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日本株は「米国利上げ見送り」ならどうなるか

東洋経済オンライン 9月13日(日)6時0分配信

 中国経済の大減速に端を発した株価の乱高下が続いている。日経平均株価は9月8日に前日比433円安となって直近安値を付けた後、9日は一転して1日の上げ幅としては史上6番目となる1343円高。結局、週末の11日は1万8264円で終了している。

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■ 株価の調整は一つの大きなヤマを越えた

 今回の波乱は、経済規模では世界第1位の米国と第2位の中国が、なんともアンバランスな金融政策をとっていることが根っこにある。つまり、中国は景気減速のために、景気刺激策などでアクセルを踏まなければならない。一方、米国は景気過熱・インフレを警戒するために、ブレーキを踏むタイミングを探っているというわけだ。

 日本のマーケットはこのアンバランスな金融政策の影響を受けたわけだが、空売り比率が連日40%を越していたように、株価が乱高下した原因は空売りファンドの存在が大きい。しかし、日経平均においては、2013年5月のバーナンキショックという「同質」の調整とほぼ「同額」の調整となった後に、9日は「今世紀最大の上げ幅」となった。さらに11日の「メジャーSQ」(先物・オプションの清算が同日に行われる日)もなんとか通過したことを考えると、一つのヤマは越えたと思う。

 ほぼ「同質」の調整といったのはこういうことだ。2013年5月はバーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長(当時)の金融緩和から引き締めへの政策変更発言によって株価は暴落した。やはり今回も利上げ懸念という緩和策から引き締め策への変更に対する調整であり、筆者はこの2つを同質のものだと考えている。

 また、ほぼ「同額」の調整とは、2013年5月23日の高値1万5942円から6月13日安値1万2415円までの調整幅3527円と、今回の6月24日高値2万0952円から9月8日安値1万7415円までの調整幅3537円を指す。

 今回は、中国の景気減速というもう一つの材料があるので、株価はまだ下げ余地があるとも言える。

 だが、2013年と2015年の2つの下げ幅が一致したのは偶然ではないような気がする。つまるところ、株価の位置は、カネの量と株式の量とのバランスの上で成り立つ。数字的にはっきりしなかったバーナンキ発言と、今回の利上げ後の不透明な金融政策について、日本のマーケットが出した最初の結論が、日経平均3500円余の下げではなかったか。

■ FRBの利上げの確率は50%

 さて、中国は、始皇帝の兵馬俑を現代に甦らせたような派手な軍事パレードを3日に行ったが、その後、しおらしくも経済政策の誤りを認め、「的確な対策を取る」とまで言明した。

 そして、いよいよアメリカの金融政策も今週大きなヤマ場を迎える。今回のFOMC(米公開市場委員会、16~17日)での利上げ確率は、直前になっても「五分五分」の感じだ。

 しかも、利上げ=売り、見送り=買いと言うのがマーケットコンセンサスだが、これだけ長い間練り込まれて来た材料だから、フタをあけて中をのぞいて見たら、異質なものに変質しているかも知れない。

 事前に複数のファンドに聞いてみたが「はっきりしてから動く」としている。これだけ不透明な状況では、まともなファンドは事前に動けないのは当然かもしれないが・・。

 しかし、思惑を張れる投資家は非常に面白い局面だ。理由の一つは、直前に日銀金融政策決定会合(14〜15日)があることだ。利上げ決定をするかもしれないFOMCの前日に、日銀が追加緩和をすることは「99%ない」と言われている。

 だが「1%」が出たら、大きな材料となる。最近の日本の景気指標の低調さや、びっくりさせるのが好きな黒田総裁の気質から、確率は1%よりかなり高いと筆者は考える。

 もう一つは、「Sell in May, and go away; don’t come back until St Leger day.」だ。5月に株を売れ、セントレジャーデーまで戻るなと言われるが、昨日はそのセントレジャーデー(9月第2土曜日)だった。極めて面白くなったのではないか。

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最終更新:9月13日(日)6時0分

東洋経済オンライン

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