(望月幸平)
2012年に改修工事を終えた我が東京駅は新装以来多くのお客様を集めています
発着する列車は新幹線在来線を合わせて一日4000本
従業員数は1000名
その片隅に我々の勤務する東京駅遺失物係通称お忘れ物預り所があります
(嶋田福男)どうだった?いやあありません。
新幹線通路からここまでの通路をずっと捜してきたんですけどもう〜ん…。
寒いのか?そういう事じゃないんです。
(村尾由希子)黒いパスケースですよね?
(野島)はい。
(嶋田満江)トイレどうだった?
(北口幸夫)ありませんでした。
新幹線改札を出た八重洲口のトイレですよね?はい。
もう一度捜してきます。
(野島)もういいです。
えっ?ありがとうございます。
こんなに一生懸命捜してもらって…。
落とした自分が悪いんですから。
いやあ…。
ボクどうしたの?落とし物?
(山崎翼)これ拾ったんだ。
あっこれ…。
あっ私のものです。
ちょっと待ってください。
確認しますんで。
中に写真が入ってるんですよね?はい家族写真です。
家族写真。
アッハハハ…どうぞ。
ありがとうボク。
助かったよ。
ありがとうね。
ありがとう。
あっボク名前を教えてもらえるかな?書類作らなきゃいけないんだ。
言うなって言われてるから。
名前を言うなって誰に?
(ドアの開く音)
(杉浦奈那子)社長城東ファイナンスの…。
社長?社…。
(奈那子)誰か…。
誰か!
(パトカーのサイレン)
(山崎美里)どうして私が?約束の時間に訪ねただけなんです。
驚いて動けなくて…。
(重森)お話は署で伺います。
あなたは今現在殺人事件の重要参考人なんです。
参考人…!?ボク…。
こんな寒いとこにずっと待ってたの?あら…おてて冷たくなっちゃって。
お父さんお母さん…。
あっ…ちょっ…ボク!ちょっとねえ。
(北口)大変です。
(美里)電話だけかけさせてください。
子供がずっと待っているんです。
(三田正樹)お子さん携帯を?持っていません。
私を待っているんです。
(携帯電話)えっ誰だろう?もしもし…?
(三田)「こちら警視庁八重洲中央署と申します」村尾由希子さんですね?はい村尾ですけれど…。
今山崎美里さんに代わります。
もしもし美里だけど。
美里!?突然ごめんね。
由希子今東京駅に勤めてるんでしょ?うん…。
ああよかった。
子供を迎えに行くつもりが行けなくなってしまったの。
子供って…。
ああ…翼君っていったっけ?
(美里)「ええ。
東京駅の正面で待っているように言ってあるの」えっ?ああ…じゃああの子が!?走ったねしかし…。
翼君?翼君!?ボクの名前?うん。
どうして村尾君が名前知ってるの?あ…。
翼!ママ!ごめんね。
心配したでしょ。
美里。
由希子ありがとう。
身元引受人の方ですね?はい村尾です。
大学の時の同級生です。
(重森)そちらは?あ…同じ職場の望月幸平さんです。
望月です。
ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
美里さん。
いやあやっぱり疲れてたんだね。
よく寝てる。
へえ〜大学の時の同級生?ええ。
結婚式にも呼ばれて翼君のおむつを替えた事もあったんです。
そうだったの。
美里。
もう教えてくれてもいいでしょ。
何があったの?
(ため息)私たち知る権利あると思うなあ。
吉野和彦さんという人を訪ねたの。
(美里の声)夫と会社を共同経営してた人だった。
(三田)被害者吉野和彦41歳。
不動産販売会社経営。
死亡推定時刻は本日14時から15時の間。
死因は後頭部強打による脳挫傷。
部屋には争った形跡があった。
第一発見者は山崎美里。
被害者と会社を共同経営していた山崎弘樹の妻だ。
弘樹さんはどうしてるの?美里がこんな事件に巻き込まれたっていうのに。
2か月前から行方不明なの。
えっ!?殺された吉野さんに会社の経営権を奪われて。
乗っ取られたって事?人が良すぎたんです。
会社の借金を個人保証して返せなくなってしまったんです。
今日翼君が東京駅にいたのは…。
翼を周参見に連れていく予定だったんです。
周参見って…和歌山の?はい。
ああ…美里も弘樹さんも和歌山だったよね?しばらく翼を夫の実家に預かってもらうつもりだったんです。
だけど明日も事情聴取があって…。
もしよろしければ俺送りましょうか?ちょうど休日だし特急くろしおに乗って和歌山の海見るのも素敵だし。
私もお休み。
(美里)ママすぐに追いかけるから心配しないでね。
うん。
お願いね由希子。
任せて。
大丈夫。
ママもすぐに来るから。
そうよ。
お姉さんたちがずーっと一緒だからね。
お姉さん…?
(重森)吉野社長は何か事件に繋がるトラブルを抱えてませんか?例えば仕事上の事で。
(奈那子)仕事はうまくいっていたと思います。
トラブルといえば…。
(重森)何か?山崎さんから何度か電話がありました。
山崎弘樹さんですね?共同経営者で元社長だった。
はい。
レオンステージ不動産杉浦です。
(山崎弘樹)あいつを吉野を…和彦を出してくれ。
社長山崎社長からです。
(吉野和彦)山崎社長…?いえ山崎さんからです。
今さらなんだよ?二度と連絡してくるなって言ったはずだ。
お前どれだけ会社に迷惑かけたかわかってんのか!
(三田)山崎弘樹さんが会社に迷惑をかけたというのは?マンションの一棟買いの出物があってそれを社で購入する話がありました。
でも資金繰りがうまくいかず山崎元社長が5億の個人保証したんです。
山崎さん個人としての借金で?はい。
チャンスだから個人でも借金してそのマンションを買うと言われました。
でも結局販売がうまくいかず負債だけを背負いました。
騙されたように言ってました。
吉野社長も賛成したのに自分だけが借金を背負わされたと。
山崎さんは殺された吉野さんを恨んでいた?はい。
(満江)大阪といえばお好み焼き!楽しみだなあ「特急くろしお」ねえ。
うん。
よかったね翼君。
鉄道マニアのお友達が出来て。
うん!このおじちゃんはすごいよ。
鉄ちゃん中の鉄ちゃんなんだから。
いや…ご自分はお姉さんで僕おじさんっちゅうのはどうかな?って思う…。
いやいいんですいいんです。
いいんです。
ええおじさんですから。
おおっ!ああ…!ああ〜ハッハハー!いやあパノラマ式だよな。
うん。
これね振り子式のね381系列車なんだよ。
カーブの多い路線でもねスピードが出せるようにね重心をグーッと下げた構造になってんだよ。
普通はねこういう感じなんだよ。
ヒュー…。
でもねこれだとねこれぐらいなんだよ。
呼び出された理由は?電話では夫の事だと。
ご主人の山崎弘樹さんの事ですね?はい。
被害者とはそれまでにも何度か?夫が失踪してからは一度だけです。
引っ越したアパートに来て…。
弘樹待ってるつもり?当たり前です。
翼の父親なんだから。
奴はもう戻ってこないよ。
この先の事考えたほうがいい。
ふざけないで!なぜ吉野さんに会いに行ったんです?夫の事で大事な話があると言われました。
例のマンションが売れるかもしれないと。
借金の原因となったマンションの事ですか?はい。
あなたが社長室に入ったらすでに吉野さんは殺されていた。
はい。
本当はあんたが殺したんだ!違います!私吉野さんを殺してなんかいません!
