(伝助)よう。
雅伝助だ。
客から大金を巻き上げてとんでもない方法で悩みを解決する癒し屋キリコ。
あいつは命懸けで涼と向き合って悲しい過去を受け入れた。
(伝助)でもまだ問題は解決してねえ。
涼があれっきり昭和堂に姿を見せなくなっちまったんだ。
今日はそんな悩める涼と老人ホームに住むばあさんの話だ。
このばあさん。
なぜか80にもなって大好きな人にプロポーズされるのを待ってる。
(伝助)どうやらこのばあさんも悲しい過去を抱えてるみたいだぜ。
(カッキー)
何何?「基礎体温を測ってるのか?」って
いえいえ。
そうじゃないんです
私倒れちゃったんです。
だってここのところ…
アニメ愛好家に愛を告白されて恥ずかしながらコスプレやらされたり
キリコさんの殺人予告日に徹夜で警護のパトロールをしたり
(カッキー)ああー。
疲れた。
ここ数日頭も心も体も一気に疲労困憊
一度きちんと離婚の報告に帰ってこいと矢の催促の北海道の実家にもなかなか戻れない状態で
(カッキー)涼しい田舎に帰りたいな。
全てがどん詰まり
(キララ)こら!うまくなれ!うまくなれ!
(栞)お姉ちゃん。
力ずくじゃおいしくなんないよ。
そこで仕方なくキリコさんのお許しを得てキララちゃんと栞ちゃんに店番をお願いする始末
(キララ)どう?
(敦也)客にとってキャバクラでいらねえものって何だ?
(キララ)さあ?
(敦也)値段だけバカ高えフルーツの盛り合わせだ。
(キララ)それ言えてる。
(敦也)昭和堂にいらねえもんはだな…。
(キララ)分かった分かった。
私のコーヒーって言いたいんでしょ?
(敦也)いやいや。
いらねえのはキリコのコーヒーだ。
キララちゃんのコーヒーは意外にまいう〜。
(キララ)やった!それにしてもカッキーは倒れちゃうし涼君は何日も姿を見せないし…。
(敦也)キリコも部屋に閉じこもったまんまだしな。
(一同)いったいみんなどうしちゃったんだろう…。
心配するのも無理はありません
私以外は誰も知らないのですがキリコさんに脅迫状を出していたのは実は涼君で…
自分のことは自分で解決したいとキリコさんはあえて涼君を迎え入れ2人はそれこそ命懸けで話し合ったはずなのですが…
涼君はその後すっかりお店に寄り付かなくなってしまったのです
(カッキー)涼君。
キリコさん。
(キララ)涼君。
今日いないのか。
つまんないな。
・
(バイクの走行音)涼君。
(キララ)これ。
涼君喜ばせようって。
(涼)いらない。
(キララ)私が作ったお弁当嫌なの?
(涼)そういうわけじゃないけど。
昼ご飯食べたばっかだからさ。
(キララ)キリコさんの分もカッキーの分も作ったんだよ。
ねえ?食べてよ。
お願い。
(涼)うん。
(涼)ありがとう。
こんな俺に。
(キララ)じゃあ私魔法のコーヒー入れなきゃなんないから。
バイナラ。
(涼)キララちゃん。
(キララ)はい。
(涼)キリコさん。
どんな様子なの?お部屋にこもって缶ビールばっか飲んでる。
「ハァー」って大きいため息ばっかついて。
食欲全然ないみたい。
ちゃんと食べてるか心配だよ。
何かさみしいな私。
(キリコ)《私に会いに来てくれてありがとう》
(涼)珍しいですね。
お年寄りの方が急ぎのバイク便頼まれるなんて。
(蔦江)どうしても今日中に届けてほしくって。
(涼)あっ。
(蔦江)お願いできるかしら?
(涼)はい。
真砂町。
(蔦江)ええ。
本郷の。
ここからなら近いでしょ。
(涼)真砂町。
ちょっと地図確認してみます。
(蔦江)ホントなら直接お伺いしたいんだけどここのところすっかり体が弱ってしまって。
(涼)あっ。
今は本郷4丁目ですね。
(蔦江)あら。
そう。
嫌ね。
由緒ある名前がどんどん味気ないものになっちゃって。
(蔦江)バイク便屋さん。
お名前は?涼です。
上山涼。
お願いね。
上山さん。
私ねもう長くはないと思うので。
そのお便りのお返事がぜひとも頂きたいの。
(涼)あのう。
坪内主税さんという方は?
(鈴子)はっ?
(涼)坪内主税さん。
(鈴子)私の父ですがもうとうに亡くなりました。
(涼)亡くなった?
(鈴子)ええ。
(鈴子)20年も前に。
どなたからかしら?田蔦江さん?
(涼)はい。
老人ホームで暮らしていらっしゃる80代後半のおばあさんなんですけど。
(鈴子)心当たりないわね。
このままお返ししてくださいません?
