低い土地の浸水などに警戒が必要です。
(井上理恵子)ハァ…。
(由梨)お母さん大丈夫?お母さん!ハァハァ…。
申し訳ございません。
2つの仕事を掛け持ち忙しく働く毎日。
井上さん!井上さんどうしたの?大丈夫?お母さん!娘と2人の暮らしに病魔が忍び寄っていた。
この息苦しさの正体を突き止めたのが…担当する女性外来には女性ならではの体や心の悩みを抱える患者が訪れる。
患者のどんな訴えも時間をかけて丁寧に聞き込み病気を探り出していく。
それが片岡先生だ。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
私たちはその人をドクターGと呼ぶ。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)女性外来という事ですから。
女性外来よく知りませんが女性専門なんですかね。
そうですね。
あらゆる年齢の女性をどんな症状でも診させて頂く。
そんな外来です。
男性の先生に言いにくい事もありますもんね。
そうですね。
婦人科系に限らず女性外来があるというのはすごい驚きました。
私も全然知らなかったので。
でもすごくいいですよね。
さあ病気を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
ドクターGに挑むのは…しっかり鑑別していきたいと思います。
(玉ちゃん)息ができないというか苦しいのは大変ですもんね。
患者さんきついですよね。
バイタルサインはとても重要なデータになるのでまずはしっかりととりたいと思います。
なんとか鑑別を挙げていろいろ診断できればいいかなと思います。
(玉ちゃん)よろしくお願いします。
研修医たちは…さあそれでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えてみて下さい。
ドクタージェネラル!失礼します。
お母さん先生だよ。
お願いします。
こんな夜分に…申し訳ありません。
いえいえ。
大丈夫ですか?ハァハァ…。
ひどく苦しそうですね。
何だか…息苦しくて…。
はい…なんとか…。
いえ…。
大丈夫です…。
そうですか。
ではこのままで。
しっかり息を吐いてゆっくりおなかを膨らませて息を吸って。
はい…。
少しはやい脈ですが…心音は呼吸が速くて聞き取りにくいのでまた後で。
1時間ほど前に自宅で…。
見て見て。
何?由梨。
算数のテスト頑張ったでしょう!
(井上)
横になって娘のテストを見ていたんです。
そしたらだんだん息が苦しくなってきて…
ハァハァ…。
お母さん大丈夫?
どうにも苦しくてタクシーに乗ってなんとかここまで来ました
いえ実は何度かあります。
4年前夫がギャンブルにのめり込み生活費を入れなくなったので耐えきれず娘と2人家を出ました
お母さんこんな夜にどこ行くの?これからはお母さんと由梨だけで暮らすんだよ。
いいよね?うん…。
家を出たものの自立して生活するのは想像以上に大変でした
程なくコールセンターのオペレーターの仕事を見つけたんですが…
・
(客)ばか野郎ふざけんなよ。
申し訳ありません。
お客様のおっしゃる事ももっともですが当社といたしましてもこれ以上お客様のご要望にお応えいたしかねまして…。
・
(客)もういい!
(通話の切れた音)
ストレスの多い仕事だったからか発作が出るようになってしまったんです
やってらんないよね!私もう辞めるかも。
私は…やらなきゃ…娘との生活費稼がなきゃ…。
井上さん!井上さんどうしたの?大丈夫?ハァハァハァ…大丈夫…。
病院には行かれましたか?
