ついに幕府との最終決戦。
高杉の思いを受けた美和の新たな戦いが始まる。
泣き言は言いません。
今若い女性の人気を集めているファッションアイテムがあります。
それがこのスタイリッシュなパンツ。
実はこれ皆さんおなじみの日本の服をアレンジしたものなんですが…。
なんと「もんぺ」!胴回りがゆったりとして裾がすぼまった女性用の作業着。
26歳の会社員西阪理絵さんは色や柄を変えさまざまなもんぺスタイルを楽しんでいます。
その魅力はこの模様。
かすれた感じが醸し出す温かな風合いがいいんだそう。
このもんぺは福岡県で作られたもの。
独特のかすれ模様を特徴とする「久留米絣」なんです。
久留米絣が誕生したのは今から200年ほど前。
庶民のふだん着として愛されてきました。
あのかすれ模様はあらかじめ染めた木綿の糸を織って作っているんです。
久留米絣のもんぺは本来の作業着としても人気抜群。
こちらのパン屋さんでは2年前から愛用しているんだそうです。
すごい楽だったんですよね。
この辺はすごい楽だけど肌ざわりが良く通気性もバッチリ。
だから今や男女を問わず子供にまで親しまれているんです。
さらに今久留米絣は華麗に変身。
さまざまな柄を組み合わせたストールやおしゃれなワンピースなど現代のライフスタイルに合った製品が続々と生まれています。
絶妙なかすれを持つ久留米絣。
その魅力に迫ります。
もともと久留米で誕生した久留米絣は今八女市や広川町など4つの市と町で作られています。
今回のイッピンリサーチャーは女優でモデルの藤澤恵麻さん。
まず訪ねたのは現代風もんぺの火付け役となった八女市のセレクトショップ。
あった!もんぺの山!すごい何だか華やかですね。
白水高広さんは着物のイメージの強い久留米絣を手の届くものにしたいと4年前もんぺにする事を企画しました。
店内にはもんぺがズラリ。
柔らかな柄からシャープな幾何学模様まで60種類もあるんです。
一番人気は濃い地の色に白い柄が浮かぶこの十字模様。
シンプルなだけにかすれ具合が引き立ちます。
その味わい深い表情が人気の理由です。
やっぱりこの模様の醸し出す雰囲気だと思うんですけど。
身につける人の心をほっこりさせる繊細なかすれ模様。
いったいどうやって生み出されるんでしょうか。
訪ねたのはかすれ模様に欠かせない最初の作業を行う工房。
職人歴60年の大ベテラン…坂本さんが行うのは「くくり」。
綿糸を束ねて糸で縛ります。
でもここからどうして模様が生まれるのかまずご説明しましょう。
久留米絣では分業制が主流。
坂本さんがくくった糸は染め職人のもとに運ばれ染色されます。
色を付けたあとくくった部分をほどくとくくった部分は染料に染まりません。
この白い部分が模様になります。
こうして染め分けられた糸を織り職人が織っていくと輪郭がにじんだように見える独特のかすれ模様が生まれるのです。
つまりくくりの作業はかすれ模様の出発点となる重要な工程なのです。
これが坂本さんが使う「くくり」専用の機械です。
まず見本をもとに模様と模様の間隔の値を入力します。
次に綿糸を180本ずつ束ねたものを6か所にセットします。
くくる糸は「ボビン」という筒型の器具にセットされています。
機械を動かすとボビンが束ねた糸の周りを高速回転。
あっという間にくくられていきます。
色が中に入ってしまう事もあるんですか。
重要なのはきつくしっかりくくる事。
きつくくくった糸を染めると色はくっきり鮮やか。
境目を見ると染まり方のほんの僅かな差がすでにかすれを生んでいる事が分かります。
一方くくりが甘いと染料が深く染み込んでくっきりとした染め上がりになりません。
綿糸一束は12反分。
160メートルという膨大な長さです。
ボビンは1か所をくくるのにおよそ40回転。
全てくくり終えるまで2時間。
休む事なく動き続けます。
そのためくくりが僅かに緩くなる事があります。
坂本さんは機械から目を離さず仕上がりをチェック。
時にはネジを締めて調整し常に一定のくくりを保ちます。
こうしてくくりの作業は完了です。
くくり終えた綿糸の束は染め職人によって染色された後織り元に運ばれます。
こんにちは。
こんにちは。
はじめまして。
藤澤恵麻と申します。
下川と言います。
お世話になります。
わ〜すご〜い!