(涼)はあ。
でもお返事を頂けることをとても楽しみにしていて。
実は返信分の料金も頂いてあるんです。
(鈴子)そう。
じゃあ開封してみるから立ち会ってくださる?
(涼)はい。
(鈴子)あら。
いい匂い。
梅の花の香りかしらね?
(キララ)いらっしゃいませ。
涼君。
(涼)キリコさんいる?至急会いたいんだけど。
(キリコ)ああー。
もう何なのよ?馬車に乗った王子さまでもお出迎えに来たかと思ったら涼君か。
あっ。
寝不足で顔腫れちゃってるから何だか照れるね。
隣いい?
(栞)何だかねあの2人。
ホント何かあったって感じ。
短大の昭和史で習ったんだけどね50年くらい前同伴喫茶っていうのはやったんだって。
何それ?
(栞)お店では男と女がああやって隣同士くっついて座れるようなボックス席しかなくって背もたれがすごく高くできててで前後左右の席がよく見えないような造りになってんの。
それでね…。
キスとかお触りとかし放題ってわけ?
(栞)えっ?うん。
まあね。
(キララ)まずくなぁれ。
まずくなぁれ。
まずくなぁれ。
でバイク便頼んだ田蔦江さんって人の手紙っていうのがさ…。
(涼)《「前略突然お便りさせていただく失礼をお許しくださいませ」》《「このたび根津の帝國会館で最後の舞踏会が開かれることと相成りました」》《「かねてからのお約束どおりあすの夜8時に」》《「いとしい主税先生へ。
蔦江」》
(鈴子)《何これ?父への恋文?》《このようなもの受け取るわけには参りません》《持って帰ってください》《でも蔦江さんはお返事を頂くことをとても楽しみにしていました》《私の母はまだ存命なんです》《こんな手紙に返事を寄せるわけにはいきません》《すいません。
あのう》
(涼)でね仕方なく持って帰ったら…。
(蔦江)《あのね坪内主税先生はね帝大でドイツ文学を教えていらしていて実は私の婚約者なの》
(蔦江)《先生。
長い間留学なさっててやっと帰国されたの。
留学前にね「今度お会いするときには正式に結婚を申し込みます」》《「必ず承諾してくださると信じてます」って》《あしたよ。
あしたの晩に私お嫁入りを承諾するの》
(涼)そんな蔦江さんに坪内先生はもうとっくに亡くなってて根津の帝國会館もずいぶん昔に廃業してるなんて伝えるの忍びなくってさ。
(キララ)ぼけてんでしょ?その蔦江っておばあさん。
(涼)うん。
まだらぼけってやつかな。
なら事実を伝えたってどこまで分かるか怪しいんだから涼君が悩む必要なんてないよ。
適当に嘘ついてかわしとけばいいんじゃない?それもそうだけどさ。
(キリコ)ちょっと待った。
千駄木のおだやかハウスっていやぁ金持ちばかりが集まる高級老人ホームだ。
その蔦江さんってさ…。
(栞)あーあ。
(キララ)途端に元気取り戻しちゃったよ。
それにさ涼君のたっての頼み事ってんだから断るわけにはいかないっしょ。
ねっ?涼君。
ねえねえ。
涼君ってさ私に相談事するの初めてだよね?そうだっけ?そうだよ。
あんたは優秀な癒し屋だけど誰かが持ち込んできた話にスタッフとして参加するだけだった。
あんたこれからも癒し屋続ける?続けたい?こら。
正直に述べよ。
続けたいんだろ?続けたいからこんな話持ち込んできたんでしょ?あんた蔦江っておばあちゃんを癒やしてあげたいんでしょ?
(涼)うん。
フフッ。
お蔦。
主税。
真砂町。
梅の香り。
(ウグイスの鳴きまね)梅っていやぁ『湯島の白梅』まるで『婦系図』だねぇ。
(キララ)お味はいかがでしょう?
(蔦江)うん?物資統制の折まあこんなものでしょうね。
(キララ)物資統制?
(蔦江)そう。
あなたご存じないの?帝國会館っていうのはね入り口に大きな獅子の彫刻が置かれていてフロアにはシャンデリア。
下町の迎賓館って呼ばれてるのよ。
すごいじゃん。
じゃん?あっ。
すごいです。
帝大出の先生とか財閥の方々もよく利用されていてね。
それから海軍の将校さんたち。
大きな声では言えないけどこの戦争は必ず負けるっておっしゃってたけど。
ああ。
あの方たちご無事かしら。
とっても心配。
キリコさんっておっしゃったかしら?はい。
(蔦江)あなた何なさってるの?このカフェのオ…。
女給をしてます。
(蔦江)あらまあ。
それじゃあダンスはお手のものでしょう。
谷中の天才少女って呼ばれてます。
(蔦江)少女?天才おばさん。
(蔦江)私の父もね戦争が始まるまではビアホールとかクラブとか手広くやっていたの。
だから私は商人の娘。
本来なら学者先生のところにお嫁入りできる立場じゃないんだけど。
ほれた腫れたに貴せんはない。
(蔦江)そう。
そういうこと。
私父の仕事を手伝っていたんだけど実はね…。
陰で諜報員やっていたの。
諜報員。
スパイ!