はい
その時はしばらくして治まったんですね。
はい。
それからは…半年に一度ぐらいでしょうか。
時々発作が起きるようになりました。
すごく動悸がして不安な気持ちで怖かったです
お母さんお母さん大丈夫?今日も…
はい。
同じように感じます
はい。
違うよお母さん。
夜のお仕事始めてからも苦しそうにしてたじゃない。
ああ…。
そうだ。
そうです。
今日みたいな感じではなかったですが息切れした感じになりました。
はい。
いらっしゃいませ。
3か月ほど前から週3回ラーメン店で働いています
肉体労働でやっぱり疲れます
井上さん!は〜い。
だから…
(由梨)おやすみなさい。
(井上)おやすみなさい。
アルバイトの日は疲れてすぐ横になるんですが…
ハァハァ…。
息苦しくて眠れない事がありました。
でもしばらくしたら治まったんです
実は…。
由梨ごめんねちょっと外に出ててくれる?娘の前では言いにくいんですが娘をどうしても私立の中学校にやりたいんです。
すごく成績がいいんです。
はい通信簿。
すごい!「よくできる」が増えてる!由梨こんなに頑張ってるんだから中学校受験してみる?えっ!?ううん。
私立には行かない。
友達と離れるのやだし。
どうして?仲良しの咲ちゃんだって私立受験でしょ。
でも…私自信ないし。
本当にいいんだ。
お母さん早く食べようよ。
私立の中学校に行きたいはずなんです。
でもお金の事を気にして諦めているのがかわいそうで…
それでアルバイトも頑張っているのですね。
はい。
ごゆっくりどうぞ。
それにアルバイトを始めてすぐの事なんですが…
ご注文をどうぞ。
あれ?もしかして理恵ちゃん?え?もしかして坂本君?え?2人知り合い?高校の同級生なんです。
この辺で仕事してるの?うん。
昼はよく来てるんだ。
ねえ?店長。
うん。
毎日来てるよ。
常連さんなんだ。
でも変わんないね理恵ちゃん。
そんな事ないよ。
何言ってんの!いやほんとほんとだって。
ハハハ…。
彼も数年前に離婚していたんです
今日遅くまでつきあってもらってごめんね。
大丈夫。
送ってくれてありがとう。
うちここなんだよね。
この出会いからつきあう事になって…
愚痴聞いてもらってすごいスッキリした。
ありがとう。
全然。
いつでもどうぞ。
私にとって彼の存在は精神的な支えになっています
呼吸は少し落ち着いてきたようですね。
今…吐き気はないのですがこのところ御飯があまり食べられてなくて。
最近量っていないので分からないのですが痩せた感じはないです。
ちょっと気になる事があって…。
もう少し様子を見たいので…分かりました。
本当にご迷惑をおかけします。
井上理恵子さんの42歳バイタルデータでございます。
SpOって何ですか?指でさっきみているシーンがありましたがああいうふうにして簡便に血液の中の酸素の濃度をみる事ができる検査です。
という事は98%はなかなかいい。
正常値。
正常なんですか。
息が苦しいのにね。
やはり呼吸状態にかなり問題があると例えば90%以下は一つの重要なラインですがこの方の場合はそこは下がっていないと見ていいと思います。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
(玉ちゃん)そして書記を務めて頂くのは…
(拍手)こちらも女性ですね。
(玉ちゃん)さあさあさあ…。
(杉本)呼吸に何か問題が出てくるって事は…これはストレスからくる感じがしましたけど…。
僕はVTR見ますとねこの方楽しい事をされてないですよね。
見ててこっちが苦しくなる…。
そうですね。
なじみとの方との出会いがあって少しそこで癒やしがあるのか…。
このままうまくいってくれればいいけど何か問題があったらまた体に差し障りがあるんじゃないかとかいろんな事考えてしまうんですけどね。
今おっしゃったポイントすごく大事ですよね。
生活のバックグラウンドはどうかとかストレスがどの程度かかっているのか。
それが患者さんに及ぼしている影響はとても大事な点ですよね。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン。
(玉ちゃん)はいまず米延先生から発表して下さい。
(玉ちゃん)はい。
松居先生。
(玉ちゃん)衣川先生。
さあここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート!それでは3人の先生からまず少しご意見聞きたいと思います。
じゃあ米延先生から。
「間質性肺炎」どんな病気ですか?いろんな原因があるんですが肺にちょっとした変化が起こって呼吸困難感であるとかそういった症状が起こる病気の事です。
ビデオをご覧になってどの辺りが間質性肺炎らしさがありました?
