(三冬)ハッ!ハァハァハァ…。
(三冬)何者か!
(男性)女か。
(松軒)何だ?あれは。
(三冬)ここを老中田沼主殿頭がゆかりの家と知っての狼藉か!それを承知とあらば容赦はせぬ。
引け!引け!
(嘉助)三冬さま!
(三冬)じい大事ないか?
(嘉助)かわやへ隠れておりました。
ここは三冬の死んだ母親の実家である下谷広小路の書物問屋和泉屋が寮として使っていた所でございます
(嘉助)ゆうべのこと和泉屋の旦那さまにお知らせしましょうか?
(三冬)いやよい。
叔父さまに余計な心配をかけたくはない。
しかし…。
田沼の父上にも伝えるつもりはない。
直ちに屋敷に戻れと言われるだけじゃ。
それにしてもゆうべはよく異変に気付かれましたな。
(三冬)夢に起こされて水を飲みに出た。
(嘉助)悪い夢でしたか?忘れた。
(せき)
6月に入ってすぐの1日は富士山の山開きで富士講の人々が水ごりをとって富士の山を目指す時節でございます
9日の鳥越明神の大祭が済むと江戸は梅雨明けも間近となるのでございます
(おはる)先生ホントに迎えはいいのかね?
(小兵衛)駒形に行けばどうせ酒だ。
一眠りすればじきに夕刻。
晩飯のちそうにあずかってまた酒だ。
(おはる)お祝いの挨拶だけして帰ってくればいいじゃないか先生。
(小兵衛)う〜ん。
(小兵衛)大治郎に届けるのはこれか?
(おはる)うん。
若先生によろしくね。
(小兵衛)うん。
(おはる)あんまり飲み過ぎちゃ駄目だよ。
(小兵衛)あいよ。
(一同)おお!これよりこの指一本にて真っ二つに割ってお目にかけよう。
がまの油の効能をとくとごろうじろ〜!やーっ!どうじゃ!
(男性)いかがですか?フフッ。
・
(金太)おっかさん!おっかさん!おっかさん!おっかさん!
(辰蔵)おうおうどうした?おっかちゃんと来たのか?
(金太)うん。
(辰蔵)お前名は?
(金太)金太。
(辰蔵)ああ金太か。
(辰蔵)金太のおっかさん!金太はここだぞ!金太のおっかさん!
(金太の母)金太!
(辰蔵)ヘヘヘッ。
(金太の母)金太!
(辰蔵)お前金太のおっかちゃんか?
(金太の母)はい。
(辰蔵)ハハッよかったよかった。
(金太の母)ありがとうございました。
子供はぐれさせちゃ駄目よ。
(金太の母)はい。
よかったな。
フフフッ。
ヘヘッ。
(男性)団子はいかがかな?
(粂太郎)ああ大先生。
おお粂太郎。
朝稽古か?
(粂太郎)たった今終わりまして。
(大治郎)父上。
おお。
おはるからだ。
らっきょう。
去年漬けた梅干し。
けさ採れたソラマメ。
(大治郎)これをわざわざ?いや駒形へ行くついでにな。
駒形に何か?以前から懇意の料理屋の板前が所帯を持ったのを潮に駒形で店を出すことになってな。
今日が店開きなんだ。
ああ。
・
(おつぎ)こりゃ大先生さま。
おつぎさん。
(おつぎ)えっ?「さま」は勘弁してくれよ。
(おつぎ)ハハハッそうかい。
あっ大治郎さまこれうちで採れたフキ。
でこれが私が漬けたらっきょう。
(粂太郎)らっきょうだらけだ。
(おつぎ)うん?これ誰が?母上が。
(おつぎ)ふ〜ん。
(おつぎ)うん!よく漬かってる。
なかなかの腕だよ。
だろう?
(伊織)うっ。
(亀造)おい。
(亀造)おい。
(宗次)おーら!
(伊織)うっ!
(宗次)元締からお前を殺していいと言われてるんでね。
何をしている?
(亀造)おい引っ込んでろ!うわー!ああっ!
(宗次)お前から刺すぞ!やあ!
(男性)野郎!バカ者!