(蔦江)シッ。
どこに憲兵の目が光ってるか分からない。
お静かに。
はい。
はい。
(蔦江)でねそのお仕事で真砂町の坪内主税先生に出会ったのよ。
森外のようないい男っぷり。
まるで明治男のような一徹さを秘めた立派な方。
で一目で恋に落ちた?やるじゃん。
このこの!じゃん?このこの?帝大の若き先生とお美しい蔦江さん。
まるで新派のお芝居のようですね。
新派はだいたい悲劇で終わってしまいますけど蔦江さんの場合は…。
それがね…。
「次にお会いするときには…」「正式に結婚を申し込みます」「必ず承諾してくださると信じております」あら。
よくご存じね。
もしかしてあなたも諜報員?まあ谷中のマタ・ハリっていわれてます。
(蔦江)ともかくね明日の舞踏会が楽しみで楽しみで。
帝國会館も取り壊されてしまうのですって。
ほら。
去年宝塚大劇場も閉鎖されて少女歌劇も見られなくなってしまったでしょう。
どんどん暗い時代になっていくのね。
「ぜいたくは敵だ」みたいな?
(蔦江)そうそう。
私ね今寝起きしている疎開先ではね朝昼晩と3食ふかし芋なの。
たまにすいとん。
お酒なんかずいぶん長いこと飲んでない。
たまには飲みたいわね。
ビールでもお出ししましょうか。
おビールを?そうね。
最後に一杯頂きたいわね。
最後に?こんなご時世におビールだなんて。
やっぱりあなたも諜報員なのね?やっぱりぼけちゃってるよ。
(栞)だよね。
坪内先生。
えっ?
(蔦江)よくまあご無事でドイツから。
湯島の蔦江でございます。
嫌だ。
先生。
そんなにお若くて。
私一人こんなにしわだらけになってしまって。
そんなことはありません。
蔦江さんは…。
お美しい。
(涼)まるでしら…。
しら…。
白梅のようだ。
(蔦江)まあ。
それにしても先生。
わざわざいらしてくださるなんて。
返信のお手紙だけでおよろしかったのに。
いや。
そんなことはありません。
何よりのご招待至極感激です。
明日の晩8時に必ずや帝國会館での舞踏会に参加させていただきます。
そこで…。
そこで…。
・『結婚行進曲』そこで蔦江さん。
あなたにあらためて結婚の申し入れを…。
先生。
先生。
以前に一度私にそのようなことをほのめかされた。
そのときに私はお戯れだと思っておりました。
そう。
ちょうどすみれの花の咲くころに…。
・「春すみれ咲き春を告げる」・「春何故人は汝を待つ」
(蔦江)でも。
でも明日の夜正式に私にプロポーズを?はい。
必ずやお約束いたします。
・「すみれの花咲く頃」
ああ!?私が寝込んでる間にキリコさんはまたとんでもないことを
果たしてこの顛末やいかに?
2015/09/11(金) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #30[字][デ]【dボタンでQUOカード当たる!】
謎に包まれたキリコ(遼河はるひ)の過去が今週明らかに!「人を殺しちゃったの…」キリコの言葉に秘められた想い、そして彼女を脅迫し続けてきた“東京太郎”の正体とは?
詳細情報
番組内容
カッキー(前田亜季)がついにダウン。キリコ(遼河はるひ)を脅迫していたのが涼(戸塚祥太)だと知り、その後のふたりを心配するあまり、疲労困憊になってしまったのだ。
そんな中、バイク便の配達員をしている涼が老人ホームで暮らす蔦江(山本陽子)から配達の依頼を受ける。涼に頭を下げた蔦江はかなり高齢ではあるが、そこはかとなく『昔のお嬢様』の雰囲気があった。
番組内容2
どうしても今日中に届けてほしいと1通の恋文を預かった涼は、宛先の男性を訪ねる。しかし、娘だという女性が現れ、父は20年前すでに亡くなったと手紙の受け取りを断られる。涼は、返事を心待ちにする蔦江に真実を伝えることができない。
涼は悩んだ末、勇気を出してキリコに相談することに。涼の頼みならば、と立ち上がるキリコ。心機一転新たな癒し屋稼業の幕が上がる!
出演者
有村霧子:遼河はるひ
柿崎照美:前田亜季
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z)
小出清助:長谷川朝晴
都幾川敦也:小林正寛
キララ:中山来未
本城 栞:吉原茉依香
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道
【演出】
星田良子
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ)
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【あなたのふところ癒しますキャンペーン】
8/31(月)〜9/11(金)の期間中、テレビリモコンのdボタンを押して表示されるキーワードをメモしてHP等から応募すると、遼河はるひさん、前田亜季さん、戸塚祥太(A.B.C−Z)さん写真デザインの3000円分QUOカードが100名様に当たる!詳しくは番組HPへ!!
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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