(満江)本当きれいね〜!すごいよね〜。
景色を楽しんでもらうために窓を大きく取ったんだねこれ。
景色じゃなくて列車を褒めるんだから。
パンダの椅子もあるんだよ。
おっ一緒にあとで撮りに行こう。
うん!撮るんなら今でしょ!さあ行きましょう!
(満江)行こう行こう行こう!さあここに座ってここに座って。
(満江)はい撮るよ!はいいい顔して〜!
(カメラのシャッター音)
(井山吾郎)翼!翼じゃないか!吾郎おじさん!
(吾郎)おお…ママは一緒じゃないのか?
(翼)ママは東京で用事があるって。
(吾郎)そうか…。
井山リゾート?
(吾郎)南紀白浜を中心にホテルやマリンパークなどを展開しています。
いや〜素敵!翼の父の弘樹とは昔からの仲間です。
いや兄弟同然と言っていいかな。
あちらでの宿泊先はお決まりですか?いや〜向こう着いてから決めようかなって…。
それならぜひわたくしどものホテル川久へお泊まりください。
翼の知り合いならとびきりのお部屋をご用意致します。
えーっ!いいんじゃない?お言葉に甘えましょうよ。
おじいちゃんたち待ってるよ。
(山崎昭一)翼!おじいちゃん!よいしょっと!おおよう来たな。
ハハ…。
あの美里さんの大学時代の友人で村尾といいます。
望月です。
嶋田です。
(山崎初枝)まあ遠いとこを翼のためにすんませんのう。
いえ旅行がてらです。
素敵な海で来てよかったです。
南紀の海は日本一の海や!ハハハハ…。
親父さんご無沙汰してます。
また一度きちんと話をさせてください。
行こうか翼。
ごめんやで吾郎ちゃん。
うちん人の性格わかっとるやろ?はい。
(昭一)初枝!そないな奴と話しすんな!ほんだら…。
すいません。
警部!目撃者が出ました。
事件当日2時30分頃ビルの清掃員が不審な男を目撃してます。
(三田)不審な男?
(重森)現場ビルから慌てて飛び出していったそうです。
顔は?見てないそうです。
後ろ姿だけを見たと。
山崎でしょうか?
(重森)目撃者の山崎美里失踪している山崎弘樹。
この山崎夫婦が一番の容疑者ですね。
2人の共犯という事も考えられる。
(初枝)ほんまにおおきにね。
わざわざ東京から…。
好きで来たんです。
お休みのたびに色々な列車に乗るのが趣味なんです。
それに美里とは大学の時一番の仲良しでしたから。
結婚式にも来てもうたそうで。
いや〜ブーケをもらったんですけどね次の花嫁にはなれませんでした。
アハハハ…。
まあ美里さんにも苦労かけて…。
美里さんや翼を置いて出てくなんてなあ。
ああ…弘樹さんご実家にも連絡は…。
それが全然ないんよ。
(満江)きれいな海ね。
(昭一)ああ黒潮の海や。
イサキカツオアジもサバもようけ取れる。
豊かな海なんですね。
それでも若い奴らは出ていく。
船も減った。
この海に育ててもらった奴らが…。
悪いね。
あんたらに言う事やない。
いえ…。
年取った。
つい説教じみた事言うてしもう。
(吾郎)会社を買う?レオンステージ不動産を買って頂きたいんです。
あなた営業部長なんでしょう?代表権があるわけじゃない。
はい…。
ですが井山社長の事はお二人から聞いています。
吉野社長からも山崎元社長からも。
(奈那子)子供の時からの友人だと。
このままではお二人が作った会社がなくなってしまいます。
そういう話は弘樹としますよ。
弘樹と和彦が作った会社だ。
山崎さんは今行方不明です。
いつまで待っていても…。
出てきますよ。
このまま家族を放り出すような奴じゃない。
仕事の話はその時に弘樹としますのでお引き取りください。
そうですか。
周参見にもホテルを造られるんですか?再開発です。
周参見には美しい海があります。
観光地としての魅力がある。
ホテルを中心にマリンリゾートとして再開発すれば町も潤うはずです。
あ〜憧れるわマリンリゾート。
(2人)ね〜っ!しかし地元の漁師の方たちが反対しています。
山崎の親父さんたちです。
ああ翼君のおじいさん。
だからさっき…。
お恥ずかしいところをお見せしました。
私は親父さんの家で育ったんです弘樹と一緒に。
一緒に育った?寝屋子という言葉をご存じですか?ねやこ?ええ。
こう書きます。
(満江)これで「ねやこ」?