(織機の音)すごいですね。
迫力があるというか。
(下川)20台の織機がですね今回っていますので。
音がすごいですね。
うん。
すごい音がする!20台の織機が常時フル稼働。
300種類以上の生地を織り上げています。
絶妙なかすれを生むのは織りの工程です。
まずはこちら。
わ〜かわいい!「経巻」という織機にかける前に糸をそろえる作業。
160メートルのたて糸を手で並べ1つ1つ模様を合わせていきます。
長さだったりとかそれがいい感じの風合いに見えますよね。
そもそも微妙に染まり具合が違う糸を手で並べる中でさらに微妙なズレが生じ美しいかすれが生まれていたんです。
そしてこのあとかすれに磨きがかかっていくんですが。
その主役は織機。
それもなんと昭和10年代に作られた年代物。
下川さんの祖父の代から使い続けています。
よこ糸を通すシャトルが左右に動いて生地を織り上げるという仕組み。
いわば人の動きを機械化したようなものでだからこそ自然な風合いになるんだそう。
そんな機械がまた絶妙なかすれを生むんです。
ちょっと1回止めますけど。
はい。
そうですね。
まだ何回か分か…。
ちょっとこう今右下がりな感じなんですね。
確かに横に並ぶ4つの模様の内右の2つが手前に進みすぎています。
このズレがなぜ生じるかというと…。
左右に激しく動くシャトル。
この動きに合わせてたて糸も上下するため織機全体が大きく揺れこの振動で糸がズレてしまうんです。
進みすぎた模様を後ろに戻さなければなりませんが実はこの時かすれが生まれるんです。
まず織機の裏にまわってズレた模様分のたて糸を持ち上げます。
ここでなんと竹の棒が登場!持ち上げた所に挟みました。
竹で持ち上げた分糸は引っ張られ進むスピードが若干遅くなります。
こうして模様のズレを修正するのです。
再び正面に戻ると先ほどより模様の位置が修正されている事が分かります。
こうした作業を繰り返すうち模様には繊細な変化が加わりさらなるかすれが生まれていたのです。
なんかいい意味で布の糸の優しさみたいなの感じる。
この織機は下川さんにとってただの機械ではありません。
祖父の代から働き続けるかけがえのないパートナーなのです。
温かみのあるかすれ模様は職人と機械の二人三脚によって作り出されていました。
久留米絣は江戸時代1人の女性が生み出しました。
久留米の商家に生まれた井上伝は8歳頃から機を織りはじめ123歳の時あらかじめ糸を染めて模様を作る方法を編み出します。
着古した藍染めが色あせ白い斑点ができた事に興味を覚えたのがきっかけでした。
以来伝は藍染めと白い絣模様による世界を深めていきます。
さまざまな模様を開発し織りの技術を磨きながら千人以上の弟子を育てて地場産業の礎を築いたのです。
こんにちはおじゃましま〜す。
伝が生み出した「藍」と「白」の世界は今新たな展開を見せています。
かすりのワンピース!こんなのが!わ〜!それがこちらのワンピース。
海を思わせる深い藍色の中揺らめき上る泡のような模様。
泡には空気を表した白のほか地とは異なる藍をさらに2色加えて上昇する動きまで巧みに表現しています。
深みがある藍色をしていてすごく優しい風合いというか着ていて心もスッと落ち着くような感じがします。
手がけたのは明治から続く…自ら染めも行う山村さん。
従来の久留米絣にはまれだった藍色に濃淡をつける手法の開発に取り組んできました。
一番濃い所は何回も何回も染められてる部分。
それだけで濃淡が出ている。
そうですねはい。
では染めの作業を拝見。
おじゃましま〜す。
どうぞ。
わ〜すごい。
なんか土俵みたいな!思ったのと全然違いました。
フフフ。
そうですか。
瓶ですか?そうです瓶です。
藍瓶と言ってこの中に全部染料が入ってるんです。
なんか香りもすごい独特の…。
日によって発酵具合が異なるためその時々で最適なものを選び染めるんだそうです。
では泡模様をどう作るんでしょう。
まず色の違いに応じて3つに分けてくくり全体を染めます。
そして一番下のくくり糸をほどきまた染めます。
この作業を繰り返して濃淡の異なる藍を生み出すのです。