(宗次)おい!これ。
これ。
(伊織)ああ…。
どうした?あ…秋山先生。
うん?村松伊織でございます。
村松…。
お主があの…。
この伊織という若者の養父村松左馬之助は8年前小兵衛が四谷で道場を開いていた時分の門人でございます
(男性)長次さん今日からだね。
(長次)ええ。
どうぞまたごひいきに。
(男性)あいよ。
(おもと)養父といいますと?実の父親の主膳殿がこの者が2歳のときに夭折してな。
まっそのとき親戚一同が話し合い主膳殿の弟左馬之助殿が伊織の母親とめおとになったのだ。
(おもと)もともとは叔父おいの間柄が今は親子に?うん。
神田の屋敷に何度か招かれていったとき14〜15であったから今は22〜23というところかな。
店開きの日にとんだ迷惑を掛けちまったな。
何の。
(伊織)ああ…水…水。
ああ…ここはわしが。
長次を手伝いなさい。
何かありましたらお声を。
ありがとよ。
(伊織)水…。
ああ分かった分かった。
(伊織)あ痛たた…。
分かった分かった。
さあほら水だ。
大小を腰に差していながら抜きもせず…。
痛たた…。
むざむざあの世に行くつもりだったのか。
面目次第もありません。
伊織殿この仕儀はいったい?ああ…。
あんなことさえしなければ…。
(伊織)ふたつき前灌仏会でにぎわう浅草に遊びに来たとき汁粉屋に入ったのです。
何せ甘い物が好物でして。
(男性)《いらっしゃいまし》
(伊織)踊りの稽古帰りに付き添いのばあやと共に現れたのがお照でした。
かれんでした。
桜の花のようでした。
(おきち)《ごちそうさま》
(男性)《へいどうもありがとうございました》
(おきち)《えっ?何何…》《明日の同じ時刻あの娘御をここに連れてきてくれまいか?》《いやですがそれは…》《フフッ…》
(伊織)《私はいまだお役目もなくいわば部屋住みです》《目下の楽しみといえば町を出歩き甘い物を食べ時節になれば花見に祭り見物見せ物見物くらいなものです》《しかもいつもたった一人で》《もしよろしければお照さんそんな私にお付き合い願えないものでしょうか?》
(伊織)それからは5日に1度の踊りの稽古の帰りに待ち合わせるようになりました。
三囲神社のカキツバタ。
亀戸天神のフジ見。
娘御はよくも出歩けたものだ。
お照は親に友達と寺参りに行くとか踊りのおさらいがあるとかけなげに口実をつくってくれました。
なるほど。
親はばあやが一緒だからと安心していたようです。
でその娘を抱いたのか?ところが半月前…。
《お嬢さまはおいでになれなくなりました》
(伊織)《えっ?》
(子供たちの笑い声)
(おきち)《しっ!》《近頃外出の多いのに疑いを持った父親がお嬢さまを問い詰めまして…》《まあそれでとうとうお前さまのことを打ち明けてしまったんですよ》《めおとになりたいお人がいるって》《ハハハッ。
それならいい折だ》《これから私も親父さまの元に出向こう》《ちょちょ…。
父親がどんなお人か知った上で?》
(伊織)《いや》《親父さまは鎌屋の辰蔵という口入れ屋》《でもそれは表看板でして…》やしの元締?詳しくは存じませんがやしというのは盛り場や寺社の境内に出る物売りや見せ物茶店や岡場所に至るまで一手に取り仕切る稼業だと。
さよう。
配下に無頼の者を抱え何やら江戸の闇の世界にも通じていると聞きそれでお照と会うのをやめることに…。
なるほど。
当家は将軍家直参の旗本。
お照との縁組などとてもとても…。
うーん…。
しかしながら会いたい見たいの思いが募り今日お照の住まいへ…。
(伊織)お照は父親の住む家にはおらず3歳のときに死んだ母親の生家稲屋という料理屋に預けられているのです。
(おきち)《うん?》《あんたこんなとこに来ちゃ…》
(伊織)それで先ほどの仕儀と相なりました次第。
手を上げられよ。
お礼と申してはなんですが先生をお送りいたします。
フッ。
バカを言っちゃいけねえ。
私がそなたを送ろう。
いやそのようにいたされましては誠に恐縮。
死んでもいいなら一人でお帰り。
(伊織)父もいると存じますが。
今日のところはここで。
しかしせっかく…。
浅草でそなたと行き合ったいきさつを話さねばならんがそれでいいのかえ?あっそれは…。
フッ。
・
(戸の開閉音)
(利助)元締亀造が戻りやした。
話は分かった。
(宗次)あっしがしくじりました。
申し訳ねえことで。
(辰蔵)屋敷にこもろうってことなら追い出せばいいだけのこった。
屋敷に火掛けりゃ飛び出してくらぁ。
そいつは最後の最後だがな。
(利助)ところで宗次お前ら4人を打ちのめしてご丁寧に伊織を屋敷まで送り届けた侍ってのは何者だ?
(宗次)それがまったく…。
(利助)その男強えのか?かさで顔ははっきり見えませんでしたが年の頃は60ばかり。
そのくせ動きが素早く声にこっちを震え上がらせるようなすごみが…。
(男性)あっ鎌屋の旦那いつもお世話なってます。
(男性)こりゃどうも鎌屋の旦那。
お前も悔しいだろうがおとっつぁんにしたって村松伊織にははらわた煮えくり返ってる。
お前に手付けておきながら遊びで事を済まそうなんて了見は相手が将軍さまのせがれだろうと捨てちゃおけねえ。
それがこの家業のおきてだ。
鎌屋辰蔵の意気地だ。
お前の悔しさ思い知らせてやるよ。
(用人)何者か?
(辰蔵)わっしは浅草福井町で口入れを家業にしております鎌屋の辰蔵と申します。
(用人)当家が斡旋を頼む口入れ屋はすでに決まっておる。
ええ。
ご子息伊織さまのことでご当主村松左馬之助さまにお目にかかりとう存じます。
殿は早朝より登城なされてご不在じゃ。
(辰蔵)伊織さまは?
(用人)お見掛けせぬ。
(辰蔵)ならばいずれまた鎌屋の辰蔵がご挨拶に伺うとしかとお伝えを。
弥七はかつて小兵衛の道場に通う門人でしたが御用聞きとして四谷かいわいを受け持ちながら女房に料理屋を営ませていたのでございます
(おみね)先生どうぞ。
おっアイナメだな。
(弥七)へいさようで。
うーん。
おみねさんこいつはいけるね〜。
(おみね)だってさ!
