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日本の株式市場はなぜこれほど振れ幅が激しいのか

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第396回】 2015年9月15日
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世界でも際立って大きい
日本の株式市場の変動幅

急騰と急落を繰り返す日本の株価。その変動幅は世界の株式市場の中でも目立って大きい

 「日本の株式市場はボラが高くて、収益チャンスが転がっている!」

 外資系証券会社のディーラーをしている友人のつぶやきだ。

 彼の言うボラとは、ボラティリティ=価格変動のことで、日本の株式市場の価格変動が大きいため、上手くディーリングすると多額の収益を得ることができるという意味だ。

 つまり、短期に売ったり買ったりを繰り返すディーラーにとって、日本の株式市場は有効な“稼ぎ場”になっているということだ。

 今回の世界同時株安が発生して、世界の主要株式市場の価格変動性は高まってはいるものの、その中でもわが国の株式市場の変動幅は目立っている。

 9月9日、日経平均株価は1343円の凄まじい上昇を記録したかと思えば、翌10日は470円下げるといった具合だ。しかも、日中の値動きも大きく、一日の高値と安値を見ると、1000円以上変動している日もある。

 価格変動が激しくなっている背景には、いくつかの要因が絡んでいるのだが、三つの要因に分けてみると理解しやすいだろう。

 一つは、中国の株式市場と時間的にかぶっていることもあり、その影響を受けやすいことだ。

 二つ目は、日本経済の基礎的条件=ファンダメンタルズに、不透明要素が多いことだ。景気の先行きを読みにくいため、株式市場の動向にコンセンサスができにくい。

 そしてもう一つは、国内投資家層の厚みなど、わが国の株式市場が持つ特性の問題だ。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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