美の京都遺産 2015.09.06


(ナレーション)
抒情的な風景画
仏を表した抽象画
2枚の絵は56年に及んだ画歴の出発点と終着点

京都市北区
金閣寺や龍安寺の程近くに京都府立堂本印象美術館がある
9月27日まで堂本印象の作品を集めた回顧展が開かれている
初期から晩年まで40点を鑑賞できる

大正11年に描かれた…
展示中の絵の中で最も古い初期作品である
印象は宗教画や仏画を多数く描いた

東山の名刹智積院の襖絵「婦女喫茶」
印象の代表作の一つである

画風は何度も変わり表現の飽くなき探求が続いた
(来館者)この赤は何を表してるんやろうかとかねそういうところをちょっとね考えるんですけど考えさせることが抽象画の役割なんかなぁっていうふうに思いながらゆっくり眺めさせていただきました。
繊細さがやっぱりどの作品からも感じられてそれ故に真逆のストイックさみたいなものが受け取られてすごいいい刺激になりますね。
人物の場合は顔が優しいとかそれから宗教画って私よく分からないんですけれどもなんか…なんとなく癒やしてくれるとか慰めてくれるとかそんな感じを受けてなんか優しい方なんだろうなと思って…。
明治24年堂本印象は京都市上京区にあった造酒屋の三男として生を受けた
幼い頃から絵を描くのが好きだった印象は京都市立美術工芸学校に進む
ところが父が事業に失敗し他界
印象は家計を支えるため西陣の龍村平蔵の織物工房で図案描きの仕事に従事する

学芸員の山田由紀代さん
(山田さん)当時はやはり画家の卵たちっていうのはそういった染織関係の業者さんにいることが多かったんですけれども堂本印象もその一人ですごく活躍をしたということなんです。
でその活躍が龍村平蔵の支えにもなりまして京都市立絵画専門学校に入学を後押ししてくれるというそういう関係になります。
絵画専門学校入学から1年後の大正8年第1回「帝展」に出品された「深草」
京都の農村を描いたこの絵が入選し印象は画壇に知られることになった

第2回「帝展」には「西遊記」の絵巻物を出品
玄三蔵が孫悟空らを伴って天竺を目指す明代の長編小説を絵にした

満開の桜の下髪をとくような仕草を見せる木華開耶媛
日本人の心の琴線に触れるしとやかな美が息づいている

戦後印象の画風が一変する
純然たる抽象画を画壇に問うたのである
第12回「日展」に出品された…
賛否両論の騒ぎになったという
(山田さん)戦後あたりから徐々に人体なんかをデフォルメしていくっていう方向に向かうんですけれども。
やはり戦争を経験して何かこうこれまでの日本画の狭い世界で生きていくだけではいけないっていうことに…思ってそれをきっかけにずっと抽象の方に進んでいくんですけれども。
やはり大きなきっかけとなったのは昭和27年にヨーロッパを旅してあちらの方でいろんな作家とか当時のコンテンポラリー・アートみたいなものを見て感じたことがおっきかったんじゃないかなと思います。

昭和41年
印象はそれまで発表したどの作品よりも大きな作品を発表する
自ら設計とデザインを手がけた美術館を造ったのである

唯一無二の独創的な外観
竣工当時は古都の風情にそぐわないと批判の声が上がった
彫刻金工ガラスランプ
美術館で目にするほとんど全てのものが印象の作品である

展示室の表示やドアノブに至るまで徹底的にこだわったことがうかがえる
来館者はめくるめく印象の芸術世界に迷い込むのである

画家が生存中に自らの美術館を持つことは極めて珍しい
昭和12年に発表された美しい宗教画「観世音」
台密の様式にのっとって中央右寄りに如意輪観音を描き六観音を配した

臨済宗大本山東福寺
法堂には印象こん身の天井画がある

その大きさは150畳ほどになるという

「仏画を描いているときは行に入ったとでもいうか気持ちが非常に純粋である。
そして描き終わったときはよいとか悪いとかいった気持ちは全然起こらない。
最初から自分というものがもう一つ何か大きいものの中に入り込んでいるためであろうと思われる」

そんな印象の言葉どおり大いなる存在に抱かれて何かに導かれるように筆を運んだと思われる宗教画がある

奈良東大寺に収められた巨大な掛軸…
善財童子が53人の善知識を歴訪し阿弥陀に会う華厳五十五所遍路を絵にした

その情熱的な活動からは想像しにくいが印象は生来病弱だったという
見る者の心を光のベールで包むかのような堂本印象の作品
それは仏を慕い敬う清らかな心から生みだされていたのかもしれない

石庭で名高い龍安寺の四季をご紹介します
2015/09/06(日) 06:15〜06:30
MBS毎日放送
美の京都遺産[字]

「堂本印象」

詳細情報
◎この番組は…
古都1200年の歴史の中で守り続けられてきた寺社仏閣・祭り・伝統工芸などの中より「美の再発見」をテーマに、ハイビジョン撮影による高画質映像でお送りする「映像美術館」。
 
音楽
久石譲
 
公式HP
【番組HP】
http://www.mbs.jp/kyoto/
おことわり
番組の内容と放送時間は、変更になる場合があります。

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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