(弥七)痛えな。
刻んだ木の芽にみりん酒しょうゆでたれを作りましてそれをアイナメに塗ってさんしょうをぱらぱらって振って焼いた…。
(弥七)うるせえなバカ野郎!お前向こう行ってろい!先生ごゆっくり。
フフフ…。
(弥七)先生。
うん。
おう。
浅草福井町の鎌屋辰蔵の名前は耳にしたことがありやす。
江戸の裏の世界にまで足を突っ込んでるような男だろうがそいつの人となりを知りたいんだ。
へい。
ちと込み入った事情があってな今はお前に訳は言えないんだ。
そんなもん先生が訳もなく死ねとおっしゃるならいつでも死ぬ覚悟ですから。
へい。
すまん。
そういうのもなしなし!浅草福井町の方に懇意にしている同業の者もおりやすんで2〜3日のうちには何とか。
先生そりゃいけませんよ。
暑い中汗をかいてもらうんだ。
遠慮はなしだよ。
それじゃあ遠慮なく。
(田沼)やっと現れたか。
(三冬)申し訳ありません。
(田沼)まあよい。
さあ中へ。
(田沼)しかし何故根岸なのだ?父上の前で申し上げるのはちとはばかられますが…。
うん。
ここにおりますと周りがあれこれ気を使いいささか息が詰まります。
(生島)私のことでしょうか?
(三冬)生島のことではない。
他の家人や女中たちがあれこれ世話を焼き気遣いそれがいつもいつも見張られているようでいささか。
(生島)ですが皆はよかれと…。
(三冬)それが時に気をめいらせるのじゃ。
(田沼)このまま根岸に住まうつもりではあるまいな?生島しだいです。
(生島)えっ?
(三冬)屋敷の者たちに三冬にはあまり構うなと生島が言い聞かせればよいのじゃ。
(生島)はぁ…。
しかとそのように。
そのことが行き渡った暁には戻ります故。
で根岸住まいはどうじゃ?はっ。
実は…。
(田沼)うん?あっいえ。
殊のほか心地よくのんびりと過ごしております。
ならばよい。
(男性)本日もありがとうございました。
では失礼いたします。
(大治郎)では。
(大治郎)お久しぶりです。
(三冬)うん。
(三冬)うん?今日は何か?
(大治郎)道場の稽古日でして。
(三冬)ああ。
(大治郎)では。
(三冬)あの…。
(大治郎)はっ。
(三冬)稽古はこれからですか?
(大治郎)終わって帰るところですが。
実は今秋山先生にご相談したいと思っていることが。
父にですか?しかしまあここで会うたのも何かの縁。
まずは大治郎さまに聞いていただいてもよいのです。
はぁ…。
(大治郎のおなかの鳴る音)
(男性)へいお待ち遠さま。
たんとお上がんなさい。
ただの物取りでしょうか。
話を聞いただけでは通りすがりの物取りとは思えませぬが。
しかし根岸の寮を調べて押し入ったとは思えません。
それは…。
田沼主殿頭ゆかりの家だと言うと意外そうな顔をしていました。
根岸のお住まいは物取りが目を付けそうなたたずまいでしょうか?私は物取りではない故分かりません。
フフフ…。
(三冬)うん?あっいえ…。
ここはどう見ても閑静なわび住まいの趣。
金目の物があるとは思えませんが。
(三冬)それはそうです。
そこへ5人がかりで押し込むというのがどうもふに落ちません。
ここは前々から和泉屋さんの持ち物ですか?
(三冬)どうじゃ?じい。
(嘉助)旦那さまが確か3年前神田の書物問屋秋田屋さんの仲立ちでお買い求めになったはずです。
(大治郎)ではもともとはその秋田屋さんの物?さあ詳しいことは…。
まあ茶でも…。
では。
(三冬)これから和泉屋へ参ります。
はっ?
(三冬)和泉屋の叔父さまに口を利いてもらい秋田屋さんにその辺りの事情を伺いましょう。
(大治郎)ごっつぁんです。
うまそうだな〜。
(おはる)うん。
よっ。
あーあもう。
ほれ。
泥だらけだほれ。
ちょっとくすぐったいよ。
ハハハッ!こっち貸して…。
はい。
あ〜。
ありがと。
くすぐったい…。
あっアハハッ!うん?
(弥七)お仲のよろしいことで。
おっ。
えっ?フフフッ。
あ〜!鎌屋の辰蔵のことはおおよそのことが分かりやした。
やしの元締にも色々あるようですが辰蔵って男は他の元締からも一目置かれておりやす。
ほう。
家業のおきてと男の意気とやらを立て通すために命を懸け一家を離散させてでも戦う男だといわれておりやす。
ですが何もあくでえことしてるわけじゃねえんです。
むしろ縄張り内で辰蔵のことを悪く言う者は一人としておりやせん。
よく分かった。
(大治郎)ああ弥七さんも。
(弥七)ああこれは若先生。
お久しぶりです。
何事だ?
(大治郎)父上に三冬殿のことでお話が。
三冬さま…。
もしかして三冬さまと!?はっ?先生!うん?いや三冬殿のこととは?三冬殿がここしばらく寝泊まりをしている根岸の寮に押し込みがありまして。
大よ。
はい。
お前の推察どおりそれはただの押し込みではなさそうだ。
それで前の持ち主和泉屋と同業の書物問屋秋田屋からも話を聞いてまいりました。
それで?たびたび書物を求めていた井村松軒という医者から秋田屋が買い取りその後和泉屋に売ったようです。
若先生その医者何とおっしゃいやした?
