NHKニュース7 2015.09.11


堤防決壊から一夜明けた11日朝8時です。
道路が途中で完全に切れて、寸断されています。
鬼怒川の堤防が決壊した茨城県常総市。
甚大な被害が分かってきました。
取り残されていた住民の方を、自衛隊のヘリコプターへ誘導しています。
救助は全国各地から駆けつけたヘリコプターで。
そしてボートでも。
お年寄りが船から陸地へと助けられてます。
避難所には、近所の人たちから温かい差し入れが届けられました。
ありがとうございます。
堤防の決壊は、宮城県大崎市でも。
住宅が浸水し、住民が孤立しました。
ヘリコプターで住民の救助に当たった、海上保安官が撮影した映像です。
ワイヤーを使って、住宅の2階のベランダに降ります。
この家から、子どもを含む6人が無事救助されました。
車も。
収穫前の稲も。
住宅も水につかりました。
記録的な大雨による被害。
関東から東北南部へと拡大しました。
各地で合わせて3人が死亡、26人がけがをして、23人が行方不明になっています。
こちらは主な被害の状況です。
鬼怒川の堤防の決壊で、22人が行方不明の茨城県常総市。
栃木県では、土砂崩れなどで2人が死亡しました。
そして宮城県大崎市では、川の堤防が決壊して、広い範囲が浸水。
栗原市では川の水があふれ、1人が死亡しました。
そして多くの行方不明者が出ている、茨城県常総市の状況です。
浸水したエリアは、この水色で示した部分。
きのう夕方の時点で、南北10キロほどにわたっています。
決壊したのはこちらです。
南北に走る鬼怒川の堤防です。
浸水の深さについて、救助に当たった自衛隊員は、ひどい所では首元まで水につかる中、救助に当たったと話しています。
災害対応を担う市役所も浸水しました。
5300人近くが避難所に避難しましたが、浸水した住宅などに、今もおよそ590人が孤立した状況です。
被害が広がった常総市。
住宅などに取り残される人が相次ぎました。
なぜこうした事態になったんでしょうか。
鬼怒川は流域に降った大雨の影響で、常総市より上流の筑西市で、おととい午後11時20分に、洪水の危険性が高まる氾濫危険水位を超え、常総市はこの3時間後のきのう午前2時20分、市の北部にある若宮戸地区などに避難指示を出しました。
その後、午前6時過ぎに、若宮戸地区で堤防を越えて水があふれ出し、氾濫が発生します。
しかし、決壊が起きた5キロほど下流の三坂町地区に市が避難指示を出したのは、決壊のおよそ2時間半前の午前10時半で、若宮戸地区などに比べて8時間以上遅れました。
市の担当者は、上流で出た被害に手を取られてしまい、下流で堤防が決壊するとは思わなかったと話しています。
さらに、午後0時50分ごろ、三坂町地区で堤防が決壊し、その情報が、国土交通省の事務所から入った際、常総市は、水があふれ出した鬼怒川の東側の住民に対し、川の西側にある避難所に早急に避難するよう、防災行政無線を通じて呼びかけました。
住民の中には次のように話す人もいました。
防災常総でいろいろ放送は流れてたんですけど、雨の音でかき消されちゃってるのと、あっちこっちで反響しちゃって、どこで流れてるのか、ちょっと聞き取れなかったですね。
高台にある高校のほうに避難しようかって思って、ちょっと自家用車で行ってみたんですが、渋滞していて通れない状態で。
どこに避難したらいいのかとか、どの道通れるのかとか、そういうことをもうちょっと伝えてもらえれば。
その結果、鬼怒川を渡る橋が渋滞するなど、混乱が生じ、市はその後、避難できない住民を、東側のつくば市などに避難させようと、市役所などに受け入れを要請したということです。
市の担当者は、東側に避難するという考え方もあったと思うが、鬼怒川の東側にある避難所がほとんど水につかるという予想だったので、西側への避難を呼びかけたと話しています。
住民の避難行動に詳しい、群馬大学大学院の片田敏孝教授は、こうした大きな災害に対して、市の事前の避難計画が不十分で、危険が迫ってから対処したため、混乱が生じたと考えられる。
住民が最も安全に避難できるためには、市区町村の枠を超えて、広域で連携できるよう、あらかじめ対処していくことが必要だと指摘しています。
22人の行方が分からなくなっている常総市。
かろうじて難を逃れ、水につかった家などで不安な一夜を明かした人たちの救出活動が、きょうも続けられました。
ボートでの救出活動も本格的に始まり、住民が次々に、ボートで助け出されました。
大丈夫?落とすなよ。
警察と海上保安部によりますと、午後4時の時点で、これまでに415人の住民を救助したということです。
それでも浸水した住宅などでは、およそ590人が孤立し、救助を待っているということです。
常総市で浸水した住宅は、およそ6500棟に上ると見られています。
救助が急がれるのが、お年寄りや病気の人たちですが、特別養護老人ホーム、筑水苑では、お年寄りや職員など、120人余りが取り残されています。
寝たきりの状態の人など、多くのお年寄りは、体力的にヘリコプターやボートで救助するのは難しく、県などでは、水が引くのを待って、支援の方法を検討するとしています。
復旧作業が始まっています。
流れ込んだ水をポンプで川に戻す作業が進められ、徐々に水は引き始めています。
水が引いた地域では、住民が家に流れ込んだ土砂やがれきの片づけに追われました。
一方で、ポンプで水を川に戻す作業を終えるには、時間がかかる見通しです。
また鬼怒川からあふれた水は、低い土地に向かって流れていることから、今後、浸水地域がさらに広がるおそれがあるということで、国土交通省は、高い場所に移動するなどして、安全を確保するよう呼びかけています。
多くの人が避難所にやって来ました。
きょうも、不安な夜を過ごすことになります。
大変だったね。
けがはないけど、だから薬も飲めないし。
避難所に広がる香ばしい香り。
はい、出来たてのたこ焼き、いかがですか?
