【9月15日 AFP】東京電力(TEPCO)は14日、福島第1原子力発電所の建屋周辺にある井戸(サブドレン)からくみ上げて浄化した地下水を海に放出する作業を開始した。同社発表によれば、初日は約850トンを放出した。

 2011年の東日本大震災で同原発の原子炉がメルトダウン(炉心溶融)を起こした事故以来、同原発の周辺を流れて放射性物質に汚染された地下水を浄化して海へ放出する計画をめぐっては、悪影響を懸念する漁業関係者の間で議論となってきた。

 東京電力は多核種除去設備(Advanced Liquid Processing SystemALPS)という浄化設備を使って処理をしており、処理後の水の放出は安全だと述べている。ALPSは放射性の高いセシウムやストロンチウムの濃度を低減するが、比較的危険性の低いトリチウムは残るという。

 漁業関係者は、地下水の放出は汚染への懸念を高め、すでに傷ついた評判がさらに傷つくと主張してきたが、汚染水の保管場所を見つけるのに苦心している東京電力の圧力に最終的に屈した。毎日新たに発生する約300トンの汚染水への対応を強いられている東京電力は、これまでは巨大な保管用タンクを増やすしか対策がなかった。

 東京電力ではこれまでも、発生する汚染水を減らすため汚染されていない地下水をくみ上げ、海へ放出することは行っていた。しかし、同原発で保管している汚染水68万トンの処分方法は現在も見いだせていない。(c)AFP