(大治郎)井村松軒と。
(弥七)井村松軒…。
何事だ?いや実は先生5〜6年前になりやすが四谷かいわいで立て続けに押し込みがありやして。
(男性)《うわー!》
(男性)《旦那さま!》
(弥七)火付盗賊改方では押し込みの手口からその時分江戸で盗みを重ねていた清州の左平次一党の仕業に違えねえと目星を付けておりやした。
《松軒先生ありがとうございました》
(弥七)入られたお店のあるじのかかりつけの医者がいずれも井村松軒でして。
盗賊改方ではこの井村松軒が左平次一党の引き込み役だったとご推察されやした。
なるほど。
で左平次は今?
(弥七)浪速の方で死んだと聞いておりやす。
根岸の寮に押し込んだのが松軒だとすると…。
左平次の残党がまた江戸でおつとめを。
あるいは根岸の寮に押し込まなければならない訳がやつらにはあるのかもしれん。
となるとまた押し入りますね。
そう思った方がいい。
(井伏)いつまで待たせる気だ?松軒。
(松軒)あそこにはむやみやたらには押し込めぬ。
(井伏)いまさら何を!
(松軒)あそこは今老中田沼主殿頭に関わりのある和泉屋という本屋の寮になっていた。
(中山)それで諦めるつもりか!
(松軒)まあまあ…まあ。
落ち着きなさいましよ。
ささっ。
ささっ。
そうやって清州の左平次もうまそうに飲んだよ。
飲んだ揚げ句に隠し金の在りかを吐いてね。
まあそのまま死んじまったがな。
(井伏)清州の左平次は毒を盛られて死んだという噂を聞くぞ。
やったのは松軒お前だろ!医者も時として薬の調合を間違えて毒にすることはあるんだよ。
(男性たち)うわっ!うっ!ハハハッ!心配するな!これは上物だよ。
とにかくしばらくは様子を見ながら隙を突いて次は必ず。
だがあの男のような女の腕は侮れんぞ。
(男性たち)おう。
(松軒)人を増やす。
頼みますよ。
(三冬)秋山先生のご心配ありがたく頂戴しますが田沼の屋敷に戻ることには承服できません。
しかし…。
(三冬)剣の道を志す者が押し込みを恐れておめおめと背中を向けるなどひきょう者とのそしりを受けます。
(大治郎)三冬殿が残ると申されるなら私もここに詰めます。
えっ?あっ…。
父ともそのように約束を。
あ…秋山先生がそのように申されるならご厚意ありがたくお受けしましょう。
じい少し熱いが。
・
(大治郎)あっすみません。
何ですか!
(大治郎)嘉助さんは夕げ…。
夕げの支度で…。
先生若先生寝泊まりして大丈夫かね?押し込みの5人や6人どうってことあるまい。
違うよ三冬さまとだよ。
若い男と女が一つ屋根の下。
大治郎にそのくらいの気概があればむしろ褒めてやるよ。
まっそれはそうだね。
剣客として生きるにはもう少ししなやかにならんとな。
がちがちに張り詰めてると案外ポキリともろいもんだ。
先生だったらすぐに襲うね。
おいおい。
3年前は私を襲ったくせに。
あのときはお前も待っていたんだろう?うっ…それはそうだけど。
ほら。
飲むか?うん。
あ〜。
う〜ん。
今日も月が奇麗だね。
ああいい月だ。
ハァ…。
・
(大治郎)眠れませんか?ご心配なく。
(三冬)何にも心配など!鎌屋の辰蔵です。
(辰蔵)おお金太!
(金太の母)先日はどうもありがとうございました。
(辰蔵)おい。
ほれ。
おっかさんの手離すんじゃねえよ。
なっ?ハハハッ。
(女性たちの悲鳴)
(男性)おい。
将軍家のお膝元でこんな粗悪な物を売るとは許さん。
(男性)お許しください!ほう。
許してほしいか。
(男性)お武家さま何を!?
(男性)やかましい!
(男性)うわー!
(女性)お前さん!
(男性)女!身分の違いはあれどわれらに酌をいたすのならば許してやってもよいぞ。
何しやがんだ!い…田舎侍が!
(男性)貴様無礼者。
(辰蔵)ヘヘヘッ。
(男性)どけ!お侍方ここはありがたい八幡様の境内でございます。
ご参詣の皆さんの通行の邪魔にもなりますからひとつ穏やかに。
ヘヘヘッ。
あちらへ。
あちらへ。
(一同)おお。
(辰蔵)ヘヘッ。
(男性)うわっ!
(亀造)兄貴!
(利助)お照さんが稲屋からいなくなりやした。
あっよ…用事でちょっと出掛けてる間に…。
まだ四半時はたってねえようです。
捜せ。
(利助)おい!浅草一帯の顔見知りにも手配りしろ。
(一同)へい。
(男性)おいどうだい?
(男性)ああ知らねえな。
(宗次)そうか。
すまねえな。
・
(男性)ああ旦那旦那!
(宗次)おう。
田原町の方でお嬢さん見掛けやしたぜ。
ホントかい!?