避難した人たちを元気づけようと、たこ焼きが差し入れられました。
また、赤ちゃんのミルクが不足するおそれがあるため、粉ミルクも届けられています。
支援の動きが広がっています。
堤防の決壊から2日目の夜を迎えました。
常総市では、午後5時の時点で、少なくとも5000人以上の方が避難をしています。
隣接するつくば市の避難所から中継です。
常総市の住民が避難しているつくば市の交流センターです。
今夜もおよそ300人が、こちらで夜を明かす見込みです。
ロビーに設けられたテレビの前では日中、市街地の広い範囲が浸水した常総市内の映像が伝えられるたびにどよめきが起き、これでは当面、帰れないなどと、落胆の声が上がっていました。
50代の女性は、自宅の周辺が屋根の近くまで水につかっていて、ショックでした。
電気や水道など、ライフラインにも影響があると思うので、しばらく避難生活が続きそうで、気がめいりますと話していました。
避難所では、避難生活の長期化に備える動きも出ています。
避難所の運営を支援するボランティアの人たちの登録窓口が、きょう午後、開設され、およそ30人が登録しました。
また、避難をしている人たちが、体調を崩さないよう、保健師が見回り活動を行っています。
常総市に隣接するつくば市の避難所でした。
そして東北南部での被害です。
こちら、宮城県大崎市では、この渋井川の堤防が決壊しました。
東北新幹線の古川駅から、およそ4キロ南西の場所です。
救助の要請が相次ぎ、ヘリコプターなどで100人以上が救助されました。
およそ400世帯が浸水し、市内の避難所には、一時700人以上が避難しました。
比較的小規模で、本流の川に流れ込む支流で起きた決壊。
専門家は、バックウォーターと呼ばれる現象が発生した可能性があると指摘しています。
大崎市西荒井地区です。
川から流れ出た茶色い水が、田畑や住宅まで流れ込んでいます。
堤防が、長さおよそ20メートルにわたって決壊した、宮城県大崎市を流れる渋井川。
およそ400世帯が浸水して、救助の要請が相次ぎました。
男性が手を振っているのが確認できます。
上空からはヘリコプター。
地上ではボートを使った救出活動が行われました。
市によりますと、警察や消防、自衛隊が、ヘリコプターやゴムボートで救助活動に当たった結果、午後5時までに103人を救助したということです。
消防などは、引き続き取り残されている人がいないか、浸水した住宅で確認を進めています。
市内の19か所の避難所には、一時700人以上が避難し、このうち127人が、避難所で過ごすということです。
堤防が決壊した渋井川は、比較的小規模な川。
本流は多田川です。
なぜ決壊してしまったのでしょうか。
専門家は、本流の水位が高いため、支流の水が流れにくくなる、バックウォーターと呼ばれる現象が発生した可能性があると指摘しています。
今回、堤防が決壊したのは渋井川と、本流である多田川が合流する地点のすぐ近くです。
本流の多田川の水位は、きょう未明にかけて、急速に上昇していたと見られます。
本流の水位が高くなった結果、支流である渋井川の水が、本流に合流しにくくなったのです。
風間教授は、その結果、進めなくなった渋井川の水が、合流地点の近くであふれ、最終的に堤防が決壊したと見ています。
本流の水位が高くなり、支流の水が流れにくくなる現象、これがバックウォーターです。
さらに、渋井川には水位計が設置されておらず、市は川の状況を正確に把握することが難しかったとしています。
大崎市では、きのうから雨が降り続き、昨夜遅くから1時間に20ミリを超える強い雨が降りました。
その上、きょうに入ってからは、発達した帯状の雨雲がかかり続けました。
午前3時20分、気象庁は、甚大な災害の危険が迫っているとして、宮城県に大雨の特別警報を発表。
市には、玄関の前まで浸水しているなどといった通報が相次いでいたことから、午前4時半に、渋井川の周辺を含む広い範囲に、避難準備情報を出しました。
その後、午前5時前、川の堤防が決壊したという通報。
しかし、避難勧告や、避難指示は出ていませんでした。
被害の拡大を受けて、政府は茨城県と栃木県に調査団を派遣。
報告を受けた安倍総理大臣は、引き続き被害の全容の把握を急ぐとともに、行方不明者の捜索に全力を尽くすよう指示しました。
今後の雨の見通しです。
関東北部では今夜遅くにかけて、大気の不安定な状態が続き、局地的に1時間に30ミリの激しい雨が降るおそれがあります。
