ニュース詳細
福島第一原発 地下水の初の放出 始まる9月14日 17時27分
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東京電力福島第一原子力発電所の新たな汚染水対策として、建屋の周辺などからくみ上げた地下水を海に放出する作業が、14日から始まりました。国と東京電力は、これによって新たに発生する汚染水の量を半分程度に減らせるとしていて、福島第一原発の汚染水対策は大きく動きだしました。
福島第一原発では、地下水が建屋に流れ込んで毎日300トンもの汚染水が新たに発生していることから、これを抑えるため、建屋の周辺に掘った「サブドレン」と呼ばれる井戸などから地下水をくみ上げて海に放出する計画です。
国と東京電力は、14日午前10時ごろから初めての放出作業を開始し、午後4時前までに合わせて838トンの放出を終えたということです。配管からの水漏れなどのトラブルはなかったということです。
14日に放出したのは、去年8月以降に試験的にくみ上げ、基準を下回るレベルまで放射性物質を取り除いた地下水4000トンの一部で、今後、3日間程度放出を続けるほか、その後も地下水のくみ上げと浄化、放出を断続的に繰り返す計画です。
また、福島第一原発では、地下水が海に直接流れ出すのを防ぐため、護岸沿いに「遮水壁」と呼ばれる鉄の壁を打ち込む計画です。この工事も、地下水を放出するめどが立ったことを受けて今月10日から再開されていて、今後1か月余りかけて護岸を完全に鉄の壁で囲う予定です。
東京電力は一連の対策によって、新たに発生する汚染水の量を半分程度に減らせるほか、海の汚染も抑えられるとしていて、去年8月に地元への説明を始めてから1年を経て、汚染水対策は大きく動きだしました。
一方で、地元からはトラブルが起きた際の影響などを心配する声が出ていることから、国と東京電力は今後も厳重な監視のもとで放出を行うとしています。
国と東京電力は、14日午前10時ごろから初めての放出作業を開始し、午後4時前までに合わせて838トンの放出を終えたということです。配管からの水漏れなどのトラブルはなかったということです。
14日に放出したのは、去年8月以降に試験的にくみ上げ、基準を下回るレベルまで放射性物質を取り除いた地下水4000トンの一部で、今後、3日間程度放出を続けるほか、その後も地下水のくみ上げと浄化、放出を断続的に繰り返す計画です。
また、福島第一原発では、地下水が海に直接流れ出すのを防ぐため、護岸沿いに「遮水壁」と呼ばれる鉄の壁を打ち込む計画です。この工事も、地下水を放出するめどが立ったことを受けて今月10日から再開されていて、今後1か月余りかけて護岸を完全に鉄の壁で囲う予定です。
東京電力は一連の対策によって、新たに発生する汚染水の量を半分程度に減らせるほか、海の汚染も抑えられるとしていて、去年8月に地元への説明を始めてから1年を経て、汚染水対策は大きく動きだしました。
一方で、地元からはトラブルが起きた際の影響などを心配する声が出ていることから、国と東京電力は今後も厳重な監視のもとで放出を行うとしています。
1年越しの交渉を経て
「サブドレン」は、原発事故の前からあった地下水をくみ上げるための井戸で、福島第一原発の1号機から4号機の周囲40か所余りに掘られています。
東京電力は去年8月、汚染水の発生量を抑える手段として、ここから地下水をくみ上げ浄化したうえで海に放出する計画を立て、地元の漁業関係者などに説明を始めました。しかし、くみあげた地下水は浄化したとしても一部の放射性物質は残ってしまうため、地元からは海に放出することに強い反対の声が上がりました。
こうしたなか、ことし2月、比較的高い濃度の放射性物質を含む雨水が雨のたびに海に流れ出ていたことが明らかになり、このことを公表してこなかった東京電力の姿勢を巡って大きな問題となりました。この影響で「サブドレン」を巡る話し合いは暗礁に乗り上げ、東京電力は情報公開の在り方を見直すなどの再発防止策をまとめたうえで、夏前から地元との交渉を本格化させました。
その結果、先月、地元の漁業関係者が計画を容認し、1年越しの交渉を経て新たな汚染水対策が動きだすことになりました。
東京電力は去年8月、汚染水の発生量を抑える手段として、ここから地下水をくみ上げ浄化したうえで海に放出する計画を立て、地元の漁業関係者などに説明を始めました。しかし、くみあげた地下水は浄化したとしても一部の放射性物質は残ってしまうため、地元からは海に放出することに強い反対の声が上がりました。
こうしたなか、ことし2月、比較的高い濃度の放射性物質を含む雨水が雨のたびに海に流れ出ていたことが明らかになり、このことを公表してこなかった東京電力の姿勢を巡って大きな問題となりました。この影響で「サブドレン」を巡る話し合いは暗礁に乗り上げ、東京電力は情報公開の在り方を見直すなどの再発防止策をまとめたうえで、夏前から地元との交渉を本格化させました。