(男性)ああ。
ありがとよ。
亀造!おい。
(亀造)おう。
ありがとよ。
お嬢さん元締が心配なすってます。
お前まさかあの伊織に会おうなぞと…。
(お照)おとっつぁんから逃げたかっただけ。
何!?どうしてやしの元締なの?
(お照)おとっつぁんのせいで私は!どうして人並みのことすら私にはできないのよ。
大っ嫌い。
(お照の泣き声)
(宗哲)しかしまあ旗本の小せがれがよりによってやしの娘となぁ。
このままでは幕府御小納戸衆村松家に傷が付く。
いや屋敷に乗り込まれでもしたらお家廃絶の憂き目を見ることになる。
(宗哲)やしがそこまでやるか!?辰蔵という男一本筋の通った元締のようだ。
(宗哲)ほう。
筋目をたがえたら相手が武家であろうと容赦はせんだろう。
(宗哲)関われば小兵衛にしても災難が降り掛かるんじゃないのか。
やめろ。
やめろ。
昔四谷で道場を構えていた時分やりくりに困ってな村松左馬之助殿に2度3度と助けられたことあるんだ。
借りた金は返したんだろう。
いらんと言われてな。
ああそれでは逃げられんな。
その恩があるんだ。
今日は姿を見せんな。
うーん…うん?誰?いやあれ長屋の子持ちの出戻り。
おとよさんは親父さんと娘連れて湯治場だ。
ああ。
だったら一緒に行けばよかったじゃないか。
それもそうだな。
えっ?フッ。
フフフッ。
しかしその小せがれが屋敷を出ないとなるとどうなる?押し掛けてでも辰蔵は意地を通すだろう。
じゃあそのせがれをよそに移すことだ。
となるとせがれの身に降り掛かった一切を親に言わなきゃならなくなる。
自業自得。
せがれにはいい薬だ。
フフフッ。
(松江)伊織そなた何ということを!
(左馬之助)秋山先生にはご面倒をおかけしました。
左馬之助殿にはかつての恩もある故。
恩などとはめっそうもございません。
(松江)それで秋山さまこの後いかがいたせば?念のため伊織殿に屋敷を出てもらいます。
しかしそれでは私の身が。
もはや伊織殿一人のことでは済まぬのですぞ。
あのやからは殺そうと思えば相手が大名旗本だろうと必ずやり通す。
伊織殿を屋敷から引きずり出すためには屋敷に火を掛けることもいとうまい。
伊織腹を切りなさい!まあまあまあ。
相手と何とか丸く収めたいと思うのだが。
何か手だてが?しばらく伊織殿を手元に預からせてもらいたい。
(伊織)ここは?せがれの道場だ。
(伊織)さぞや多くの門人がおいででしょうね。
1人だ。
(伊織)えっ?
(おつぎ)ハハハッ。
大治郎先生のお父上。
ヘヘヘッ。
あっ…。
おつぎさん。
(おつぎ)うん?実はしばらくここで寝泊まりを。
(おつぎ)あっもう聞いてるよ。
誰に?うん?さっきおはるって娘っ子が来て言ってた。
米やら味噌やらをここに運ぶようにお父上に言いつかったって。
ほら台所にあるからさ。
うん。
そうか。
大治郎先生には妹さんがいたのだねえ。
いや…あれはわしの連れ合いだ。
(おつぎ)うん?連れ合いというと?女房だ。
ハハハッ。
よく言うよ。
ハハハッ。
食べておけ。
どうも食べたいという気が。
事が起きたとき空腹では働けんよ。
この後私はどうなるのでしょうか。
「私は私は」と…。
もはや村松家の命運に関わる事態に立ち至っているんだぞ。
・
(三冬)秋山先生。
おっ三冬殿。
(三冬)この方が…。
伊織殿です。
でこちらには?大治郎さまがこちらの様子も気になると申されるので私が代わりに。
しかし何事ですか?うーん。
(三冬)あの者が?
(三冬)町娘と良い仲になってその揚げ句逃げるなど何という見下げ果てた男か!はなっから遊びのつもりはなかったようだがめおとになるには家柄のことも斟酌しなければならず。
おなごの真心をもてあそんだも同じです。
娘の父親もそれで腹に据えかねているんです。
(三冬)旗本とあろう者が何とも情けない。
仮に遊びであったとしても別れ方がよろしくない。
ほう。
娘御が得心するまで誠心誠意言葉を尽くすべきをあの者はひきょうにも逃げたのです。
うん。
殺そうと思う父親の気持ちも分からんでもないが。
殺そうとしているのですか?屋敷にまで押し掛けられたのでは手の施しようがないのでわが手元に置くことにしたのだよ。
・
(足音)
(伊織)先生台所の片付けは済みましたが。
(宗次)村松伊織です。
お照の父親だよ。
鎌屋の辰蔵。
押し掛けるにも作法ってものがあろう。
せんだってから何かと邪魔をしてくれたのはお前さんか?人のうちに土足で上がり込むのがやしの流儀か?きっちりけじめはつけさせてもらうぜ。
(辰蔵)どけ!この男は殺させん。
じゃあ仕方ねえ。
この道場を血で汚すわけにはいかん。
(辰蔵)構うこたねえ。
殺しちまえ!
(辰蔵)野郎!
(辰蔵)野郎!
(利助)元締今日のところは。
(辰蔵)利助どす貸せ!