(米延)あとは職場でも自宅でも起こるとか寝てる時でも仕事終わったあとでも起こるとかあまり具体的な誘因がないというのが考える点になりました。
はい。
ありがとうございます。
そうですね。
そうしましたら「過換気症候群」どういう病気か教えて頂けます?若い女性に多い病気ではあるんですが急に息が苦しくなってきて呼吸が速くなってしまう。
ストレスが誘因になる事が多いと言われています。
手のしびれが出たりという症状が出るもので精神的な誘因が多かったりする症候群です。
何か精神的に追い詰められたり不安だったりそういう事が原因になる事が非常に多いですか?引き金としては不安とかストレスは重要と言われています。
(玉ちゃん)そうなんだ〜ねえ。
この方42歳で比較的若い方ででシングルマザーというそれだけでもかなりストレスの多い生活だと思います。
すごくストレスが多いと自分でもおっしゃってました。
過呼吸も含むという事ですか?そうですね。
症候群の中に過呼吸があるという事ですよね。
はい。
過呼吸があったんですね。
(杉本)私過呼吸は若い時に経験してます。
どういう状態ですか?救急車に運ばれた事あるんですけど…。
松居先生実際に過換気症候群の患者さん診られた事ありますか?あります。
どんな呼吸でした?やってみて下さい。
そうですね…。
ハァハァ…。
呼びかけには応じてもらえるんですけど…どんどん速い呼吸を…。
そうすると息が吸えてないので息苦しい。
「もっと吸わなきゃもっと吸わなきゃ」となって過呼吸になってしまうというそういう悪循環。
そうですね。
はいありがとうございます。
そしたら少し合わない点もあるかもしれないので米延先生からどういうところが矛盾するというか合わない点がもしあれば教えて下さい。
私はサチュレーション呼吸数…酸素化のところが下がってないのが合わないかなと思います。
井上さんのSpO酸素飽和度は正常値だった。
間質性肺炎ならば肺でのガス交換がうまくいかなくなるため呼吸が苦しい場合…SpO酸素飽和度が下がっていないという事から可能性が下がってくるかなと思いますね。
ドクターGは診察でこう言っていた。
一方間質性肺炎では……という特徴的な音になる。
井上さんの呼吸音は正常なので…それでは…じゃあ衣川先生はどうでしょう。
この方夜のお仕事を始めてからおつきあいしている方ができて精神的安定材料があっても息苦しさが出てるところが少し合わないかもしれないと思いました。
その部分確かにどちらかと言うとストレスは下がる要因でしたよね。
坂本健太ですね。
そうですね。
過換気症候群あるいは過呼吸らしい部分たくさんあると思うんですがもしかすると何か見逃しているものがあるんじゃないか。
もう一度呼吸のところに着目して少し確認してみましょうか。
井上さんが最初に呼吸の発作を起こしたのは4年前。
それから半年に一度のペースで発作が起きるようになった。
3か月前に始めた…ハァハァ…。
井上さん!そのアルバイトを終えた夜息苦しくて眠れない事があったという。
そして今日ドクターGのもとを訪れる1時間前娘のテストを見ている時に再び激しい息苦しさが井上さんを襲った。
これ全部同じように見えましたか?過換気症候群じゃないかもしれないってもし思うところがあるとすれば…。
米延先生ちょっと今うなずいてましたけれども…。
いわゆる過呼吸のどんどん速くなってコントロールできなくなる感じというのではないんですよね。
すごい大事ですよね。
「労作時呼吸困難」とは階段を上がる重い物を持つなど…ラーメン店で段ボール箱を持ったあとの息苦しさがこれにあたる。
まず労作時呼吸困難。
それから松居先生いかがでしょう?他に特徴的なものは?寝たり横になった時に呼吸が苦しくなってしまう。
そういう事が起きてきます。
心臓の機能が落ちる心不全でよくみられます。
井上さんは夜寝床についたものの息苦しくて眠れず起きてしばらくすると楽になった。
そういうのが同じように診察室の中でみえた場面ってありました?気が付きましたか?「横になりますか?」と言われた時に「いえ結構です」とおっしゃってました。
そうですね。
実際問題呼吸がしんどいという患者さんいろんな原因がありますけれどもやはり多いのは…この2つで約85%ぐらい原因を占めると言われています。
杉本さん最初から循環器怪しいんじゃないかなとおっしゃっておられましたが循環器だったらどういうふうに呼吸がしんどくなるのか。