(吾郎)漁師の共同体では古くからある制度なんです。
(汽笛)
(吾郎の声)15歳になると寝屋親と呼ばれる人の家で共同生活をするんです。
学校から帰ると一つの部屋に寝た。
本当に兄弟同然の…いやそれ以上の関係でした。
私の寝屋親が弘樹の親父さんだったんです。
だから兄弟同然って言ってたんですね。
はい。
弘樹と吉野和彦それに長谷川卓也という4人です。
吉野和彦?美里が第一発見者になった殺人事件の被害者の人。
えっ…?驚きました。
まさか和彦が…。
そういう関係だったんですか。
血の繋がりよりも深い絆です。
結婚式の仲人も必ず寝屋親が務めます。
私の仲人も親父さんとおふくろさんでした。
あの今奥様は?去年亡くなりました。
(満江)あ…。
(吾郎)最後まで心配をかけました。
親父さんとの仲を自分が裂いてしまったんじゃないかって。
実は私はこのホテル川久の入り婿なんです。
このホテルの就職を世話してくれたのも弘樹の親父さんでした。
(吾郎)それなのに今私の会社は親父さんたち漁師と周参見の再開発を巡って対立しています。
親父さんは俺を許してくれません。
(昭一)それがお前の考えか。
会社の総意です。
周参見の…この町のためにもなる事だと思います。
漁師に海捨てさせるっちゅう事がか。
昔の半分に減りました。
船も漁協の組合員も。
あの頃とは違います。
いずれ産業としての漁業は…。
そんな事は聞いとらん!おまんの気持ち聞いとるんや!漁師はなくならんぞ。
海がなくならん限りはな。
船出して網投げて魚取るのがわしらの仕事や。
その仕事取り上げるっちゅうんならおまんとは寝屋親でも寝屋子でもねえわ!私大事な会議があるから一足先に東京戻るわね。
それじゃあ幸平君由希子ちゃん翼君の事頼むわよ。
はい。
はい。
うわっ!うぅ…。
助役嶋田さんの事が気になるのよ。
(くしゃみ)あれ?何?何も…。
おかしいな。
美里?養子縁組?翼を井山さんの養子にしてもらう話があるんです。
え?翼君を?ずっと言われていたの。
井山さんの奥さんが元気な頃から。
ちょっと待ってよ。
それ翼君納得してるの?まさか勝手にそんな話…。
そのほうが翼のためなの。
(吾郎)あいつ翼の事が大好きだったからね。
自分の子供のように思ってた。
一つだけ条件を出させてください。
条件?はい。
翼を養子に出す条件です。
どんな事かな?5000万円私に融資をしてください。
美里さん…!何言ってるんですか?今自分が何言ってるかわかってるの?幸平さん!5000万…。
返済は必ずします。
ずっと勉強してファイナンシャルプランナーの資格を取りました。
資金があれば独立して開業出来ます。
夫が帰ってこなくても自分で生活出来ます。
(ため息)わかった。
用意しよう。
いやちょっと待ってください!美里さん本当にそれでいいんですか?翼君ずっと待ってました。
ここで待っててというあなたの言葉を胸に。
ずっと…約束の場所で待ってました。
昔の自分を思い出しました。
俺田舎の駅に忘れられたんです。
ここで待ってなさいって母に言われて。
その日一日ず〜っと待ってました。
今でも待ってます。
いつか迎えに来てくれるって。
翼君も信じていました。
美里さんがずっと迎えに来てくれるって。
そんな翼君をお金で売るみたいに…。
考えたの…。
私だって一生懸命考えたの!何が一番あの子のためになるのか。
(ドアを叩く音)・
(男性)山崎さん!
(美里の声)あの人借金残して姿を消して。
翼と2人の部屋にも借金取りが押しかけて…。
あの子いつもおびえてた。
人に聞かれても名前を言えないような暮らし。
名前を教えてもらえるかな?書類を作らなきゃいけないんだ。
言うなって言われてるから。
もう翼にそんな生活はさせたくないの。
(井山正則)社長に断られた?はい。
そういう話は元社長の山崎さんと話すと。
あの人の言いそうな事だ。
寝屋子とかなんとか…。
今時何言ってんだか。
東京支社は専務さんに任されているとお聞きしました。
創業者の血を引いているのは専務さんだけでしょう?
(正則)肩書きだけの専務だよ。
死んだ親父が決めた事だ。
実の息子の俺よりも姉貴の入り婿に実権を渡した。
今からでも遅くはありません。
井山リゾートの社長にふさわしいのは創業者の血を引いている専務さんなんじゃありませんか?それと社長は養子をもらうつもりのようです。
何だと?
(美里)名字が井山になって吾郎おじさんの家に住むの。
吾郎おじさんの家に?もちろんママはずっと翼のママだし。
パパも1人だけ。
会いたい時はいつでも会っていいっておじさんも言ってるの。
どうして?どうして井山になるの?ママはそのほうがいいの?翼のためになると思ってる。
誰が決めた?弘樹か?私です。
井山さんの奥様が生きている時に申し込まれて…。
翼はなんちゅうとんの?翼はそれでいいって言いました。
許さん!アホ抜かすな!お父さん…。
(昭一)翼はよそにはやらん!あんたも親なら口が裂けてもそんな事は言うな!そうか…決めたか。
翼はわかってくれた。
お義父さんは反対してるけれど。
翼のためなんだ。
吾郎のところにいたほうがいい。
じゃあな…。
(ブレーキ)
(携帯電話)ん?あれ?もしもし?美里?翼そっちに行かなかった?翼君?どうしたの?姿が見えないの。
どこにもいないの。
いないって…!どうした?翼君がいないって。
ええっ!?こっちには来てないけど…。
(不通音)もしもし?美里?切れてる…。
どうする?列車の時間があるけど。
捜しに行こう。
うん。
あっ!お父さん…どうじゃった?え?港にはおらんぞ。
え…。
(電話)電話だ。
(電話)もしもし?もしもし?
(昭一)「もしもし?」
(長谷川卓也)山崎さんやね?翼君預かっとる。
翼を…。
警察へ知らせたら命はない。
こっちも覚悟しとるんや。
2000万用意してくれ。
2000万?また電話する。
誘拐!?警察に電話したんですか?知らせよったら命はないっちゅうて。
そんな…!
(吾郎)失礼します。
(初枝)吾郎ちゃん!
(吾郎)話は聞きました。
これ使ってください。
すみません。
私が井山さんに連絡を。
この家には来るな言うたやろ!親父さん!今は翼の無事が第一です。
吾郎ちゃん…。
警察に知らせるべきです。
そう思う!でも知らせたら翼は…。
警察信じよう。
きっと翼君助けてくれる。
この人たちの言うとおりや。
かけます。
(春日澄夫)お母さん。
はい。
翼君は必ず取り戻します。
犯人から電話があったら落ち着いて受け答えをしてください。
お金は用意してあると。
はい。
(汽笛)漁師はいつも海に祈るもんや。
帰ってくる。
翼は必ず帰ってくる。
はい。
殺せ。
何を言うてるんや?この子連れてきて一日預かるだけやて…。
それだけで200万なんて話がうますぎるだろう。
2000万だ。
やってくれればあんたが借金で取られた船も取り返せる。
ふざけるな!翼は弘樹の…寝屋子仲間の子供なんや!何が寝屋子だよ。
兄弟以上だの絆だの今時何言ってんだ!あんたはその仲間の子をさらってきただろ?やらないなら俺がやる。
(長谷川)待て!逃げ…!
(長谷川)早よ逃げ…!