(利助)いけません!
(辰蔵)どす!利助!三冬殿。
この男を根岸へ連れていってもらいたい。
先生は?ここでしばらく様子を見る。
(大治郎)ともかく今夜は休まれよ。
大治郎さまはあの者の所業を何と思われます?はっ?認めるのですか?認めるも何も人はそれぞれです。
大治郎さまもいざともなればおなごに対してあの者のような振る舞いを?それは…。
(三冬)ハァー。
信じられぬ!
(大治郎)えっ?うまい。
居候の分際で今時分あさげとは何事か!?大治郎さまは夜明けとともに近辺の見回りをなされたというのに。
(伊織)あのここのじいやに聞いたのですがこの家が何者かに襲われるというのは誠で?
(大治郎)それがいつになるか分かりませんが。
私は…私はいったい…。
(大治郎)いざというときはあなたにも立ち働いていただきます。
わしに話があるとか。
(伊織)はい。
ご子息の大治郎殿は私と2つ3つしか年は違わぬとか?そうなるな。
にもかかわらず何とも頼もしい様子を見てやっと己のふがいなさに気付きました。
ほう。
こたびのことは何もかも私が悪いのでございます。
そんなことは初めから分かっておる。
それがために皆さまにも恩義ある父上にも大変なご迷惑を。
そうだ。
私は身分の違いということにとらわれ過ぎて己の気持ちをないがしろにしておりました。
お照とめおとになります。
私は村松の家を出ます。
何?親類たちの家に私よりももっともっとしっかりした次男三男が何人もおります。
その中から1人を選び村松の家に養子に来てもらえば家名は残ります。
ほう。
やしの元締の婿になるのか?そうなるかどうかはともかく…。
たとえ浪々の身となってもお照とめおとになれば。
誰も文句がつけられぬということか?秋山先生お願いです。
どうかそのようにお取り計らいください。
その方がよいのです。
私はとてもあの立派な父上の跡を継げるような男ではございません。
ですからその方がよいのです。
(三冬)話は聞いたが何だあの男は!
(嘉助)「あの」?
(三冬)一度は逃げたくせにめおとになりたいから家を出るなど旗本の子息でありながら情けない!
(嘉助)三冬さま。
家を出るなどあまりにも軽々しい。
湯は冷めてますからたいた方がよいかと。
あっ。
それには及ばぬ。
ここを老中田沼主殿頭がゆかりの家と知っての狼藉か!そんな私にお付き合い願えないものでしょうか?やしの元締?お照の父親だよ。
この男は殺させん。
野郎!また押し入りますね。
そう思った方がいい。
(宗哲)めおとにねえ。
あながち口から出任せとも思えん。
涙を流していた。
己の不始末をよくよく思い知ったようだ。
めおとにさせられるのか。
幕府御小納戸衆村松家の跡取りだ。
まっそう簡単に頭をすげ替えるというわけにはいかん。
うーんなるほど。
かといってやしの娘を嫁に迎えるというのも…。
できんか?いや…できる。
うん?うん。
(大治郎)どうされました?
(三冬)秋山先生から文が参りまして何やら私に力を貸してほしいと。
(女中)どうもありがとうございました。
ごちそうさま。
お待たせいたしました。
どうぞ奥の方へ。
お二人さま。
・はーい。
あの…。
こちらはもしかするとお照さんの亡くなったおっかさんのご実家では?
(女中)ええ。
あの…。
あっ踊りの稽古のときそんなことを聞いたような。
(女中)ああ踊りの方のお知り合いですか。
(お照)あの…。
村松伊織さまのことでお照さんと話をしたいという方がいるのですが。
お照さんだね。
まっお掛けなさい。
白玉汁粉。
・はーい。
(辰蔵)半年1年かかってでも野郎だけはただじゃおかねえ。
(宗次)そんなまだるっこいことじゃらちは明きませんぜ。
(辰蔵)何が何でもしてのけるつもりだがな。
俺は俺のやり方でやる。
憎い野郎を始末しねえうちは俺は死んでも死にきれねえのだ。
(利助)元締に従います。
(宗次)へい。
・
(亀造)何しに来やがった!てめえよくも!おい!元締この前のじじいが!元締に会わぬと言われると困るので勝手に入らせてもらった。
バカ者!元締と2人で話がある。
他の者は表に行ってろ。
元締。
出ていかんとそっ首打ち落とすぞ。
村松伊織がなお前の娘を女房にすると言いだしたぞ。
何を言ってやがる。
俺の腹立ちに恐れをなして渋々口にしたのだろうよ。
そんな心ない野郎とめおとになってもお照が哀れだ!どだいうまくいくわけがねえ!伊織殿は心底お照さんとめおとになりたいとそう言うのだよ。
そのためなら村松の家を捨てるともな。
辰蔵。
だがひでえ目に遭ったお照が…。
お前…。
荒っぽい親父に似合わずお照さんはいい娘じゃないか。
お照さんにも伊織殿の思いは伝えたよ。
もしお照さんの思いが別にあるのなら伊織殿を諦めさせる他ない故な。