衣川先生いかがですか?急性心不全の場合ですと俗に言う…水がたまってきてしまってそれでガス交換もできなくて酸素が取り込めずに苦しくなるという状態ですね。
心不全では心臓が血液を送り出す力が弱いため心臓につながる肺で血液が停滞します。
すると肺の毛細血管から水分が染み出し肺胞の中の空気のスペースを減らすため呼吸ができず苦しくなります。
ハァハァ…。
今回の井上さんの息苦しさは過換気症候群の発作なのか?それとも何か心臓に関する障害が起きているのか?今分かる事は見逃せないものとして心臓が少し浮かんでくるかなというのが今の状況かと思いますのでここで第1カンファレンスを終わりたいと思います。
さあ最初のカンファレンスを見てゲストのお二人の感想いかがでしょうか?徐々に徐々に真実に向かってるなと思うんですけど心臓という事がひとつ出てきましたね。
心臓に何か問題ありそうな感じがしてきましたね。
鋭いですね。
出てきましたね。
さあ診断を絞り込むためにVTRの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!ハァハァ…。
井上さん。
そうですね。
この体勢の方が楽で…。
そういえば…。
(井上)
昨日休みが取れて彼と会っていた時に…
坂本君部活の時にこんな暑い日あったね。
あったね。
もう暑かった。
(笑い声)あのさ理恵ちゃん俺の事「君」付けで呼ぶのもうやめない?え?結婚してくれないか俺と。
え?何急にそんな事言うの?びっくりした〜。
なんか胸がドキドキしてきちゃった…。
すぐにとは言わないけど考えてくれないか。
その時心臓の鼓動が変な感じでした
先生お連れしました。
お母さん大丈夫?お待たせしてごめんなさいね由梨さん。
井上さん実は気になっている事があります。
へんとう腺を腫らして熱をよく出してたみたいで度々だったのであまりよく覚えていないのですが一度学校で倒れた事がありました。
その時の事覚えていますか?いえすみませんあまり…。
私おばあちゃんに聞いた事があるよ。
私が熱出した時に話してくれた。
(由梨)
お母さんが小学生の時一度熱を出して治ったと思ったら2週間ぐらいして急に学校で高い熱を出して倒れておばあちゃんが慌てて病院に連れていったって言ってました。
「関節が痛い」って言うからおばあちゃんはインフルエンザかと思ったけど皮膚にすごく変な斑点が出来ていてびっくりしたらしいです
由梨さんありがとう。
はい…特に…。
あっそういえば何か今日私の事呼ぶ時に変に聞こえた。
えっ?そうだった?ゆいごめんね。
大丈夫だよお母さん。
何かこの事が関係あゆんですか?お母さん何かまた言葉が変だよ。
もう一度脈をとりますね。
でも…仕事もやしゅめないし…。
今は早く治す事が大切ですよ。
さあ研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
プロポーズというのは驚きましたけど。
ねえ。
あれでドキドキしちゃった。
精神的には良い状態ですよね。
あれいいです。
だってもうあんなレジャーシート敷いて公園にいるなんてもう男女の中になってますよ明らかに。
しかしちっちゃい頃の高熱の話が出ましたね。
唐突に聞かれましたもんね。
私もへんとう腺が大きくてねよく熱出したんですよね。
やっぱ子供の頃の高熱って怖いもんですか?多くの場合はあまり問題なく自然に治ると思うんですけど時には後々に問題が起きる事というのもないわけではないものもあります。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン。
(玉ちゃん)はい。
さあ米延先生からどうぞ。
(玉ちゃん)松居先生。
(玉ちゃん)さあ衣川先生。
それでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート。
皆さん共通して「リウマチ性」あるいは「リウマチ熱」というキーワードがあってあと皆さん共通して「心臓」。
とても大事なポイントですね。
みんなリウマチは入ってますね。
ねえ。
研修医3人に共通した「リウマチ」とはいわゆる「関節リウマチ」ではなく「リウマチ熱」という病気の事だ。
「リウマチ熱」は子供の頃にかかる病気です。
自己免疫の病気です。
リウマチ熱は子供がかかっちゃう病気ですか?そうです。
リウマチ熱と確定した要因は何なんですか?それ大事です。
どの辺りビデオではどこが決め手になりましたか?まず熱があって来られて…。
一回下がってもう一回というそこ。
