(明智)生きていたのか…浪越。
(浪越)どうかな。
(明智)お前には言いたいことが山ほどある。
(浪越)本当に?名残惜しいけど今はここでお別れだ。
また会おう明智君。
(羽柴)
二十面相の手口は鮮やかだった
あっ…。
混乱に乗じて彼は逃走した
逮捕された南検視官は何も語らず
収拾されるはずだった事態は混迷を見せ始めていた
そして…
(羽柴)ハァ…あっ。
小林?・
(足音)荒っぽいまねをしたね。
すまない。
(小林)なぜ僕を誘拐するんですか?浪越さん。
へぇ〜。
君は僕を知っているんだね。
そのわりには驚くそぶりもない。
明智君の助手を務めるだけはある。
君を招いた理由は一つだ。
君に聞いてほしい昔話がある。
(小林)話?怪人二十面相の物語だよ。
(浪越)
彼は優しい少年だった
心穏やかで
成績も優秀
自分のことを「優しい」とか「優秀」とか言うんですか?犬をなでただけで?客観的事実だよ。
でも人と関わるのは苦手だった。
(浪越)ただいま…。
(浪越の父)おい。
家の中ではそれ取れって言ってるだろ!
(浪越)うっ!
(浪越の父)成績学年で2位に落ちたって?
(浪越の母)勉強ぐらいしか取りえがないくせに。
(浪越)ごめんなさい…。
(浪越の父)中学生の勉強ごときで何をもたついてるんだお前は!
彼の生活は悲惨だった
両親の人間性に問題があってね
学校…。
ここでもおおむね同じだよ
(生徒)こいつホント面白えよな。
殴っても蹴っても何にも言わねえし。
(生徒)なあ浪越君。
声聞かせてくれよ!
(浪越)うっ!
不良グループからの暴力
そしてクラスメートからは存在を無視されていた
下手に関われば不良たちに目を付けられるからね
(教師)何だ?浪越。
ホームルーム始めるぞ。
さっさと座れ。
(浪越)はい。
(教師)何だ?また階段で転んだんだな。
そうです…。
(浪越)感想は?えっと…人が…。
(浪越)僕にはこう見える。
いいや見えないのかな。
君はどうだい?小林君。
あっ…。
(生徒)昼休みの時間〜。
(生徒)おい格闘技の練習に付き合ってやんよ。
(浪越)彼のおとなしい性格はかえって悪循環を生んでいたのかもしれないね。
逃げなかったんですか?
(浪越)抜け出せなかったと言った方が正確だよ。
彼の世界は家と学校だけだった。
中学生に許されている世界は狭い。
知っているだろう?
彼と出会ったのはその直後だった
(浪越)ここは?
(明智)俺の場所だ。
なかなかいいぞ。
ここなら邪魔も入らない。
さっきお前を殴っていたようなクズもいない。
どうだい?明智君。
無茶だが嫌いじゃない。
複雑系…カオス理論か?うんそうなんだ!不確定性の消滅?決定論の実現ともいえるね。
僕はラプラスの悪魔をつくりたい。
ううん悪魔じゃないかな。
見るだけの存在じゃなくて具体的に世界へと介入を果たし得る僕だけの悪魔をつくりたいんだ。
ん〜…。
ならまず名前を付けろ。
名前?お前だけの悪魔ならよそから借りるのは道理じゃないだろ。
君の言うとおりだね。
(浪越)じゃあこういうのはどうかな?僕のつくり上げる法則黒い世界を照らすもの。
暗黒星。
導き出すのは社会の変質か?正解!面白い。
一人ではとうてい無理なものを彼はつくろうとしていた
でも明智君がいてくれたおかげで数式の作成は軌道に乗った
僕たちはのめり込んでいった
世界を変えるために
…いやどうだろうね
実際のところは…
あっ…。
明智君。
いつも何聞いてるんだ?お前。
うん。
悪くないな。
うん僕が一番好きな曲なんだ。
悪くない。
暴力は教室でも家庭でも当然続いていた
でもねつらくはなかった
図書館へ行けばこの現実から離れられるという一点が心に余裕を生んだのかもしれないね
(生徒)せーの!うわっ!うっ…!
(生徒)はっ?何?お前。
(生徒)こいつヤッバ。
(生徒)何してくれてんの?久しぶりに来てみればまだやってたのかクズども。
(生徒)はいこいつ死亡。
あっ…うっ…!
(生徒)うわっ!
(生徒)ぐあっ!