おとっつぁん。
私は伊織さまとめおとになりたい。
秋山さまは今すぐには無理でも1年か2年辛抱すればとお言いなの。
お前はそれを望んでいたのであろうが。
2人の思いが1つならわしも乗りかかった舟力になると約束した。
その代わりお前には一度死んでもらわねばならん。
何?死んだな。
何のまねで?お前にはやしの元締から身を引いてもらいたい。
(お照)おとっつぁん。
(お照)いいの?めおとになれるなら1年でも2年でも辛抱するってお前は言ったんだ。
俺も辛抱するしかねえやな。
おとっつぁん。
ハハッ。
・
(鐘の音)
(辰蔵)暮れ六つか。
(辰蔵)日暮れになりゃお天道さんだっててめえの身の引き時はわきまえておいでだ。
ハハハッ。
伊織殿と相手の娘は奇麗に別れさせました。
娘の父親もそれぞれの身分をわきまえて快く納得しました。
秋山先生の労に何をもって報いればよいのか。
ひとつわがままを聞いてもらいたいと。
何か?伊織殿の嫁御は私に見つけさせていただきたいのですが。
いずれかに心当たりでも?あっいささか…。
なれど半年1年先になるかと。
秋山先生のお墨付きならいなやはありません。
何とぞよしなに。
(田沼)何かわしに頼みがあるとか。
はっ。
実は存じ寄りの娘を生島さまの養女にと。
ほほう。
何か子細がありそうだな。
恐れ入ります。
(生島)私もその娘御とは会いましたがなかなか良い気性と見受けました。
生島さまの元で行儀作法を身に付けさせゆくゆくは嫁に出していただければ幸いと。
わしに異存はない。
それは小兵衛の隠し子か?いやいや…めっそうもない。
ハハハッ。
小兵衛ちと。
(田沼)先日屋敷の者に三冬の様子を見に行かせた。
はい。
(田沼)大治郎が泊まり込んでいるとか?実は…。
あっいや。
押し込みの恐れがあることは聞いた。
あっ。
で大事ないか?三冬殿と大治郎の腕なら。
そのつまり一つ屋根の下にいるということはだ。
あっ。
なっ。
ご心配なら大治郎を引き揚げさせますが。
いや…それには及ばん。
しかし…。
(田沼)なるようになればそれはそれでよいのだ。
相手が大治郎でも?
(田沼)うん。
ただ三冬がな。
あのとおり男勝りの剣客を装い女心を押し殺す癖がある。
大治郎にはそのような女心を読めぬ不器用さがありまして。
しばらくはあの2人のことで気をもむことになるな。
そのようですな。
(田沼・小兵衛)ハァー。
近くの林からこちらをうかがう浪人が1人。
いよいよか。
粂太郎秋山先生にお知らせを。
若先生雑木林の先の古寺に浪人が集まっていやすぜ。
(大治郎)人数は?初めは3人ばかりでしたが今は8。
いや…9人ほど。
(大治郎)今夜です。
不思議と腹が減りまして。
このようなときに食べられる方が不思議です。
気配があれば嘉助さんは三冬殿と奥の押し入れに身を隠してください。
はい。
どうして私が身を隠さねばならぬのですか?つまりその…。
押し込みごときに後れを取るとでもお思いか!いえ万一のことがあれば…。
万一とは?いえ…。
裏に人影が3つ。
表には5〜6。
家の中に入り込んだら私が追い出します。
三冬殿は中へ!
(三冬)しかし…。
言うことを聞きなさい!大よ1人は生かしておけ。
井村松軒の居場所を聞き出さねばならん。
(大治郎)はい。
大治郎さま後ろ!ああ…。
あっ!
(弥七)井村松軒です。
開けてみろ。
(大治郎)はっ。
うわー。
うわー。
幾らある?せ…千両。
清州の左平次の隠した金だな?いまわの際に私にやると。
うん。
このとんでもないお人に住まわれたのが運の尽きだな。
父上は押し込みの狙いが金だと?盗賊の片割れが血眼になったとすれば金しかあるまい。
(弥七)あっしは番所へ。
うん。
頼むぞ。
(弥七)へい。
行くぜ!さてと…。
この金を何とする?何ととは?
(大治郎)まさか父上…。
三冬殿は家を荒らされ大治郎はずっと泊まり込み。
いや…わしとしても剣を振るって苦労をした。
まあ少しぐらい手間賃を頂いても罰は当たるまい。
先生が盗っ人の金をかすめ取ろうと申されますか。
かすめ取るなど…。
いくら剣をもってのなりわいとはいえそれはあまりに浅ましい所業かと。
浅ましい?はい。
(三冬)うん。
いや…しかしなあ。
千両という額が少しでも減っていれば弥七さんに疑われるのはわれら3人です。
うん…。
(三冬)うっ。
うっ。
(生島)おおーこれはこれは。
あっこの者は私の養女となりました照にございます。
ああそうか。
(生島)殿にお目通りをと存じまして。
あなたさまは?生島こちらへ。
何か?
(三冬)あの者はつまり…。
町人の娘でしてゆくゆくは武家の嫁とするため私の養女に。
これは仮の話だがもし武家の娘が例えば浪人とめおとになる場合障りはあるのか?