それから?リウマチ熱では皮膚に「輪状紅斑」と呼ばれる症状が特徴的に現れます。
他に特徴的なものは?こうした症状が一致する事から井上さんは子供の頃にリウマチ熱にかかっていたと思われる。
しかし子供の頃の病気がなぜ鑑別に挙がったのか?…という事もありますので。
その時には熱は出ないものなんですか?大人になってからの時には熱は出ず心臓の症状だけが出てくるというそういう事になりますね。
このリウマチ熱による心臓の後遺症の可能性を考え研修医の3人は鑑別に「リウマチ」という言葉を入れ心臓の病気を挙げたのだ。
こうした症状を考え合わせると今回の井上さんの呼吸困難は過換気症候群の発作ではなく心臓に関係している可能性が高い。
ただ研修医の鑑別は心臓という事では共通しているが注目した部位は異なっている。
心臓というその辺りがキーワードで挙がってきていますが少し聞いてみましょうか米延先生「リウマチ性心筋炎」という事ですね。
どんな病気ですかね?心臓の筋肉に炎症が起きてその結果として心臓の電気の動きがおかしくなって心不全とか不整脈とかああいう病態だと考えています。
ありがとうございます。
では衣川先生。
幼少期にリウマチ熱にかかってそれが残っていて心臓の弁に炎症を起こしていて弁膜症になって今回弁膜症症状として心不全が出てきたのではないかと。
ありがとうございます。
じゃあ松居先生はいかがでしょうか?僕も同じような病態を考えました。
リウマチ熱があって弁膜症が起きていた。
そこに更に菌がついてしまった「感染性心内膜炎」という病態があるんじゃないかなと。
では井上さんの心臓に問題が起きているのは筋肉なのか?弁なのか?それとも弁を含む心臓の内側部分内膜なのか?ドクターGはまず症状が起きた時期に注目した。
心筋炎自体はリウマチ熱にかかった時に起こってくる症状として小児の時に心筋炎の合併は非常に多いですがリウマチ熱の後遺症とは少し分けて考えた方が分かりやすいかもしれないですね。
「リウマチ性心筋炎」はリウマチ熱のあと何年もたって起きる事はない。
松居先生それが矛盾するところがもしあるとすればありますか?そうですね。
そういった辺りすごく大事ですよね。
残るはリウマチ性弁膜症。
これで患者の症状を説明できるのか?ここでドクターGは研修医に改めて症状について振り返ってみるように促した。
何か他に気になる点がありますか?しゃべりにくそうにしていたのでそこから派生して何か神経の方に合併症が起こっているのではないかと思いました。
これはどういう状態ですか?ろれつが回らないような状態になっていたので…。
ろれつが回らないって…。
脳梗塞まで起きていた可能性を考えました。
ではリウマチ性弁膜症で脳梗塞は起きるのか?その理由をリウマチ性弁膜症を鑑別に挙げた衣川先生は…。
心臓というのは基本的に4つの部屋があります。
(玉ちゃん)4つあるわけですね部屋が。
(衣川)4つ部屋がありまして各右と左に弁が2つずつあります。
この僧帽弁のところに炎症が起きていてここに問題があるんじゃないかと考えました。
僧帽弁は左心房と左心室を隔てるドア。
肺から左心房に戻ってきた血液は僧帽弁を通り左心室に送られ更に全身へと送られます。
僧帽弁に炎症が起きると左心房に血液がたまり血がよどみ血栓ができやすくなります。
研修医たちは……と考えた。
じゃあどの弁が壊れるかによって症状が違ってくるという事…?そうですね。
すごく重要な点です。
それに伴って不整脈がピクピクする動きになってしまうという不整脈が出てしまいます。
確かにドクターGは問診の最後でこう言っていた。
じゃあこの方は心電図とってますので心電図をちょっと確認してみましょうか。
これが井上さんの心電図。
幅の広い正常な部分と幅の狭い異常な部分が混在している事が見て取れる。
というふうにリズムが全く読めない不整脈になっていきます。
これは心房細動を考えます。
そうですね。
最初に「不整脈はありませんね」と一番最初に脈をとった時は言ってましたよね。
正常な部分とそれから急に心房細動になるところ。
そしてまた戻るという「発作性心房細動」といった形で正常なところと不整脈のところが交互に出てきたりしている場合もありますので繰り返し所見をとるというのとても大事なんじゃないですかね。
井上さんの呼吸障害は心臓の弁…ドクターGは確認のために心音を聞く事にした。
ちょっと音を聞いてみましょうか。
じゃあ最初に正常の心音。