(長谷川)ああっ!もしもし…。
(翼)「ママ!」翼!?
(美里)翼!
(翼)ママ!ああ…!翼!ごめんね…!ごめんね…。
なんで謝るの?謝るのは僕だよ…心配させて。
よかった…。
本当に…。
君をさらった男が逃がしてくれたんだね?うん。
(春日)その男たちに見覚えは?助けてくれた人は写真で見た事があった。
パパのお友達。
(春日)友達!?
(パトカーのサイレン)
(春日の声)殺された長谷川には500万の借金があった。
漁師をしていたが借金の形に船は取られ妻とも離婚してた。
(川辺)金に困って犯行に手を染めたって事ですね?
(長谷川)早よ逃げ…!
(春日)最後は仲間割れだ。
長谷川を殺したもう1人の男が誘拐事件の主犯だろう。
でも翼君が無事で本当によかった。
でさ翼君誘拐事件の犯人ってのは一体どういう男?それが翼君のお父さんの寝屋子仲間だったんです。
ねえ…寝屋子?わかんないですよね。
いや古くからの漁師の共同体の伝統なんです。
15歳になった子供たちは自分の家を離れて寝屋と呼ばれる部屋で共同生活を送る。
寝屋の主人は寝屋親子供たちを寝屋子と呼ぶんです。
寝屋親と寝屋子の絆とか寝屋子同士の関係は一生続くんですって。
なんか重いですねそういう関係。
もう〜!素敵じゃない。
古き良き日本って感じがして。
いやでもさ翼君誘拐したのはさ翼君の父親の寝屋子友達だったって事でしょ?最後は翼君を庇って共犯者に殺されたみたいです。
(ため息)
(すすり泣き)
(昭一のすすり泣き)井山さん。
ごめんなさいあの話…。
翼を養子にする話。
わかってる。
私のせいだと思いました。
私が翼を養子に出そうとしたから神様が教えてくれたんです。
翼がどれだけ大切かを。
こちらから言い出したのに申し訳ありません。
いや…そのほうがいい。
待ってくれ!話を聞いてくれ…!うわっ!
(刺す音)美里さん!?美里さん!また…あなたが第一発見者ですか。
どうしてこの会社に?吉野社長が殺されたあとレオンステージ不動産を買収してくれる会社を探していました。
井山リゾートに売り込んだんですか?はい。
今日契約するはずでした。
(三田)つまり…殺された専務とは親しい関係にあった?ここは田舎の縁側か!おはようございます。
君もどう?あの梅干しでお茶っていうのはね体にいいよこれ。
ウフフ…ちょっと酸っぱいけど。
今淹れてますよ〜。
うん美味しい。
でも本当に美里だったんですか?
(満江)うん確かに美里さんだと思うんだけど…。
うーん…。
でも美里は翼君と周参見にいるはずですけど。
世の中にはね自分に似た人間が3人いるらしいんだよ?どっかにさ君と僕にそっくりな人間がいるんだよ…ウフ…。
あなたみたいな人は地球に1人で十分です。
えっ。
1人で十分って…いいの?1人だけで。
おはようございます!
(一同)おはようございます!
(田代宏子)あらいいわね〜!お茶と梅干し〜。
宏子さんもどうですか?もらう!ちょうど休憩〜。
ああああこれね新幹線乗り場の前の椅子の下に置いて忘れてあった。
見つけたのはのぞみ331号が出発したあと。
のぞみ331号10時40分発か…。
さすが幸平さん。
時刻表見ないねえ〜。
いやもっと前からあったのかもしれないけど気づいたのは331号のあと。
(北口)巾着袋ですかね?なんですか?それ。
なんかの道具みたいだなあ。
名前も書いてないですねえ。
拾得記録になんて書けばいいですか?
(満江)う〜ん…巾着に入った謎の道具…。
(春日)一連の事件はこの吉野和彦殺しから始まったという事ですか?
(三田)ええ。
最初に殺害された吉野和彦は井山リゾート社長井山吾郎失踪した山崎弘樹誘拐実行犯で殺害された長谷川卓也と深い関係にあった。
(春日)その4人は山崎の寝屋子仲間です。
(三田)そして山崎弘樹の息子翼が誘拐され実行犯の長谷川と井山正則も殺害された。
長谷川殺害は井山正則との仲間割れでしょう。
(春日)現場には争った跡があり発見されたナイフからは井山正則の指紋が検出されています。
(三田)問題はその井山正則を殺したのは誰なのか…。
(重森)警部。
事件関係者で昨夜東京にいた人間がいます。
山崎美里です。
(三田)山崎美里!?
(翼)ママ!すみません留守にしてしまって。
アパートの解約は無事に済ませました。
おかげで翼とぎょうさん遊べた。
あ…。
これお土産。
お守り。
もう怖い思いをしないように。
よかったな翼。
じゃあ行こうか。
うん。
あの子…元気にしちょった?はい。
(川辺)失礼します。
山崎美里さんですね?殺されても当然だよなあ。
被疑者死亡のまま翼君誘拐事件の主犯として書類送検だって。
おい…!食べるなら食べる!読むなら読む!夕刊読みながらご飯食べられたら一緒にいる人間が嫌な思いするでしょ?あっそう…?そうだよね…!僕が悪かった。
あっ嫌だ…。
怒られてるのに嬉しそう。
そう。
なんかねこうやってちょっとした事で怒られる幸せっていうのかね…。
ひとりじゃさ…誰も叱ってくれないんだよ。
どうかな?もうそろそろさ僕もここへ戻ってきてもいいんじゃないの?甘えるな。
この浮気者!だからそれは誤解だって言ってるでしょう!僕は浮気なんかしてないよ!ね?酔っ払ってね眠ってしまってさ。
それでふと気がつくと…。
(携帯電話)スナックのママがさ僕の上に乗っかっちゃってた…。
もしもし?
(翼)「幸平おじちゃん!」おお!翼君。
どうしたの?こんな時間に。
え?ママが?どういう事?美里が疑われるなんて。
つまり朝助役が見たのは…。
(満江の声)やっぱり美里さんだったんだ…。
井山正則が殺害された時に美里さんは東京にいたって事か…。
何が言いたいの?美里さんが犯人だって?いやいやそんな事言ってないでしょう。
ただ東京にいたっていう事実をね…。
でも警察は疑ってるんでしょ?事情聴取受けてんだから…。
翼君大丈夫だった?いや…。
声は少し落ち込んでました。
あの…助役。
俺…。
いいわ!いってらっしゃい!え?翼君の力になってあげて。
由希子ちゃんも!いいんですか?