(生徒)ぐはっ…!フゥ…。
遅いから迎えに来た。
うっいって…。
(浪越)明智君…。
驚いたよ世間を疎んで図書館にこもっていた彼が迎えに来るなんて
さっさと行くぞ。
(浪越)うん。
いって…。
じゃあさっき教えたとおりに。
う…うん。
(深呼吸)よし!ぐっ…!ああ…助かった。
(浪越)君はあんなに強いのにすぐ脱臼するんだね。
通信空手の限界だ。
体の操縦は自在にできるようになってもいかんせん体力と筋力が追い付かない。
筋トレした方がいいね。
前から思ってたが…。
うん?いい顔で笑うよなお前。
あっ…。
ん?この瞬間彼は理解した。
えっ?理由さ。
なぜ明智君が自分と時間を共有してくれるのか。
(浪越)なぜ助けてくれるのか。
なぜ手を差し伸べてくれるのか。
それは…。
(浪越)数式。
そう僕らの法則だよ。
それがあるかぎり。
そう気付いたからこそ僕は成し遂げると決めたんだ。
あっ…。
・
(浪越の父)おい。
(浪越の父)何笑ってるんだ。
ううん。
何も。
あっ!
(浪越の父)嘘をついたな。
しつけが必要だ。
何でも分かったような顔をして…。
(たたく音)
(浪越の父)悪い子だ!お前みたいなやつが世間さまに迷惑を掛けるんだ!
(浪越)《大丈夫耐えられる僕には…》
(生徒)はーい浪越君最近調子に乗ってませんか?
(生徒)何それ?
(生徒)つーかこいつの連れのせいだろ。
(生徒)期待おつー。
ここにあいつはいませーん。
(生徒)今日何して遊ぼっか?先生…。
(生徒)ヤッバ。
カッターとか映画みてえ。
(生徒)先生〜テレビアニメ見てカッター振り回しました〜。
(生徒)ハハッアニメなんか見るかっつーの。
キモッ。
(殴る音)
(生徒たち)ぐあっ!うっ…!ハァハァ…浪越はどこだ?
(教師)うう…何だお前…何をする!?何をだと?お前浪越を助けなかったな?
(教師)いや…私は…。
あいつは今どこだ!?
(教師)具合が悪かったようだから早退を…。
両親は彼を病院へは連れていかなかった
自分たちの虐待も露見するから。
あしたになったら…また図書館へ行こう…。
それから…。
彼と…明智君と…。
・
(チャイム)ん?・浪越君はいますか!?《来てくれた…明智君が!》・
(ノック)・
(チャイム)・
(ドアの開く音)・
(浪越の父)何だ?君は。
今何時だと思ってるんだ?・夜分遅くに申し訳ありません。
・
(浪越の母)常識ってものがないのかしら。
あなたもしかしてうちの子をいじめたりしてないでしょうね?・浪越君は?・
(浪越の父)息子は風邪だ。
もう寝てる。
・浪越君ケガを…。
・
(浪越の父)帰れ!まったく…。
・
(ドアの閉まる音)
(浪越の父)寝てろ。
それとお前は風邪だ。
面倒を掛けるな。
チッ。
・
(ドアの閉まる音)
(生徒)聞いた?あの話。
(生徒)先輩たちだろ。
学年1位の明智をつぶしてやるって。
(生徒)怖え〜。
(生徒)あの人らマジでやっちゃうでしょ。
(生徒)ニュースとかになったりして。
彼は誓った
この絶対的窮地の打開を
(浪越)数式の限定的実行…。
僕は小石を投げるだけだ。
波紋は広がってゆく。
まずはあいつら。
(浪越)先生。
(浪越)両親。
結果は完璧だった
彼らは事故によって完全に消えうせた
(浪越)もちろんこの結果は僕の計算が導いたものだけれど現行法では犯罪と認められはしない。
どうして明智先輩に助けを求めなかったんですか?ああ君は彼をヒーローか何かだと思っているのかな?確かに彼はすごい。
正真正銘の天才だしケンカも強い。
でもね彼も僕と同じ中学生だったんだ。
幼い僕たちには何ができて何ができないか。
使ったな?
(浪越)うん。
気にしないで。
法則の検証だよ。
何をやってるのか分かっているのか!?もうこれ以上進めるな!えっ…どうして?明智君。
俺たちの計算には致命的な欠陥があると判明した。
文字通り致命的な欠陥…。
つまり数式作成者の死。
このまま進めればどちらかが死ぬ。
でも明智君このとおりだよ。
僕たちの計算は完璧だってことを証明して…。
駄目だ!《拒絶?》《彼も他の人たちのように僕を…》なぜそんなことを言うんだい?明智君。
お前…。
僕は生きていても仕方なかった。
けれどこれは…。
僕たち2人の全ての結晶だよ。
失敗は失敗だ!もうやめろ!
