(ナレーション)
パルス暦321年5月
王太子アルスラーンはペシャワール城を後にして王都エクバターナをルシタニア軍から奪還すべく進軍を続けていた
その第1陣1万騎を率いるのはアルスラーンが発令した檄文に応じてはせ参じたザラーヴァントイスファーントゥースの若き将たちである
アルスラーン軍は200ファルサングもの距離を僅か5日で駆け抜けたのである
アルスラーン王太子の進軍は王都エクバターナのギスカールの耳にも届いていた
(兵)アルスラーンの軍勢はその数6万と称しチャスーム城を越え大陸公路を堂々と西へ進軍しています。
おそらくは我らを威圧するために兵の数を多く触れているにすぎず実際は3〜4万といったところが妥当ではないかと思われます。
(ギスカール)んん…。
早急にエクバターナ駐屯の兵をまとめ10万の部隊を編制しろ。
(どよめき)恐れながらギスカール様3〜4万の敵に10万もの兵を出す必要がありましょうか?その数の兵を動かすのは容易ではござらん。
故に…。
何も分かっておらぬな。
(一同)あっ…。
(ギスカール)それがヤツらの策だったらどうする?
(ギスカール)中途半端な数ではかえって被害を大きくするやもしれん。
10万の兵をもって敵を一気にたたく。
バン!
(扉の開閉音)ん?
(ヒルメス)王弟殿下の仰せのとおりだ。
敵軍にはあの策士ナルサスがいる。
うわさを信じればヤツの思うつぼ。
(一同)んん…。
ただいま帰還いたしました。
(兵)これはこれは銀仮面。
ザーブル城攻略戦においては随分な働きをされたと聞き及んでおります。
ですが首謀者である大司祭ボダンを取り逃がしたとか。
(ヒルメス)逃がした?ふっ。
(兵)何がおかしい!
(ヒルメス)王弟殿下のご機嫌取りがよく言う。
(兵)何を!
(ギスカール)やめよ。
(兵たち)あっ…。
もはやルシタニアにとってボダンなど取るに足らぬ者。
あえて捨て置いたまでです。
それよりザーブル城より戻った我が軍は今3万弱。
ルシタニア兵を7万お借りできれば10万で一気にアルスラーン軍を討ち取ってみせますが。
よかろう。
では。
(ギスカール)待て。
7万の兵の命をお主に預けたわけではない。
あくまでも貸しただけだ。
そのことを忘れるな。
心得ております。
アンドラゴラスの小せがれの首を携えて戻るまで心健やかにお待ちいただければと。
ふん。
くっ…。
(エラム)この先に兵士たちが集まってる酒場があるようだ。
(アルフリード)そこで情報を?
(エラム)ああ。
(2人)ん?おいお前らそこで何をこそこそしている?怪しいな。
あっ!
(エラム)うわっ!
(アルフリード)私たち駆け落ち中なんです!えっ?
(2人)あっ…。
んん?兵隊さん聞いてくださいよ!死ぬまで絶対に離れないって言ったくせにこの人ったらやっぱり帰ろうなんて臆病風を吹かせてるんですよ!はあ?ぐっ…。
私のこと本当に愛してないのね!?ああ…愛しているとも!僕の愛に一点の曇りもない!
(アルフリード)ほんと!?信じていいのね!?
(エラム)もちろんさ!
(2人)はぁ〜。
好きにしろ。
(アルフリード)私も愛してるわ〜!
(エラム)僕は幸せだ!
(アルフリード)ふふふっ!
(2人)ふぅ〜。
あっ!ちょっといつまで抱きついてる気!?抱きついてきたのはそっちだろ!いや〜しかし参ったな。
参ったよな。
(ざわめき)
(ヒルメスの兵)大丈夫か?
(ヒルメスの兵)もっと飲めもっと飲め!
(ヒルメスの兵)ははははっ!
(ヒルメスの兵)ほらほらほら!今日は俺のおごりだ!みんなじゃんじゃん飲んでくれ!
(ヒルメスの兵たち)おお〜はははっ!ちっ!調子に乗りやがってパルスの残党が。
ザーブル城攻略成功ですっかり英雄気取りだぜ。
(ルシタニア兵)進軍してきているパルス軍をたたくのもヤツらに指揮させるらしいぜ。
サームにザンデか。
なんで戦勝国の俺たちがヤツらに使われにゃならんのだ。
まあまあ。
だけどヤツら4〜5万の軍勢なんだろ?それを10万でたたくってどういうこった?
(ルシタニア兵)ギスカール様に考えがあるらしい。
ほらもっとどんどん飲めよ!ルシタニアの諸君も遠慮なくやってくれ!ははははっ!でかい面しやがって。
(ヒルメスの兵)おお〜いいぞ!ほらもっと飲め!はははっ!おお〜そうだ!もっとやれ!敵は10万の兵で進軍してくる…か。
それが何さ?確かにナルサス様の策は先手を打った。
だが敵もさる者だ。
ちょっと何それ?私のナルサスにケチをつける気?いつお前のになった?ふざけるな。
(アルフリード)私のナルサスよ!