(三田)ずっと黙秘ですか?あなた井山正則殺害の日東京に行っている。
それは事実ですよね?それも答えられない…。
井山正則はあなたの息子さんを誘拐して殺害しようとした。
恨んで当然の人間だ。
あんただね。
あんたがやったんだ!美里は何をしに東京に行ったんですか?アパートを引き払いに行ったんよ。
もうこっちでずっと暮らすよってにね。
ああ…そういう事だったんですね。
おやつを食べたあとおじいちゃんと周参見の駅まで送ったんだよ!そうか…。
どうしたの?なんで突然駅に?なんか気になるんだよな…。
何が?おやつを食べたあとって言ってた。
東京に向かうには遅すぎる出発じゃないかな?着いたら夜になってるよ。
そんな事?
(丸井)ああ覚えてますよ。
え?この駅は乗降客そんなに多くないから。
くろしおに乗りました。
新宮方面行きの。
新宮?ええ。
それが何か?いや…このお客さんは東京に向かったはずなんです。
東京?それは変だな。
確かに新宮方面に乗ったけど…。
あ…ありがとうございました。
ちょっと教えてよ!何が変なの?ああ…。
周参見から東京に向かうルートは2つあるんだ。
紀伊半島を時計回りにして新大阪に向かって新幹線に乗るルートと反時計回りに進んで名古屋から新幹線に乗るルート。
なるほど。
新宮に向かったって事は名古屋から新幹線に乗るつもりだった。
そうなるわね。
いやでも…それはかなり時間的に無駄なんだよな。
どうして新大阪経由じゃないんだろう?何か新宮回りにする必要があったんじゃない?途中の駅に用があったとか。
途中の駅か…。
うーん…。
あっ!何?さっき翼君が握ってたお守り…伊勢神宮のお守りだった。
それもまだ新しかった。
それと神代餅!
(望月の声)神代餅?
(由希子の声)幸平さんも食べたじゃない。
伊勢のお菓子。
ああ!伊勢か。
ちょっと…ちょっと…ちょっと待ってちょっと待って。
あっこれだ。
周参見から伊勢はほとんどの時間帯で大阪方面を経由したほうが早いんだけども新大阪行き14時2分のくろしお22号が発車したあと新大阪行きのくろしお号は15時57分までない。
そのくろしおに乗り伊勢市まで向かうと着くのは…20時36分。
もしも15時40分発の新宮方面のくろしおに乗り紀伊勝浦でワイドビュー南紀に乗り換えて向かうと19時56分に伊勢市に着く。
つまりこのわずかな時間帯だけは新宮方面のくろしおに乗ったほうが早いんだよ!つまり美里は…。
伊勢に向かった。
でもなんで伊勢に?お守り買うためだけならわざわざ行かないよね…。
まさか…。
何?あっ…行方不明の旦那さん。
山崎弘樹さん。
翼君のお父さん!?式年遷宮が終わってもすごいにぎわいね。
日本全国から観光客が集まってくるからね。
この町のどこかに山崎さんいるのかな?あっ神代餅。
すいません!あの…この人来ませんでしたか?
(塔子)いや…わかりません。
さすがに一人一人のお客様までは。
あ…。
じゃあこの人は?あっこの人…。
え?知ってるんですか?そこの前の海産物屋さんで働いてる方です。
いらっしゃい!どうぞ!弘樹さん?あの…村尾です。
ご無沙汰してます。
ああ!じゃあ美里は弘樹さんの居場所を知っていたんですね?おふくろと美里だけには…。
美里には時々は会ってました。
翼の事も心配でしたし。
でも…借金の事があって人前には出れませんでした。
申し訳ありません。
そうだったんですね…。
でも少し安心しました。
21日に美里さんと会ってましたよね?ああ…。
夜伊勢に来ました。
美里さん警察に事情聴取されてるんです。
翼君を誘拐した犯人が殺された事件で…。
美里が…。
警察は美里を?疑ってます。
そんな…。
何時に会ったか覚えてませんか?8時前でした。
店の裏で会って…。
9時前には別れました。
9時に別れたとするとそのまま東京に向かうにも最終の新幹線には到底間に合わないわ。
うん…。
美里さんはこの伊勢に一泊した。
翌日の朝には助役が東京駅で美里さんを見かけている。
9時10分くらいだ。
うん。
逆算すると…美里さんは始発で伊勢を発った事になる。
伊勢市駅から始発で名古屋に向かい名古屋で新幹線に乗り継ぐと東京到着は9時3分。
井山正則が殺されたのはその前の午前2時。
美里が刺す事は不可能だわ!アリバイは成立してるんだ…。
早く警察に知らせないと!ああっ!待って。
何?つまり美里はアリバイを証明出来たわけでしょ?それなのにずっと黙秘してた。
ああ…。
どうしてそんな事してたんだろう?21日の夜伊勢にいたというのは本当ですか?で翌朝始発で東京に行っている。
どうしてそれを…。
伊勢まで行ってあなたのアリバイを調べた友達がいるんです。
え?なぜアリバイを隠した?誰かを庇ってるって事か?
(美里)ごめんなさいいつも心配かけて。
親父さんの言うとおりだったのかもしれない。
みんなここに残って漁師を継げばよかったんだ。
弘樹も和彦も。
この海と一緒に生きてれば何も起こらなかったのかもしれない。
漁師を継いだのは亡くなった長谷川さんだけだったんですね。
気の弱い奴でした。
借金してどうしようもなくなって…。
それでも最後は命がけで翼を守ってくれました。
当たり前だ。
卓也だって俺たちの仲間なんだ。
(重森)山崎弘樹さんですよね?
(重森)待て!
(重森)確保!
(三田)あんたが吉野和彦と井山正則を殺害した。
間違いないな?許せませんでした。
自分から会社を奪った吉野も…。
(弘樹の声)翼を殺そうとした井山正則も!
