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小泉政権のもとで郵政民営化の方針が決まってから10年。持ち株会社の日本…
小泉政権のもとで郵政民営化の方針が決まってから10年。持ち株会社の日本郵政、その子会社のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の計3社を11月4日に同時上場することを東京証券取引所が承認した。郵政は8年前に公社から株式会社に移行していたものの、政府が全株式を保有した「官営」のままだった。上場後は、一般株主に責任を負う真の民間企業経営に脱皮することが求められる。
安定的な経営の実現は容易ではない。かつて民営化したJRやNTTは、競争上の優位な立場を維持した状態で上場にこぎつけ、経営を順調に伸ばした。これに対し郵政は、各事業分野に強力な民間のライバルがおり収益力が盤石とは言えない。
上場と並行して制度面で焦点となっているのは、ゆうちょの預金預け入れ限度額、かんぽの契約限度額の引き上げ問題だ。旧・特定郵便局長を支持基盤とする自民党が実施を求めているが、金融業界や保険業界が強く反対している。
利用者の利便性を考えるなら官業時代の制約は外していく方が望ましい。だが、政府が郵政株の一定割合をもち続け「暗黙の政府保証」を維持したままでは、民間との競争が公平とはいえなくなる。完全民営化を実現するまでは、限度額引き上げには慎重であるべきだろう。
郵政の強みはネットワーク力だ。全国津々浦々に張り巡らされた郵便局の数は2万4千超。すべての市町村をカバーする。ただそれは弱点でもある。過疎地の郵便局も多く、経営効率が悪いからだ。そこをどう克服するか、重い課題を抱える。
ゆうちょの預金量は180兆円。民間トップの三菱東京UFJ銀行を上回る。巨大ではあるものの、安定した利回りを確保することは容易でない。ふつうの銀行なら企業向け貸し出しや住宅ローンで運用すればいいが、ゆうちょは貸し出しが原則禁止だ。今後認められたとしても、ノウハウに乏しく、貸し出しへ本格参入は難しいだろう。
いまは運用先のほとんどが国債や社債、株式だ。そういう機関投資家のようなスタイルのままで、いかに安定利回りを確保するかが問われている。
1987年のNTT以来の大型上場になると見られる。が、その華やかさの裏に重い課題があることも忘れてはなるまい。政府の傘を離れても、20万人以上の社員の雇用を守り、過疎地のサービスを維持することができるか。巨大官営企業の軟着陸への挑戦は、いよいよ正念場を迎える。
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