(エラム)私のナルサス様だ!
(アルフリード)これだからお子様は!コツコツコツ…
(足音)ガチャ
(牢の開閉音)
(アンドラゴラス)なんの用だ?明日出陣する。
(ヒルメス)果たしてお前の息子がどの程度お前の命を思っているのだろうな。
あいにくだがあやつに命のともし火をつないでもらうほど俺は落ちぶれてはおらん。
お主こそ薄汚いルシタニアの手を借りてこの俺を玉座から引きずり下ろしよもやそれを己の名誉などと血迷ったことを考えてはおらぬだろうな?
(ヒルメス)何?お主は何一つ分かってはおらぬ。
ん?なんのことだ?
(アンドラゴラス)我ら血塗られたパルス王家の系譜。
(ヒルメス)何を言っている?
(アンドラゴラス)予言どおりだ。
予言?全ては予言どおり。
運命の歯車は回っているにすぎん。
お前が知らぬだけのこと。
ふふふっこのわしに勝ったと思うなよ小僧。
くっ…。
(アンドラゴラス)ふふふふっ。
ふははははっ!わははははっ!今度ここに来るときは土産に貴様の息子の首を持ってきてやろう。
ガチャ…バタン
(牢の開閉音)
(ザンデ)今度こそあの傲慢なダリューンを墓穴へ放り込んでくれるわ!
(サーム)ふっ…。
ヒルメス殿下アルスラーン軍を打ち倒した暁にはこの王都にはびこる敵を蹴散らし王位におつきください。
ふっ…言うまでもない。
(ナルサス)そうか。
あえて兵の数を少なく触れ回っておいて相手の裏をかくつもりだったがその上をいったか。
ギスカールという男もなかなかやる。
(ダリューン)10万か…。
数では劣ることになるな。
(ナルサス)うむ。
(エラム)それとパルスの残党の中にはサームという武将がいるようです。
(アルスラーン)サームが!?
(アルフリード)知り合いですか?名将と誉れ高いお方だ。
敵にはしたくない相手だな。
父上のために随分と働いてくれていた。
アトロパテネの折は母上の護衛として城に残っていた。
そのサームがなぜ…。
こちらもそれ相応の策をもって当たらねばなりませんな。
ナルサス頼んだぞ。
お任せあれ殿下。
策士の名誉に懸けてここ一番の戦略を練りましょうぞ。
うん。
キンキン!
(剣の稽古の音)上!キン!中!下!キン!キン!
(心の声)≪強くあらねば≫≪私自ら力をつけなければならない≫くっ!キンキン!はあっ!キン!はあ〜!カキン!はぁはぁ…やはりまだまだだな。
そんなことはございません。
たくましくなられております。
それに君主が目指すべきは武勲ばかりではございません。
ああ。
いずれにしても私はもっと自分を磨かなければならない。
そして皆が誇れる王を目指したいのだ。
はい。
あっ。
どうした?みんな。
も…申し訳ありません!お二人の剣の扱いに見とれてしまって。
失礼しました!ちょっと待ってくれ!ダリューンそなたに頼みがある。
あっ…。
(兵)もっと腰を入れて!
(奴隷兵)はっ!利き腕は後ろだ!はっ!弓を射るときはまず上半身を一直線にするよう背中を伸ばすことだ。
やってみろ。
はい!いやそうではない。
・
(ナルサス)なるほどな。
新たに加わった兵士に武器の扱いを教えてやってくれとは殿下らしい。
ああ。
(4人)やあ!やあ!いよいよヒルメス王子と戦うことになるな。
うん…。
案ずることはない。
殿下は見かけよりはるかに強く広い心をお持ちだ。
確かに覚悟を決めたとおっしゃっておられた。
だが…。
(ナルサス)お前まだ殿下がヒルメス王子に王位を譲るのではとか考えているのか?もしそうなったとしてお前はヒルメス王子に仕えるのか?冗談を言うな!だったら信じよう我らの主を。
ああ。
ナルサスよいか?・
(ナルサス)はい。
あっ邪魔をしたな。
(ナルサス)いえいえ殿下。
ちょうどひと息入れようと思っていたところです。
えっ!?こ…これは!?静物画を。
ああっ!はははっ。
いや…相変わらずすごい…。
でどうなさいました?うむ。
今日兵たちの武芸の稽古を見ていて一つ感じたことがあった。
ほう。
何をお感じになりましたか?歩兵たちのことだ。
最初こそ戸惑っていた様子だったがやがて皆意気揚々と稽古に励んでいたというところでしょうか?あっ…なぜ分かった?歩兵は皆奴隷の身であった者たちです。
おそらく武芸の稽古をすることなどなかった者ばかりでしょう。
ああそのようだった。
だから皆嫌がって参加してくれないかとも思った。
ん?戦は厳しくそこには犠牲が付き物だ。
今回の戦ではたくさんの命が失われるだろう。
だができるならば私はもう兵士に命を落としてもらいたくない。
それでみんなに稽古に参加しないか誘ってみたのだ。
そうでしたか。
人は皆己が何者であるのかどこへ進むのかその答えを求めて生きていくものだと私は思います。
あっ…。
(ナルサス)ですが与えられたことをするしかない奴隷たちはその気持ちさえなくしている。
今日稽古に参加した彼らにとって武芸を習うことは己のために己の意思で決めたこと。
うん。
(ナルサス)ただ何も考えず従属しているだけの生き方ではなく一人の人間として生きることを実感できた瞬間だったはずです。
彼らが何者であるかそしてどう進むかを殿下がお示しになったといっていいでしょう。
私が…。
ふっ。
まだ気がかりなことがおありですか?いや。
それにしてもお主とダリューンにはいつも助けられてばかりだ。
殿下には玉座についていただかないと私の夢もかないませんゆえ。
よもやお忘れになってはおられないですよね?お主を宮廷画家とするということであろう?もちろん忘れてはおらぬ。
ならばよろしくお願いいたします。
そうだ!「決戦前夜」という題名でダリューンに肖像の一つでも描いてやろうかと思いますが。
あっそれは…どうだろうな。
(アルフリード)やっぱりなんか静かよね。
(エラム)確かに。
ギーヴ様がいないからか。
(アルフリード)そっか…。
ねえさみしくないの?ファランギースは。
(ファランギース)なぜ私が寂しがることがある?だっていい雰囲気だった…じゃない?バカな。
ただ…。
(エラムアルフリード)ん?