(生島)ございません。
娘が武家を離れればよいだけのこと。
うん。
大きくなったらタロウちゃんのお嫁さんになる。
(タロウ)分かった。
てめえ。
手酌がいいだろう。
竹細工かい?何もすることがねえもんでね。
うん。
一句ひねるって柄でもねえし。
何を作る?まずはざるだ。
腕が上がれば次は鳥籠だ。
結構な住まいだな。
1人じゃ広い。
女房亡くして何年だ?12〜13年。
それから男手一つで育てた娘をよそにやったか。
後添えをもらっても亡くした女房も怒るまい。
この年でか。
幾つだ?申。
同じようなもんだ。
俺は未年だ。
1つ上か。
お前が1人でいるよりお照さんはその方が安心じゃねえか。
それに1人だと老け込む。
あんたも1人か?3年前若い後添えをもらった。
若いのを?25になるせがれより若い。
それをせがれは母上と呼んでおる。
あんたにゃ何もかもかなわねえ。
お前さん。
昔は相当遊んだ口だろうが若い時分とは違う遊び方もある。
うちにこもらず外に出ることだ。
誰がこんなとこに閉じ込めた?外に出りゃ茶飲み友達もできる。
わしが酒飲み友達になろうか?そいつは断る。
もし今の暮らしに嫌気が差したときこんな目に遭わせたあんたにどすを向けるかもしれねえ。
何だ?こう決めたのはお前だよ。
せがれのために剣を捨てろと言われてわしにそれができるかどうか。
一人暮らしで気掛かりなのは病だ。
もし体のことで困ったことがあったらこの先の亀沢町に小川宗哲という医者がいる。
遠慮なくわしの名を出すがいい。
わしはそろそろ…。
(辰蔵)ああっ!あっいや…あれだ。
酒悪かったな。
気が向いたら今度おごってくれ。
稽古は?朝稽古は終わりましたが何か?うん。
いや…よい。
根岸を出てこちらに戻られたとか。
うん。
戻った故いつにてもその…。
はっ?大治郎さまにいつにても一手ご指南願えるかと。
はっ。
折を見てぜひ。
あっいや…糸くずが。
あっ。
ごめん。
根岸の寮の床下から見つかった金千両は弥七の手によって奉行所に届けられたのでございます
(おはる)冷たい水だよ。
大治郎め三冬殿とつるんでわしを戒めよった。
あの2人の前でお金の話をしたのが間違いなんだよ。
うん?盗っ人がお金を隠したと察したとき先生が先にこっそり取り出しておけばよかったんだよ。
うーん。
そうしておいてみんなの前で空のつぼを出すんだよ。
おい。
何だね?その手があったな。
うん。
あー。
左馬之助殿には大嘘をついたわしがこの期に及んでついまっとうなことをしてしまった。
そうだね。
ハハハッ。
フフフ…。
江戸は梅雨が明け間もなく夏も終わろうかという鐘ヶ淵のわび住まいでございます
2015/09/11(金) 21:00〜22:52
関西テレビ1
金曜プレミアム・剣客商売〜陽炎の男〜[字][多]
「身分違いの恋が巻き起こす因縁!対決する剣客と侠客の親心が、予期せぬ結末を導く」原作:池波正太郎 北大路欣也 杏 斎藤工 貫地谷しほり 國村隼 古谷一行
詳細情報
番組内容
江戸屈指の剣の達人である秋山小兵衛(北大路欣也)は40歳年下の妻・おはる(貫地谷しほり)と悠々自適な生活を送っている。息子の大治郎(斎藤工)は父とは対照的に生真面目な性格で、自らの剣術道場で稽古に励む日々だ。小兵衛を慕う男装の女武芸者・佐々木三冬(杏)はある晩、見知らぬ浪人の押し込みを受けてしまう。三冬の機転で撃退したものの、三冬はその直前に見た、ゆらゆらと陽炎が立つ向こうから顔の分からない男が
番組内容2
向かってくる夢のことが気になっていた。
小兵衛は大川端で、暴漢に襲われ痛めつけられている若侍を助ける。するとその若侍は、小兵衛が四谷で剣術道場を開いていたときの門人・村松左馬之助の息子・伊織(窪塚俊介)であることが分かる。小兵衛が伊織に事情を聞くと、二カ月前に汁粉屋で知り合い付き合うようになったお照(小林涼子)が、江戸の闇の世界にも通じていると言われる香具師〈※〉の元締め・鎌屋の辰蔵(柄本明)の
番組内容3
一人娘であったため、娘に手を付けたことに憤った辰蔵から命を狙われているという。小兵衛は御用聞きの弥七(山田純大)に、辰蔵について調べるよう指示を出す。
一方三冬は家に押し込みがあった件について大治郎に相談。大治郎から事情を聞いた小兵衛は再び押し込みがあると予想し、三冬を警護するために大治郎を和泉屋の寮に行かせるが・・・。
※香具師(やし。縁日などの興業を取り仕切る稼業のこと。)
出演者
秋山小兵衛: 北大路欣也
佐々木三冬: 杏
おはる: 貫地谷しほり
秋山大治郎: 斎藤工
鎌屋の辰蔵: 柄本明
村松伊織: 窪塚俊介
お照: 小林涼子
小川宗哲: 古谷一行
田沼意次: 國村隼
スタッフ
【原作】
池波正太郎「陽炎の男」・「嘘の皮」(新潮文庫刊)
【脚本】
金子成人
【編成企画】
羽鳥健一(フジテレビ)
【企画】
武田功(松竹)
【プロデューサー】
佐生哲雄(松竹)
足立弘平(松竹)
【監督】
山下智彦
【音楽】
大島ミチル
【制作】
フジテレビ
松竹株式会社
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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