ちょっと色の変化する部分があるんですよ。
最初の全体の色を染める作業です。
液自体は茶色なんですよね。
まっさらな綿糸を染料につけ込むと…。
わ〜茶色なんですか!そうです。
液自体は茶色ですよ。
これが藍色になるんですか?酸化によって色が変わるんですか。
はい。
最初は緑っぽい色ですよ。
出来上がり。
初め茶色だった染料が酸化して藍色に変わるんです。
もうそれで上げちゃっていいんですか?ギュッとねじって脱水。
余分な染料が残ると色ムラの原因になるので目いっぱいの力が必要です。
うっすらと色づきましたがこれはまだ序の口。
何回くらい繰り返すんですか?そんなにですか。
大変!何度も何度も染め重ね徐々に色を濃くしていかなければなりません。
すごい力がいりそうな。
はい。
結構力がいります。
そうですよね。
こうして染める事24回。
ここでくくっている部分の一部をほどきます。
ようやくくっきりとした色になってきました。
そしてさらに6回染め重ねます。
こうして2種類の濃淡の藍が染まりました。
このあとまたくくりを外して染める事6〜7回。
5日間に40回ほどの染めを繰り返しやっと美しい模様が生まれるのです。
実は美しい藍色を作るために山村さんもう一手間かけていました。
お〜!アハハハハびっくりした!糸の束をたたきつける「たたき」。
これを1回1回の染めのあと必ず行うのです。
糸の間に空気を入れて酸化させ鮮やかな色を出すためです。
そこの傾斜に当てるのが大事なんですか?はい。
ピンポイントで手前の傾斜に束の根元を打ちつける。
こうすると跳ね返りながら糸全体が広がってまんべんなく空気が行き渡るのです。
手間をかけない限り美しい藍色にはならない。
山村さんが苦労をいとう事はありません。
白と藍。
この2色で無限の模様を作り出す久留米絣の伝統は今も息づいています。
藤澤さんが羽織っているストール。
実はこれ久留米絣の新たな魅力を詰め込んだ今人気のイッピン。
羽織ってもよし首もとに巻いてもよしそのつど豊かな表情を見せるのが特徴です。
1枚のストールに12種類の生地が組み合わされています。
白と藍を主とする従来の久留米絣とは異なる多彩な色の世界です。
生地は5つの織り元が作りました。
いずれも個性的な色使いで新たな久留米絣づくりに挑んでいます。
こんにちは。
いらっしゃいませ。
織り元たちとストールを開発したのが問屋の企画担当…こんな柄もあるんですね。
織り元たちと久留米絣に新風をもたらしたいと勉強会を重ねた末誕生したんだそうです。
なんかライフスタイルに合った何かできないかと思った時にこのショールを開発したっていう。
だから…藤澤さんが訪ねたのはストールの生地の中でも独自の色彩世界を追求している織り元。
創業117年になる…わ〜すごい。
いっぱいある。
すごいきれいな色の。
野村さんはいち早くカラフルな生地づくりに取り組んだパイオニア。
そのきっかけは24年前。
地元を襲った台風によってDialog2015/09/06(日) 04:30〜05:00
NHK総合1・神戸
イッピン「かすれにほっこり〜福岡 久留米絣(がすり)〜」[字]
ほっこりあたたかい“かすれ”模様で、今大人気なのは、福岡・久留米絣(がすり)の“もんぺ”。そして神秘的な藍と白のワンピースなど伝統とモダンが融合した逸品を紹介。
詳細情報
番組内容
今、福岡・久留米絣(がすり)の“もんぺ”が大人気だ。淡くにじんだようなかすれ模様が、ほっこりあたたかいと、ファッションとして、愛されているのだ。その繊細な柄を生み出す、織りのワザとは?また伝統の藍染めの技術を進化させ、美しいグラデーションをほどこした幻想的なワンピースや、従来にないカラフルな生地を組み合わせた、おしゃれストールなど、モダンでスタイリッシュな久留米絣の世界を、藤澤恵麻がリサーチする。
出演者
【リポーター】藤澤恵麻,【語り】平野義和
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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