(ファランギース)精霊が言っているあやつの魂はここにあると。
えっ!死んだってこと!?まさか。
あいつは殺されても死ぬようなヤツではなかろう。
(アルフリード)ふっ確かにね。
(ファランギース)遠く離れておってもヤツの心が殿下と共にあるということじゃ。
聖マヌエル城
その名はルシタニアの歴史上の聖職者より取ったものでパルス軍が長らく放置していた砦をルシタニアが侵攻の際修復して拠点としたものである
現城主は有徳の人バルカシオン伯爵である
バン!
(エトワール)バルカシオン伯爵様!なぜパルスの兵が城内に入ることをお許しになるのです!
(バルカシオン)騒々しいなエトワール。
たった今イノケンティス陛下の勅令が届いたところだ。
(エトワール)陛下の?「パルスルシタニア連合軍10万でここ聖マヌエル城でアルスラーン軍を迎え撃つ。
その指揮は銀仮面が執ることになった」と。
銀仮面…。
ここから一歩たりとも敵軍を進ませてはならぬと仰せだ。
(エトワール)それは分かっております。
ですがなぜ異教徒の力を借りなければならないのです!エトワールこれもイアルダボート神の試練と受け止めることはできぬのか?あっ…。
ですが…。
よいな。
(エトワール)分かりました。
ふぅ…。
これも試練なのか。
(アンドラゴラス・回想)予言どおりだ予言など取るに足らぬ。
いよいよだな。
はい。
ええ。
必ず…パルス王国王都エクバターナをこの手で奪還する。
黒衣の騎士はくすんだ銀色の刃によって鮮紅色の弧を宙に描いた
少年はそして王となる
2015/09/06(日) 17:00〜17:30
MBS毎日放送
アルスラーン戦記 #22[字][デ]
第二十二章「出撃前夜」▽立ち向かえ。奪還の刃。ーー味方5人、敵30万人!敗戦から始まる英雄譚!
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番組HP→→→http://www.mbs.jp/arslan/
番組内容
王都を目指し、アルスラーン(声・小林裕介)の進軍は続く。その手勢は6万だといわれている。これに対し敵国は、10万の兵を持って応じることを決定する。
兵を率いる将には、ヒルメス(声・梶裕貴)が抜擢された。しかし、それは必ずしも、彼に対する敵国の王たちの信頼を意味せず、兵の中にも、彼を含む元パルスの兵たちを心良く思わない者は数多いのだった。
かくして、両軍激突のときは近づく!
声の出演
(アルスラーン)小林裕介
(ダリューン)細谷佳正
(ナルサス)浪川大輔
(エラム)花江夏樹
(ファランギース)坂本真綾
(アルフリード)沼倉愛美
(ヒルメス)梶裕貴
(エトワール)内山夕実
(サーム)家中宏
(ギスカール)子安武人
(ザンデ)森田成一
(バルカシオン)石原凡
(アンドラゴラス)菅生隆之
ほか
原作・脚本
【漫画】
荒川弘(講談社「別冊少年マガジン」連載)
【原作】
田中芳樹(光文社カッパ・ノベルズ刊)
監督・演出
【監督】
阿部記之
【シリーズ構成】
上江洲 誠
音楽
【オープニングテーマ】
NICO Touches the Walls「渦と渦」
【エンディングテーマ】
Kalafina「One Light」
【音楽】
岩代太郎
制作
【アニメーション制作】ライデンフィルム×サンジゲン
【製作】「アルスラーン戦記」製作委員会
関連URL
【番組HP】
http://www.arslan.jp/index.html
【Twitter】@arslan_anime
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アニメ/特撮 – 国内アニメ
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