その結果、先月、地元の漁業関係者が計画を容認し、1年越しの交渉を経て新たな汚染水対策が動きだすことになりました。
大きく進む対策 残された課題
今回の取り組みによって、「汚染水の増加」と「外部への流出」という汚染水を巡る課題への対策は、大きく進むことになります。
福島第一原発の敷地には大量の地下水が流れていて、これが1号機から4号機の原子炉建屋などに流れ込み、高濃度の汚染水を増やし続けています。このため東京電力は、汚染水をくみ上げて敷地内に設置したタンクで保管していますが、おととし8月には300トンもの汚染水がタンクから漏れ出すなどトラブルが相次ぎました。
汚染水の増加を抑えるため、東京電力は去年5月から建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」という取り組みを始めました。これによって建屋への流入量は、以前の1日400トンから300トンに減っています。
今回、より建屋に近い「サブドレン」と呼ばれる井戸などから地下水をくみ上げることで、流入量は1日150トンまで減る見通しだとしています。
さらに、1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水を遮断する「凍土壁」の建設も進んでいて、こうした一連の取り組みで汚染水の増加量を100トン未満に抑えることを目指すとしています。
タンクで保管されている汚染水のリスクを下げる取り組みも進められています。
東京電力は、「ALPS」と呼ばれる設備などでタンク内の汚染水から放射性物質を取り除く作業を進め、ことし5月に一とおりの処理を終えたとしています。
また、高濃度の汚染水は、「トレンチ」と呼ばれるトンネルにも流れ込んでいて、ここから海に流れ出すリスクが指摘されていましたが、これについても、ことし7月までにおよそ1万1000トンの回収が終わりました。
さらに護岸沿いでは、全長780メートルにわたって「遮水壁」と呼ばれる鉄の壁を打ち込む作業が進められています。これは、汚染された地下水が海に流れ出すのを防ぐ最後のとりでで、東京電力は今後1か月余りで完成させ、護岸を完全に鉄の壁で囲うことで海の汚染を抑える計画です。
このように、汚染水を巡る対策は大きく進んでいますが、課題も残されています。
現在、タンクで保管している汚染水は、およそ68万トンに上りますが、一とおりの処理を終えても依然として一部の放射性物質が残っています。海に放出することも検討されていますが、地元の漁業関係者は強く反対していて、最終的な処分方法が決まらず、行き場のないまま今も増え続けています。
福島第一原発の敷地には大量の地下水が流れていて、これが1号機から4号機の原子炉建屋などに流れ込み、高濃度の汚染水を増やし続けています。このため東京電力は、汚染水をくみ上げて敷地内に設置したタンクで保管していますが、おととし8月には300トンもの汚染水がタンクから漏れ出すなどトラブルが相次ぎました。
汚染水の増加を抑えるため、東京電力は去年5月から建屋に流れ込む前の地下水をくみ上げて海に放出する「地下水バイパス」という取り組みを始めました。これによって建屋への流入量は、以前の1日400トンから300トンに減っています。
今回、より建屋に近い「サブドレン」と呼ばれる井戸などから地下水をくみ上げることで、流入量は1日150トンまで減る見通しだとしています。
さらに、1号機から4号機の周囲の地盤を凍らせて地下水を遮断する「凍土壁」の建設も進んでいて、こうした一連の取り組みで汚染水の増加量を100トン未満に抑えることを目指すとしています。
タンクで保管されている汚染水のリスクを下げる取り組みも進められています。
東京電力は、「ALPS」と呼ばれる設備などでタンク内の汚染水から放射性物質を取り除く作業を進め、ことし5月に一とおりの処理を終えたとしています。
また、高濃度の汚染水は、「トレンチ」と呼ばれるトンネルにも流れ込んでいて、ここから海に流れ出すリスクが指摘されていましたが、これについても、ことし7月までにおよそ1万1000トンの回収が終わりました。
さらに護岸沿いでは、全長780メートルにわたって「遮水壁」と呼ばれる鉄の壁を打ち込む作業が進められています。これは、汚染された地下水が海に流れ出すのを防ぐ最後のとりでで、東京電力は今後1か月余りで完成させ、護岸を完全に鉄の壁で囲うことで海の汚染を抑える計画です。
このように、汚染水を巡る対策は大きく進んでいますが、課題も残されています。
現在、タンクで保管している汚染水は、およそ68万トンに上りますが、一とおりの処理を終えても依然として一部の放射性物質が残っています。海に放出することも検討されていますが、地元の漁業関係者は強く反対していて、最終的な処分方法が決まらず、行き場のないまま今も増え続けています。