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【1974年2月】くちなしの花/渡哲也 本人不在も大ヒット 紅白に出場したワケ
★74年2月ランキング★
1 あなた/小坂明子
2 恋のダイヤル6700/フィンガー5
3 なみだの操/殿さまキングス
4 恋人たちの港/天地真理
5 くちなしの花/渡哲也
6 恋の風車/チェリッシュ
7 赤ちょうちん/かぐや姫
8 ときめき/麻丘めぐみ
9 夜空/五木ひろし
10 襟裳岬/森進一
注目母に捧げるバラード/海援隊
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。
【くちなしの花/渡哲也】
歌っている本人が病気療養で長期入院を余儀なくされると、レコード売り上げが伸び、有線やラジオのリクエストが増え始めた。
日活映画のアクションスター、渡哲也が73年8月にリリースした「くちなしの花」が年明けからヒットチャートを上昇。2月に入ると、ヒット曲の仲間入りをした。スクリーンの派手なイメージの渡とは違い、ムードたっぷりの甘い声。この手の曲は冬場が似合うが、歌が売れ出した矢先の2月1日、渡は肋膜炎を患い、静岡・熱海の病院に入院した。テレビ出演もできなければ、プロモーション活動もできないにもかかわらず、歌だけが売れるという不思議な現象にはちょっとした理由があった。
実は渡、NHK大河ドラマ「勝海舟」の主演に起用されていたが、この入院で降板せざるをえなくなった。悶々と病室で療養するしかない渡に対しファンはもちろん、週刊誌などで闘病が伝えられると励ましとともに、レコードを買うという現象が起きた。皮肉にも5月にはレコード売り上げが80万枚を突破。発売元のポリドールレコードから病室に大ヒットの金一封が贈られた。
秋になって体調が回復、仕事に復帰すると「歌は余興」とは言っていられなくなった。NHK紅白歌合戦出場が決まったのだ。「俳優である自分が本業の歌手の方々と同じステージで歌うのは失礼」と言っていたが、入院中に「テレビはNHKしか映らないような地域から励ましの手紙をもらった。大河ドラマを楽しみにしていた人もいるだろうし、自分の不摂生から病気になったのだから、そのお詫びと感謝のつもりで歌う」と出演を快諾した。
発売当初、さまざまな不手際があり、レコードは3000枚しかプレスされなかった。石原プロの看板俳優にしては少なすぎる枚数で、全国のラジオ局や有線に配るレコードにも事欠いた。そんなスタートもあって、曲を聞いた石原裕次郎は「この曲が売れたら逆立ちして銀座を歩いてやる」とま言ったとか。渡のイメージと全く違う曲に戸惑ったというのが本音だった。
その予想を覆して大ヒット。さまざまな予期せぬ事態が重なった、運命に翻弄された名曲だった。
[ 2012年2月3日 ]
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