正常な心臓では心房と心室を隔てる弁が閉まるドッという音と心室と血管を隔てる弁が閉まるドッという音この2つの音が規則的にあらわれます。
そうです。
なんかものすごい上手ですね。
ものまねですから。
びっくりしました。
(片岡鶴太郎)これが正常のやつ。
はい正常ですね。
じゃあ実際に患者さんの心音聞いてみましょうか。
(玉ちゃん)う〜ん…。
これ患者さんのですね?はい。
いかがでしょうか?じゃあ松居先生。
「ドルル」という音は心房と心室を隔てる弁を通り抜ける雑音。
弁が硬くなるなど異常がなければ聞こえない音だ。
(心音)これに井上さんには脳梗塞の症状があった事を考えると。
それでは皆さんで最終の鑑別を言って頂きたいと思います。
いいですか?じゃあどうぞ!はい正解です。
正解!お〜っ!そろいましたね。
「リウマチ熱による僧帽弁膜症」は子供の頃にかかったリウマチ熱の後遺症です。
左心房と左心室を隔てる僧帽弁が20年以上かけて悪くなり硬くなって正常に開いたり閉じたりしなくなります。
その結果…ちょっと遅れたらやばいですね。
おっしゃるとおりですね。
どうなったんです?理恵子さん。
理恵子さんですけれどもここで診断がつきましたので心臓の弁の手術を行いまして今もすごく元気に外来に通ってきておられます。
改めてドクターGからメッセージをお願いします。
研修医の先生方はこれからいろんな経験をしたりいろんな患者さんを診察すると思うんですが私が研修医の時に指導医の先生から言われたのが…今回の井上理恵子さんの場合は「本当に過換気症候群でいいのか?」という最初に感じた違和感を追求していく事で病状が変化していく診察室の中でも変化していく様を捉える事ができたんじゃないかなというふうに思います。
ですのでまず…これは本当に重要な事で…。
生活背景ですとか患者さん自身が忘れている過去の病気の歴史も含めた患者さんのストーリーをつかんでいくというのがすごく大切なんじゃないかなと思います。
(玉ちゃん)研修医の皆さんどうでした?小さな事でも違和感感じたらきちんとそれをしっかり見つめて診断つけていく事が非常に大事だと思いました。
(玉ちゃん)松居先生どうでした?ちょっと気になるところを追求して追求して患者さんの隠れている病態を引き出していく事がすごく大事だと思いました。
例えば救急外来でこういう方が来られたとか救急車でこういう方が運ばれてきた時に忙しい現場でもやっぱり病歴が非常に大事なんだなと思いました。
さあ杉本さんいかがでした?実は私の夫も10年前に細菌性弁膜症を患って人工弁の手術をしたので今みたいにもっと先入観なしにすごいちゃんと問診を受けて早く発見して頂いてたら手術に至らなかったんじゃないかなとすごい感じました。
さあ鶴太郎さん。
違和感からこの方の本当の病名に至るまで的を絞っていきながらなおかつ「こういう事もありえるな」といういくつかの駒をいっぱい持ちながら狭めていくというそこの…何て言うんでしょうねたどりつき方がすごいなと思いますね。
片岡先生ありがとうございました。
研修医の皆さんもおつかれさまでした。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるのでしょうか。
さようなら!どうもおつかれさまでした。
2015/09/08(火) 14:05〜14:55
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターGセレクション「息苦しくてつらい」[字]
4年前に離婚し、小学6年の娘と暮らす42歳の女性。精神的な原因からか、度々過呼吸を起こし苦しんできた。ある日、過度な息苦しさに耐えきれずGの診察を受けたところ…
詳細情報
番組内容
4年前に離婚し、小学6年の娘と暮らす42歳の女性。派遣社員として、コールセンターで厳しいクレームにストレスを感じながら仕事を続けている。精神的な原因からか、度々過呼吸を起こし苦しんできた。娘に私立中学を受験させ通わせようと、3か月前からはラーメン店でのアルバイトも始めた。そんなある日、過度の息苦しさに襲われる。女性は娘に付き添われ、Gを訪ねたが…。いつもの過呼吸なのか、それとも他の病気なのか!
出演者
【出演】岡山大学医歯薬学総合研究科医師…片岡仁美,【ゲスト】片岡鶴太郎,杉本彩,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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