痛み…
心が張り裂けそうな…
これまでに受けたどんな暴力よりも痛かった
けれど…
僕たちは失敗なんてしてないよ。
彼は絶対に諦めないと決めた
それから彼は一人で数式を実行した
そして数式は一つの存在を生み落とす
その法則によって生成された概念
自動的に拡大するフォークロア
世界にはびこる邪悪の全てを打ち倒す
怪傑の人物
暗黒星から生まれ落ちた象徴そのもの
人形の現象
力を求める誰もに与えられる匿名の断罪装置
その名は…
怪人二十面相。
3年前の自殺も法則の一部。
(浪越)そう単純な替え玉だよ。
検視官の協力もあらかじめ定められていた。
そう僕の情報が自動的に流出したことも含めてね。
中学生による二十面相現象の先導と焼身自殺はセンセーショナルに取り上げられたでしょうね。
(浪越)ネット上では僕の顔写真も広まったよ。
全て法則の一部だ。
(浪越)僕は陰ながら数式のアップデートを続けていた。
先日明智君が解き明かしたのはこのアップデート前のものだ。
二十面相の再増殖も明智君の活躍も全ては僕のアップデートの一部。
何がしたいんですか?あなたは。
世界を変える?二十面相で?それは結果的なものですよね?そうだね…。
僕は明智君に見てほしい。
知ってほしいんだ。
失ってしまったあの穏やかで温かな日々に見た夢が決して幻ではなかったと…。
そのために2人の全ての結晶暗黒星を完成させなくてはいけない。
僕はやり遂げる。
分かりました。
つまり法則の最後のピースとして僕の命が必要なんですね。
(浪越)ありがとう。
そして…。
君たちも。
本当にありがとう。
(浪越)さあわれわれの死をもってわれわれ以外の全ての人々の変質を導こう。
(浪越)黒い世界に暗黒の星を灯す。
(浪越)ご覧。
死ぬにはいい日だ。
2015/09/11(金) 02:50〜03:20
関西テレビ1
乱歩奇譚Game of Laplace[字]
バレー延長の為45分繰下げてお送りします。
「第10話 変身願望」
ついに機は満ち、人々の前に、かの日に焼死したはずの彼がついに姿を現しました。
詳細情報
おしらせ
「ワールドカップバレーボール2015男子 日本×オーストラリア」延長の際、放送時間繰り下げの場合あり。
番組内容
「うつし世はゆめ、よるの夢こそまこと—」
没後50年となる日本を代表する作家・江戸川乱歩が綴った、「人間椅子」・「影男」・「怪人二十面相」・「パノラマ島」など心躍らされる、耽美かつ奇怪、そして幻想的な世界観を、数々の話題作を送り出したアニメ界の奇才チーム、監督:岸誠二、脚本:上江洲誠、制作:Lercheが、現代に蘇らせた完全新作アニメーション!!
番組内容2
「その日、初めて退屈じゃなくなった—」
とある中学校で起こった教師のバラバラ殺人事件。
この学校に通う少年・コバヤシは、事件の捜査に訪れた天才探偵・アケチと出会う。
異常犯罪ばかりを捜査するアケチに対して興味を持ったコバヤシは、友人のハシバの心配をよそに、自ら「助手」を志願する。
次々と起こる奇怪な事件の中で、コバヤシは退屈な日常を捨て置いていくのだった。
出演者
アケチ: 櫻井孝宏
コバヤシ: 高橋李依
ハシバ: 山下大輝
カガミ: 小西克幸
ナカムラ: チョー
黒蜥蜴: 日笠陽子
影男: 子安武人
ミナミ: 藤田咲
死体君: 山口勝平
ほか
スタッフ
【原案】
江戸川乱歩
【監督】
岸誠二
【シリーズ構成・脚本】
上江洲誠
【キャラクターデザイン】
森田和明
【総作画監督】
山形孝二
【プロップデザイン】
廣瀬智仁
【CGディレクター】
内山正文
【美術監督】
宮越歩
【美術設定】
曽野由大
【色彩設定】
加口大朗
【撮影監督】
三品雄介
【編集】
坂本雅紀
【音響監督】
飯田里樹
スタッフ2
【音楽】
横山克
【アニメーションプロデューサー】
比嘉勇二
鹿嶌舜
【アニメーション制作】
Lerche
【制作】
乱歩奇譚倶楽部
ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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