NHK映像ファイル あの人に会いたい「アンコール 堀田善衛(作家)」 2015.09.12


(テーマ音楽)歴史っていうものは古代が後ろの方にあって中世が真ん中にあって近世が来て現在今我々がいるという。
ず〜っとまあ一直線というのは言い過ぎですけどもねそういうものじゃなくてつまり古代も中世も近世も現代も全部含んだ断面が現在である。
歴史は常に今につながっている。
作家堀田善衞さんは時代への深い洞察に満ちた多くの著作を発表しました。
鎌倉時代の鴨長明からスペインの画家ゴヤまで彼らが生き抜いた戦乱の歴史の中に現代へのヒントが隠されていると考えたのです。
日本の現在の東京とかなんか大都市というものでは鐘の音というものを聞く事がほとんど不可能になってしまったんですね。
お寺やそれから教会神社などというものもですねこれは宗教で信仰であると同時に歴史そのものでもある訳なんですけどもその鐘の音っていうものが全然聞こえない都市になってマンションやらビルディングやらという現在そのものに全部埋め込まれてしまっている訳ですね。
鐘の音というものが聞こえてくるのはですね今じゃほとんどあれじゃないでしょうか。
年末の大晦日の「紅白歌合戦」が終わったぞという…。
歴史を告げるものではなくなってしまってるんじゃないかと思います。
この歴史感覚というものは今の子どもたちにどうやって一体養われていくのであるかっていう事については私はいささかこの…気になるといいますか不安を持っておりますですね。
堀田さんは大正7年富山県高岡市の回船問屋に生まれました。
慶応義塾大学仏文科を卒業し詩や文芸評論を書きながら暮らします。
そんな生活が一変したのは昭和19年。
25歳の堀田さんに召集令状が届いたのです。
その時の様子を自伝的小説「若き日の詩人たちの肖像」にこう記しています。
堀田さんは陸軍の部隊に配属されましたが訓練中にろっ骨を骨折したため戦地に行く事を免れます。
その部隊を乗せた船はサイパンに向かう途中に撃沈され全滅という運命をたどりました。
昭和20年には東京大空襲を経験。
自分が始めた訳でもない戦争になぜこれほど翻弄されなければならないのか。
割り切れない思いに胸を突かれたといいます。
10万人を超す人が亡くなった空襲の火を家がどんどん燃えるという火を見ていまして私に閃くようにして襲ってきたものがありました。
それは鴨長明の「方丈記」というもののですね火事の描写なんですね。
何て言いますか戦乱が…中世の戦乱へ私を一気に連れ出してしまった。
堀田さんが戦後発表した「方丈記私記」。
平安末期から鎌倉にかけての戦乱の世に自らの体験を重ね合わせた作品です。
私が空襲を受けて東京が廃虚になっていくについてはですね新しい別な日本が出てくるだろうという事はかなり考えました。
しかし終戦直後の堀田さんには新しい日本の姿がどうしても見えてきません。
それは「古京はすでに荒れて新都はいまだ成らず。
あるとしある人は皆浮雲の思ひをなせり」と書いた鴨長明の思いと同じでした。
堀田さんの興味はその後スペインの画家ゴヤに向けられます。
19世紀初頭ゴヤもまたナポレオン軍に攻め込まれたスペイン戦乱の時代を多くの絵画に残しました。
ナポレオンはこの近代国家の創始者だと思うんですね。
そして国民徴兵制ですね。
全国民徴兵制を作ったのは彼ですからね。
今度はもう一つですねフランス革命の理念を軍隊でもってスペインへ乗り込み世界中に持っていった。
その在り方がまだ続いてるんじゃないかと思うんですよ。
例えば日本ならばですね「八紘一宇」という理念を「大東亜共栄圏」という理念をこの間の戦争でもって軍隊でもって南方フィリピンから中国まで持っていった。
それが終わったと思ったら今度はアメリカが「民主主義」という理念を軍隊をもって持ってってベトナムまで持ってった。
こういうナポレオンの創始した徴兵制の軍隊を伴うこの近代国家というものはいい加減に終わってほしいと僕は思ってますけどね。
しかし21世紀の今も世界中で戦火が絶える事はなく暴力の連鎖を断ち切る手だてはいまだ見いだされていません。
堀田さんは執筆だけではなく世界各地に足を運び人々に直接訴え続けました。
「歴史は繰り返さず」とよく言いますけれどもですねこの言葉にはですねもう一つ「歴史は繰り返さず。
人これを繰り返す」という言葉がくっついてたはずなんですね。
堀田さんは平成10年に80歳で亡くなりました。
歴史へのまなざしを絶やさず現代に生きるための答えを導き出そうとした生涯でした。
別に過去は現在ですから…2015/09/12(土) 05:40〜05:50
NHK総合1・神戸
NHK映像ファイル あの人に会いたい「アンコール 堀田善衛(作家)」[字]

戦後派を代表する作家。「ゴヤ」「方丈記私記」「海鳴りの底から」など、歴史への深い洞察に満ちた小説を発表した。歴史を未来に生かしていくことの大切さが語られる。

詳細情報
番組内容
戦後派を代表する作家。「ゴヤ」「方丈記私記」「海鳴りの底から」など、歴史への深い洞察に満ちた数多くの小説を発表した。それらの小説はみな、乱世を生き抜いた人間を見つめた作品である。歴史は常に今につながっていると考える堀田さん。私たちがたどってきた歴史を見定めて未来に生かしていくことの大切さを語る。
出演者
【出演】作家…堀田善衛

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 – インタビュー・討論
情報/ワイドショー – 芸能・ワイドショー

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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