また宮城県では、川の氾濫の危険性が非常に高くなっている所があり、気象庁は引き続き、宮城県に大雨の特別警報を出して、川の氾濫に最大級の警戒を呼びかけています。
一方、台風17号。
今夜、北海道に接近したあと、温帯低気圧に変わる見込みです。
根室市では、午後6時前に、24.2メートルの最大瞬間風速を観測しました。
北海道ではあすの未明にかけて、局地的に1時間に40ミリの激しい雨が降るおそれがあります。
気象庁は、強風や高波、低い土地の浸水などに注意するよう呼びかけています。
では次のニュースです。
今の国会の焦点の一つ、改正労働者派遣法。
これまで2回廃案になっていましたが、きょうの衆議院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、成立しました。
改正法は今月30日に施行されます。
採決いたします。
同意の諸君の起立を求めます。
起立多数。
改正労働者派遣法は、きょうの衆議院本会議で、自民、公明両党と次世代の党などの賛成多数で可決され、成立しました。
改正法で、派遣労働はどう変わるのか。
現在は一部の業務を除いて、一つの業務で企業が派遣を受け入れられる期間を、最長でも3年としています。
改正法ではこの期間の制限を撤廃。
その一方で、1人の派遣労働者が同じ部署で働ける期間を3年に制限するなどとしています。
また派遣会社に対し、派遣期間が3年に達した労働者を直接雇用するよう派遣先に依頼することや、新たな派遣先を提供することなどを義務づけています。
ただ、派遣先の企業は、正社員などとして直接雇用する義務はありません。
また派遣先の企業は、労働組合などに意見を聞いたうえで、人を替えれば、何年でも派遣に業務を任せられるようになります。
民主党などは、派遣労働の固定化につながるとして、廃案を主張。
今の国会の焦点の一つとなっていました。
そしておととい、参議院本会議で、民主党などの主張を踏まえ、労働者の正社員化に向けた取り組みを講じることなど、39項目の付帯決議が可決。
今後、厚生労働省は、付帯決議の内容も踏まえ、改正法の施行に必要な政省令の取りまとめを急ぐことにしています。
ただ、改正法が施行される今月30日まで時間が限られる中、派遣会社などに周知する必要もあり、派遣会社などからは、混乱が起きないか懸念する声も出ています。
次は安全保障関連法案です。
国会の会期末が迫る中、法案の採決を巡る攻防が激しさを増しています。
参議院の特別委員会では、安倍総理大臣も出席して、集中審議が行われました。
ニュースを続けます。
東日本大震災からきょうで4年半。
岩手県陸前高田市の仮設住宅では、住民が午後2時46分に、海に向かって黙とうをささげました。
津波でおよそ120人が犠牲になった福島県いわき市の平薄磯地区。
僧侶と住民が被害を免れた寺に集まり、犠牲者を供養しました。
黙とう。
宮城県気仙沼市で水産加工会社を経営する、菅原義子さん。
子どものころから描き続けてきた、気仙沼港の絵が被害を免れたことから、周囲の人を元気づけようと、絵はがきにして配っています。
明治大学法科大学院の青柳幸一教授が、ことしの司法試験で、教え子だった受験生に論文試験の問題を漏えいしたとして告発された事件。
明治大学は、大学の名誉を汚す行為があったなどとして、あす付けで懲戒免職にすると明らかにしました。
プロ野球は、楽天対ソフトバンクが、大雨の影響で中止となり、ナイトゲーム2試合です。
オリックスはバリントンが2か月ぶりの先発。
広島は3回、エルドレッドのタイムリーヒットで先制しました。
気象情報をお伝えします。
こちらは茨城県や宮城県など、被災地の土日の天気です。
あすは晴れる所が多く、暑いでしょう。
最高気温は、28度くらいまで上がりますので、作業中の熱中症には注意が必要です。
そして日曜日は、天気の急な変化がありそうです。
初めは晴れていましても、午後はざっと雨足が強まったり、局地的には雷や突風を伴うおそれがありますので、お気をつけください。
2015/09/11(金) 19:00〜19:30
NHK総合1・神戸
NHKニュース7[二][字]

▽記録的大雨で堤防決壊 住宅地も広範囲に浸水 【キャスター】武田真一,【サブキャスター】松村正代,【気象キャスター】寺川奈津美

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【キャスター】武田真一,【サブキャスター】松村正代,【気象キャスター】寺川奈津美

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