NY原油:一時40ドル割れ NY株530ドル安
毎日新聞 2015年08月22日 10時58分
【北米総局】中国の景気減速懸念に端を発した投資家心理の冷え込みが一段と強まり、21日のニューヨーク商品・金融市場は大荒れの展開となった。原油や株式は売り込まれ、原油先物相場は約6年半ぶりに1バレル=40ドルを割り、ダウ工業株30種平均は530ドル安と約4年ぶりの下落幅を記録した。世界的な連鎖株安が加速し、週明けの東京株式市場でも下落圧力が強まりそうだ。
21日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場は、代表的指標の米国産標準油種(WTI)の10月渡しが一時、1バレル=39.86ドルに急落した。リーマン・ショック後の景気低迷が続いていた2009年3月上旬以来の40ドル割れだ。終値は前日比0.87ドル安の40.45ドルだった。
中国の製造業関連指標が悪化し、中国の景気減速が鮮明になって原油需要が落ち込むとの警戒感が広がった。一方、米国産シェールオイルの生産増などによる供給過剰も一因とみられる。石油輸出国機構(OPEC)のサウジアラビアなどもシェア維持を目的に増産。7月のイラン核合意で米欧の対イラン制裁解除が見込まれ、イラン産原油の供給拡大も予想される。
昨年7月末までは100ドル台で取引されていたが、1年あまりで大幅に値下がりした。市場では一段の下落を見込む声も出ている。
原油安は、日本など原油消費国にとってガソリン価格や電気料金の下落を通じて家計を後押しする効果がある。だが、産油国の経済を悪化させて、金融市場を混乱させる懸念材料にもなりかねない。
また、21日のニューヨーク株式市場は大幅続落し、ダウ工業株30種平均は前日比530.94ドル安の1万6459.75ドルで取引を終えた。約10カ月ぶりの安値水準で、下落幅は11年8月8日(634.76ドル)以来、約4年ぶりの大きさ。ハイテク株主体のナスダック総合指数は171.45ポイント安の4706.04。
原油安の景気へのプラス面よりも中国経済の悪化が強く意識された。原油安で収益悪化が懸念される石油関連銘柄を中心に売りが集中。ダウ平均は今週に入って1010ドルを超える下げとなり、市場関係者からは「好転の兆しが見えない」との声が上がっている。
21日のニューヨーク外国為替市場は、世界的な株安を背景に安全資産とされる円が買われ、円相場は一時、1ドル=121円82銭と約5週間ぶりの円高・ドル安水準をつけた。
市場では「米国の利上げが遠のき、ドルの金利は当面上がらない」との思惑も広がって円買い・ドル売りの流れを後押しした。午後5時現在は、前日比1円46銭円高・ドル安の1ドル=121円91銭〜122円01銭。
ニューヨーク市場に先立つ21日の東京株式市場では日経平均株価が597円安と急落し、2万円台を割り込んでおり、週明けの日経平均も波乱含みの展開となりそうだ。