない」が68%、「国会での議論は尽くされていない」が75%に上ったことだ。
法案に賛成と答えた人の中でも、議論が尽くされていないと答えた人が57%もいる。法案の趣旨には賛成でも、政府の答弁ぶりには納得がいかないということだろう。
参院の特別委員会は15日に中央公聴会、16日に横浜市で地方公聴会を開く。自民、公明の与党は、地方公聴会が終われば直ちに採決に踏み切る構えだ。
中央公聴会には過去10年で最多の95人が、意見表明する公述人に応募した。野党によれば、全員が法案に反対だという。
今回に限らないが、有識者や市民から意見を聞く公聴会は、重要法案の採決に向けた条件整備と位置づけられ、形骸化しているのが実情だ。
だが、この法案は平和国家としての日本の針路を左右する重要法案だ。違憲の疑いも濃い。世論調査での不満や公述人への多数の応募を考えれば、公聴会は「いま現在の民意」を国会につなぐ回路として重要な意義を持つ。アリバイづくりですませるわけにはいかない。
いまの国会は、戦後最も長い95日間延長された。首相は「徹底審議」をアピールしたが、与党には法案を受け取ってから60日以内に参院が議決しない時、衆院が再議決できる憲法59条の適用も念頭にあった。
安倍首相はきのうの参院特別委で、世論の反対を認めたうえで「選挙で選ばれた議員で審議を深め、決めるときには決めていただきたい」と語った。
与党幹部は先週、「参院で決着をつけるべきだ」として、衆院での再議決はしない方針を確認している。当然のことだ。一院の議決だけで成立させるなど言語道断である。
首相が強調した徹底審議の結果が、世論の反対だ。27日の会期末までに参院で採決できなければ、いさぎよく廃案にするのが筋である。
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