(弘樹の声)2人を殺したのは私です。
どうして井山正則が誘拐の黒幕だと知った?翼を養子に出すと決めたのは私です。
吾郎の養子になれば今より幸せになれると思った。
ずっと奥さんとは繋がっていたわけか。
時々妻と子供の様子を見に行きました。
あいつが…正則が翼を邪魔に思っている事はその時から知ってました。
(三田)井山正則を刺した凶器はどうした?捨てましたよ。
どこに!?伊勢の海です。
悲しい結末だよね。
美里や翼君つらいだろうな…。
大丈夫だよ。
翼君強い子だから。
そうねとっても。
そうそう。
ほらおじいちゃんもおばあちゃんもいるしね。
僕なんかよりさよっぽど恵まれてるよね。
あっ…。
あんたあいつ庇うてなんも言わんかったんやろ?あのアホ苦労ばかりかけよる。
私のせいです。
そんな事はない。
私が東京へ出たからあの人も東京に出ました。
お義父さんの気持ちを裏切って。
時代なんかもしれんな。
あいつらが最後の寝屋子やった。
寝屋子も廃れるし漁師も少のうなる。
時代じゃ逆らえん。
けんどわしは古い人間やから海からもろうもんだけで生きていたいと思うてしまう。
魚も貝も海藻もなんぼ取っても海は怒らん。
海からもろうたものだけで生きていける。
それが人の暮らしやと思うてしまう。
ここへ戻ってきてくれんかね?翼とここ戻ってきてあいつを待っとってくれんかね?はい。
翼どうしてる?元気。
私を守ってくれるって。
ごめんな。
苦労ばかりかける。
そんな事ない。
お前と吾郎が一緒になってたらこんな思いはしなかった。
あなた…。
わかってた。
子供の頃からわかってた。
(吾郎)将来何になるの?
(美里)将来の夢は…。
やっぱいいお嫁さんになる事かな。
そうか。
吾郎は?
(弘樹の声)みんなお前に憧れてた。
けどお前の心をつかんだのは吾郎だった。
子供の時の話じゃない。
あいつあの頃から抜けてたよ。
何やらせても一番だった。
井山リゾートの先代があいつを見込んだのは当然だ。
美智子は三国一の幸せ者だ。
なあ。
うん。
(吉野)すごいよなあ。
吾郎もここのホテルの婿養子か。
(長谷川)吾郎ホテルに入った時から社長に目をかけられてたもんな。
いつまでもここにいてられへんな。
俺たちも一旗揚げるんや。
東京で。
(弘樹の声)わかってた。
本当は吾郎ずっとお前の事思ってた。
お前だって…。
勝手な事言わないで!どうしてそんな事今になって…。
俺は全部なくして…親父の家まで抵当に入れてお前や翼にまで苦労をかけてる!やめて!私あなたと一緒になって一度も後悔した事なんかない。
あなたは違うの?翼が生まれたじゃない。
あなたは私に一番の宝物をくれた。
違う?私たちのためなんでしょう?わかってる。
あなたが私や翼のためにあの2人を…。
美里…。
正則君が約束した?はい。
レオンステージ不動産を井山リゾートで引き取ってくださると。
聞いてないな。
彼があんな事になってしまったからね。
正式な契約書を作る時間がありませんでした。
でも約束はしました。
仕事の話は弘樹とすると言ったはずだ。
山崎さんは逮捕されています。
それともう一つ社長にとっても聞く価値のあるお話が。
(吾郎)よう翼!
(翼)吾郎おじさん!うまいな。
さすがは親父さんの孫だ。
あの家はどうしますか?お前には関係ないやろ。
俺もあの家で育ちました。
弘樹たちと一緒に。
翼に残すつもりや。
船もあん家も。
残せますか?弘樹が抵当に入れたはずです。
おまんの力は借りん!帰れ。
親父さん…。
おまんとの縁を切ったはずや。
一生切れない縁だと教わりました。
親父さんからです。
帰れ言うとるやろ!そうかそれは偉かったなあ。
おじいちゃんが言ったみたいにもう立派な一人前の漁師だよ。
それで網を縫うの。
マキリって包丁もあるけどそれはまだ持てないんだ。
またさお休みになったら遊びに行くよ。
あっ今度さ一緒に釣りしよう。
本当に仲良くなっちゃったみたいね。
だからさその周参見のさその家に住まわせちゃえばいいんだよ。
寝屋子ってやつにしてさ。
嫌だあの歳じゃ無理でしょう?だったらいつまでここにいるの?カツオが釣りたいの?東京まで乗車券と特急券を。
はい。
えー今だと11時58分のくろしおで新大阪。
そこからのぞみになります。
それでお願いします。
(丸井)はい。
15860円になります。
(奈那子)社長。
ご一緒してもいいですか?
(吾郎)君いつ…?周参見の町を見ていました。
再開発の現場を見ておかないと井山リゾートの役員になれませんから。
(警笛)周参見の町でいろいろと調べました。
寝屋子についても。
その事が今度の事件の背景にあったんですね。
大丈夫です。
警察は真相に行き着きません。
本当の犯人を知ってるのは私たちだけですから。
(奈那子)そうですよね?社長。
(警笛)
(パトカーのサイレン)
(川辺)2つの殺人事件の第一発見者だった杉浦奈那子です。
(犬塚)胸を刺されてますね。
凶器は?今のところ見つかっていません。
(春日)事件はまだ終わってなかったのか…!
(北口)幸平さん!何?
(北口)ちょっとこれ見てください!あっ!なんだか物騒だねえ。
今度はさ今までの事件の第一発見者だよ。
どういう事?いや全く…。
(川辺)被害者杉浦奈那子は宿泊先の周参見から井山リゾートの社長井山吾郎とともに11時58分発のくろしお18号に乗っています。
井山はそのまま新大阪に向かっていますが杉浦奈那子は白浜駅で下車しました。
白浜着は12時18分。
白浜駅でガイシャが列車を降りる姿を車掌が確認しています。
死亡推定時刻は午前11時から午後1時の間ですが実際は白浜駅を降りてすぐに殺され海に捨てられています。
(桜井)警察の人!あっちの岩場でこんなものが引っかかってたんだけど。
あそこの岩場?
(桜井)このマキリ波で流されたんやないか?
(犬塚)マキリ?
(桜井)漁師が船の上で使う包丁や。
マキリ包丁っていうんだ。
マキリか…。
発見されたマキリ包丁から被害者の血痕が採取されました。
杉浦奈那子のものだな?それが…それだけじゃないんです。
井山正則の血痕も採取されました。
(川辺)井山正則と杉浦奈那子は2人とも発見されたマキリ包丁で殺害されているんです!どういう事だ?井山殺しで逮捕された山崎は取調室にいる。
杉浦奈那子を殺せるはずがない。
どういう事だ!?白浜で井山正則殺害に使われた包丁が発見された。
しかも同じ包丁で杉浦奈那子が殺害されている。
凶器を伊勢の海に捨てたというのは嘘なんだな!?お前何を隠してる?まさかお前も誰かを庇ってるって事か?違うんですね…?美里が吉野たちを殺したんじゃないんですね?どういう事だ!?妻だと思ってました…。
美里だと思ってた!
(アナウンサー)「警察は杉浦奈那子さん殺害事件と井山正則専務を殺害したのは同一犯の犯行と見て…」同一犯って…。
同じ人って意味じゃないか。
そのくらいわかりますって。
いやだから翼君のお父さんじゃないんだ。
山崎さん拘置されてるんだから。
そうかそういう事よね。
よかったじゃない。
いや…よかったけどさそれじゃあさ一体誰が犯人なんだろうね?
(春日)これは亡くなった杉浦奈那子さんの銀行口座なんですが殺害される前日に500万円の金が井山リゾートから振り込まれてますがどういったお金なんでしょうか?
(吾郎)支度金ですよ。
支度金?レオンステージ不動産と提携する事を決めました。
彼女には役員として経営を任せるつもりだった。
そのための支度金ですか?ええ。
まさかこんな事になるとは思わなかった…。
なるほど。
申し訳ありません。
2時から打ち合わせがありますのでまだご質問があるようでしたら手短にお願い出来ますでしょうか。
あの社長はシロですね。
ああ。
(春日)井山吾郎は杉浦奈那子と同じくろしお18号に乗車していた。
そしてそのまま新大阪に向かった。
新大阪着14時50分。
ちゃんと新大阪駅で降りる姿が防犯カメラに映っていた。
杉浦奈那子が殺された時間井山は特急くろしおの中にいたんだよ。
奈那子を殺して海に捨てるのは不可能なんだ。
(携帯電話)はい。
(春日)白浜駅に?
(春日)杉浦奈那子を追いかけるようにくろしお18号から降りていった人物がいる。
誰なんです?行くぞ。
あっ!翼君迎えに来てくれたのか?うん!お姉ちゃんたちね翼君に会いたくて無理しちゃった。
由希子ありがとう。
幸平さんも。
(美里)これでやっと3人で暮らせるわ。
よかった!弘樹さん釈放されたんでしょ?うん。
今こっちに向かってるって。
そうだ!おじちゃんに僕のアバリ見せてあげる。
おっ一人前の漁師の誇りか。
うん。
これ!あっこれ…!大きさも細工も全く同じだ。
ええ。
あの落とし物漁師さんの道具だったんだ。
ねえこれどこで買えるの?買えないよ。
おじいちゃんが竹を削って作るんだって。
おじいちゃんが?おじいちゃんが…。
ああうちん人やったら海じゃろう。
網の手入れでもしとんのとちゃいますか?紀文丸ですか。
いらっしゃいませんでした。
え?おらん?昨日なんですが山崎さん周参見から列車に乗りましたね?11時58分のくろしお。
(春日)白浜駅で降りてます。
(川辺)ご存じありませんか?
(ため息)昔から勝手な人やったから…。
どこ行くんも何するんも教えてくれんのよ。
全部自分で勝手にやって…。
あとで知らせてくれるんよ。
翼君のお父さんは真犯人を庇っていた。
真犯人は東京駅であのアバリを忘れた人。
ああ…。
お母さん!今警察の人がお父さん訪ねてきて…。
警察が!?ここにおらんっちゅうて…。
あ…どこか他に行かれるような場所ありませんか?
(吾郎)いい海だ。
(吾郎)悲しい時つらい時親父さんはいつもここにいた。
(吾郎)親父さん。
今日は一緒に見てもいいですか?これが見納めかもしれん。
はい…。
・
(足音)なんでここが?伺いました。
いつも1人ここに来ていたと。
警察も捜しているそうです。
罪償わんとな。
わしが殺したんや。
あの女刺して海捨てた。
親父さん何を…。
そうなんや。
わしが殺したんや。
いやそれは違います。
えっ!?確かに海に運んだのは山崎さんだと思います。
だけど刺した人は違うはずだ。
そうですよね?井山さん。
あんた何言うとるんや…!親父さんもういいんです。
望月さんの言うとおり3人を殺したのは私です。
吾郎…!親父さんもう終わりにしましょう。
そんな…。
だってあの女の人が殺された時間井山さんは特急くろしおに乗ってたんでしょう?犯行は可能なんだ。
特急くろしお18号は白浜駅に12分間停車するんだ。
井山さんは杉浦奈那子のあとを追って白浜駅で降りたんだ。
(奈那子)えっちょっと…ちょっと!?
(刺す音)うっ!くろしおが停車している12分の間に奈那子さんを殺害し列車に戻った。
じゃあその遺体を…。
わしが運んだ。
わしも吾郎と同じ列車に乗っとったんや。
吾郎をつけとった。
わしは吾郎を疑っとった。
(昭一の声)吾郎が弘樹や美里さんのために手ぇ汚したんやないか…そう思っとった。
警察は真相に行き着きません。
本当の犯人を知ってるのは私たちだけですから。
そうですよね?社長。
私と…真犯人のあなたと。
金なら振り込んだろ。
500万ですか。
違うんじゃないですか?違う?プラス1億円と東京支社長の座。
社長の人生と会社の命運がかかってるんですよ。
(昭一の声)あの女吾郎を脅迫しとった。
それで全てがわかった。
(昭一の声)わしがあの女刺そうと思った。
けど…。
(刺す音)うっ!
(昭一の声)吾郎をあの女殺しの犯人にするわけにはいかんかった。
わしはどうしても吾郎を守りたかった。
(昭一の声)せやから女の遺体を海に捨てたんや。
その行為が井山さんの犯行を絶対不可能に思わせた。
吾郎は…自分のために手ぇ汚すような男やない。
昔からそういう男やった。
いっつも仲間のために一等つらい仕事をした。
口は利かんでもそんくらいの事はわしにもわかる。
どうして3人の人を?和彦を殺すつもりなんてなかったんだ。
でもあいつは…変わってしまった。
弘樹を破滅させて会社を自分だけのものにしようとした。
美里や翼まで傷つけて…。
この借金の督促状見てみろ。
全部弘樹宛だよ!勝手に金借りて返せなくなって…。
会社のための負債だろう。
あいつには能力がないんだ。
お前ならわかるだろ?弘樹は足手まといなんだよ。
俺たちは兄弟だろ。
憎み合う兄弟なんて世の中いくらでもいる。
憎む…?あいつは全部持ってた。
網元の家に生まれて船も家も生まれた時からだよ。
なんにもない俺たちと違うんだ!弘樹は一度でもそんな事ひけらかしたか?ひけらかしてくれたほうがマシだったな…。
だけど今は立場が逆転した。
全部俺のものにしてやる。
会社も…美里もだ。
(吾郎)何言ってる。
バカな事言うな!わかったら出ていけ!お前がその気なら俺がこの会社を潰す。
今の俺はそれくらいの力は持ってる!
(吉野)なんだと?おらっ!
(吾郎)殺すつもりなんてなかったんだ。
正則さんを殺害したのは翼君を狙ったからですね?許せなかった。
財産のために子供の…翼の命まで狙うなんて。
(吾郎)しかもそれを卓也にやらせようとした。
弘樹と一緒に育った卓也に…。
(刺す音)
(正則)あっ!ううっ…!あいつ最後に電話をかけてきたよ。
刺されて死ぬ間際に…。
もしもし…吾郎…。
(吾郎)「卓也か?」ごめんな…バカなまねして…。
弘樹にも伝えてくれ…。
翼はちゃんと返したから…。
お前何言ってる?今どこにいるんだ!?ちゃんと翼は…。
おい卓也…。
卓也!!
(吾郎の声)弱い奴だった。
でも最後に翼を命がけで守ってくれた。
でも…そこで事件は終わらなかった。
あなたの犯行に気づいた人間がいた。
杉浦奈那子。
(吾郎)ええ…。
たった一つ私が犯行現場に落としてしまった証拠があった。
(吾郎)カフスボタンだ。
社長にとっても聞く価値のあるお話が。
(奈那子)プレゼントです。
カフス一つじゃお困りでしょ?でもあの女を殺すところを親父さんに見られてるとは思わなかった。
望月さんはどうして私だと?忘れ物です。
井山さん東京駅に巾着袋を忘れたでしょう?
(望月の声)アバリの入った巾着袋。
実際に使っているアバリは魚のにおいが残っています。
翼君のアバリでさえ海のにおいが残ってた。
落とし物のアバリは誰かが記念の品として持っているものだった。
しかもそれは翼君のアバリと全く同じだったんです。
(吾郎の声)気が動転していたんだな。
なくしたって気づいたのは和歌山に帰ってからだった。
こいつは…マキリしてくれたんや。
マキリ?漁師の包丁をマキリっちゅうんは魔物を断つっちゅう意味や。
それでマキリ包丁…。
アバリと一緒に吾郎たちに渡した。
おまんにや。
ありがとうございます!ありがとうございます!ほれ。
一人前だのう。
ありがとうございます!
(吾郎の声)25年前…。
あの頃とこの海はなんにも変わらないのに俺たちは随分と変わってしまった。
俺の父親はこの海で死んだ。
天涯孤独になった俺を引き取って育ててくれたのは親父さんだ。
寝屋親として血縁のない俺や和彦卓也に愛情かけて一人前の男にしてくれた。
(吾郎の声)卓也の仮通夜の晩あいつの棺のそばから離れない親父さんの後ろ姿見てると…。
(吾郎)俺は親父さんを裏切ってしまった。
これ以上親父さんを苦しめるわけにはいかない。
弘樹!
(弘樹)吾郎ごめんな…!ごめん!!ごめん俺たち家族のために…。
ごめん…!
(美里)ごめんなさい!何言ってる。
俺が勝手に…!和彦ともめたのも正則刺したのもみんな俺たちのためじゃないか!弘樹!お前に罪を着せるつもりなんかなかった。
最後の仕事を済ませたら警察に行くつもりだった。
最後の仕事…?親父さん。
再開発の計画はなくなりました。
周参見の海はこのままです。
(吾郎)その仕事だけやり残してました。
親父さん…。
俺は…親不孝しました…!申し訳ありませんでした!何言うとる。
おまんわしら守ってくれたやないか。
吾郎さんは私たちを命がけで守ってくれました。
弘樹…頼むな。
翼の事も親父さんの事もおふくろさんの事も。
美里の事も。
わかった…。
うん。
吾郎…。
本当にすまんのう…。
おまんは…おまんはわしの息子や!親父さん…。
(吾郎)親父さん…!ありがとうございます!ありがとうございます…!吾郎ちゃん…。
みんな忘れてないです。
何も変わってないじゃないですか。
25年前と同じです。
寝屋親の思いも寝屋子の気持ちも変わってないじゃないですか…!
(宏子)ちょっとちょっと!このお客さんが大変なんだよ!どうなさいました?
(松子)うちの子がいないんです!銀の鈴で待ってるように言ったのに!子供…ですか?あのここお忘れ物預り所なんでそういう大きな事件は鉄道警察隊のほうに…。
早くそんな事言ってないで捜して捜して!早く早く!もう行って行って行って…!
(北口)どんな?あ…すいません。
ど…どんなその…。
なんですか?どういう特徴の方なんですか?特徴って…ちっちゃくてかわいいんです。
まだ3歳なの。
モモコ〜!・
(犬の鳴き声)
(松子)あっ…いた!ワンワン?犬〜!?なんだ犬?なんだもうしょうもないね!ちょっと待った!しょうもないってあんた…。
(宏子)何が?私の大切な家族なの。
(宏子)家族って面倒くさい人だね!ちょっと待って!ちょっと待ちなさいよ。
そういう業務はねうちではやってませんからね!わかりました?早く捜して捕まえて…。
だからやってませんから。
わかった。
捕まえて…!銀の鈴ですね?そうですそうです銀の鈴。
キョロッとしてかわいい。
私に似てる…。
(北口)あの〜。
もしかしたらこの子ですか?まあ似てるわ。
あなた何やってるの。
いらっしゃいいらっしゃい。
もう〜モモちゃん!ほらかわいいでしょ?ねっねっかわいいでしょ?
(宏子)このクソババア!ダメだこんなの!ちょちょちょ…!あんたクソババアって誰の事?モモちゃん!モモちゃん!・
(犬の鳴き声)ワン!ワン!ワ〜ン!ありがとうございます!
東京・町田市にある連日満席になるラーメン店があります
お店の名は雷文
2015/09/09(水) 14:00〜15:51
ABCテレビ1
東京駅お忘れ物預かり所[再][解][字]
南紀白浜〜特急くろしお号12分間の殺意!!犯行不能!?取調室の男が連続殺人!!新幹線ホームに逆転アリバイの忘れ物
詳細情報
◇番組内容
高嶋政伸主演の人気シリーズ第7弾!!東京駅遺失物係の幸平が、特急“くろしお”に仕掛けられた完全犯罪のトリックを暴く!ひとりの男の子を保護した、幸平…。だが、その子の母親が殺人事件の容疑者に!?
◇出演者
高嶋政伸、櫻井淳子、葉月里緒奈、蟹江一平、中原丈雄、高橋ひとみ、北村総一朗、高橋かおり、東根作寿英、前田健
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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