ドラマスペシャル「名探偵キャサリン」 2015.09.05


(浜口幸夫)これは唐門といって約400年前に徳川家康がつくったものです。
今は国の重要文化財になっております。
(英語)
(ルイス・ターナーの英語)ヤー。
レッツゴー。

(記者)二条城はいかがでしたか?
(ルイスの英語)
(英語)
(通訳者)京都は日本が世界に誇る歴史を持つ街だという事がよくわかりました。
とても素晴らしかったですとおっしゃっております。
ターナー副大統領は私の古い友人だ。
従って忌憚なく意見の交換が出来ましたよ。
ルイスサンキューベリーマッチ。

(発火音)
(鈴木刑事)あっちだ!あっちから聞こえたぞ!
(橋口警部補)車を出せ!大臣も!
(キャスター)「アメリカのターナー副大統領と浜口外務大臣を狙ったテロの可能性もあると見て警察は捜査を進めています」「犯行に使われたのは市販のいわゆる爆竹と呼ばれる花火で時限発火装置が仕掛けられてあったとの事です」
(吉村峰子)えらいこっちゃ…。
(電話)はいもしもし浜口研究室です。
あっ…大丈夫でした?「ああ峰ちゃん?」もう大騒ぎ。
(峰子)おけがは?「大丈夫だよありがとう」「一郎君いるか?」いはります。
ちょっとお待ち…。
あっ一郎ちゃん待った〜!ちょっと待ってくださいね。
はい。
一郎です。
どうだ?飯でも食わんか?遠慮しておきます。
また〜そう言うなよ。
「また何か押しつける気でしょ」僕は政治の世界に興味ないって何遍言ったらわかっ…。
「今夜7時グランドホテルで待ってるぞ」フフ…。
(呼び出し音)
(従業員)いらっしゃいませ。
ありがとうございます。
浜口一郎様でいらっしゃいますか?はい。
どうぞ。
荷物を改めさせて頂きます。
両手をお上げください。
(男性)この度はどうもありがとうございます。
弟子の川野辺でございます。
よろしくお願いします。
あっ一郎。
ああ叔父さん。
君に紹介したい人がいるんだ。
無駄ですよどんな方紹介されても。
僕は選挙に出るつもりはありませんし親父の後も叔父さんの後も継ぎませんから。
ハハハ…。
キャサリンさん甥の一郎です。
あなたと同じコロンビア大学を出てるんですよ。
あっそうですか。
はじめまして。
ターナー副大統領の娘さんでキャサリンさん。
どうも…。
副大統領は帰国なされたがキャサリンさんはビジネスのために残られた。
あっキャサリンさん彼があなたのエスコート役を務めます。
キャサリンさんはすごいんだぞ。
経営学でMBAを取得されて化学と心理学も専攻なされたそうだ。
それに引き換えて彼は役にも立たない研究をしておりましてねハハハ…。
叔父さん何勝手に決めてんですか!アメリカとのパイプ作りだ。
いりませんよそんなパイプ。
君が政界に打って出る時に役に立つだろう。
政界に打って出ません。
ああ…ご滞在中は彼になんでも言いつけてください。
叔父さん…。
あっ失礼します。
(司会者)「それでは準備が整ったようです」「東流京流新流生け花御三家の家元をご紹介させて頂きます」「東流の作品を生けられたのは家元の東郷流風さんです」
(拍手)
(司会者)「京流の作品はこの方家元の西川鳳さんです」
(拍手)
(司会者)「そして新流家元山野華子さんです」
(拍手)
(司会者)「キャサリンさんそして皆様お近くにてご堪能ください」キャサリンさんの一家がファミリービジネスをやってる事を知ってるな?いえ知りません。
全米でレストランチェーンとホテルチェーンを展開している。
でその全ての店に生け花を置くというプロジェクトが始まるんだ。
キャサリンさんはそれを全部任されて日本に来た。
だから見ろ。
各流派が必死になってプレゼンをしている。
もし決まってみろその流派の儲けは莫大なものになるぞ。
あっ…。
失礼致しました。
ああいや…。
すいません。
失礼しました。
もう帰ってもいいですか?もう少し待て。
もうすぐ終わる。
あれ?時計がない。
あっ…。
ちょっと待って。
君!失礼します。
ちょっと待って!君今ぶつかったね。
この方の腕時計知らないかな?失礼します。
ありました。
違います。
何が違うんだ?ああキャサリンさんなんでもありません。
どうぞ戻ってください。
その時計…。
以前お父様から頂いたものです。
それを盗まれるなんて面目ない。
腕にはめていたのですか?はい。
それをどうやって盗んだんですか?ぶつかって?ええ。
一瞬ですね。
やってみてください。
いや僕は出来ませんよ。
でもプロなら出来る。
それにこの時計はアンティークだし裏に副大統領の刻印もある。
高値で売れる。
あなたはお酒に弱い。
そして前髪が濡れています。
あなたは酔いをさますために顔を洗った。
アンティークの時計は水に濡らしてはいけない。
あっ…!トイレで外した。
じゃあその時に取ったんです。
だから違います。
誰のかわからなかったから係の者に預けようと思って…。
私の父がプレゼントしたものをトイレでなくしたと父に報告しますね。
残念です。
いやあの…それは困ります。
では?わかりました。
これは私がトイレに忘れた。
見つけてくれてありがとう。
叔父さん!?なんなんですか?あなたは。
これは私を歓迎して頂くパーティーです。
そうそう。
このパーティーは不祥事があってはならんのだ。
叔父さん…。
謝りなさい。
えっ?謝りなさい。
謝っておけ。
申し訳ありませんでした。
あなたも。
ホテルマンならお客様のものをポケットに入れたのはあなたの落ち度です。
申し訳ありませんでした。
失礼します。
エスコート。
やりたくないと思っている方にやって頂くほど困っていません。
待てよ一郎。
頼む帰らんでくれ。
あんなお高くとまった金持ち。
君だって似たようなもんじゃないか。
政治家一家にずーっと育っておいて。
叔父さん僕はしがない大学の准教授です。
大体あんなテロで狙われるような人のエスコートなんて…。
あれは単なる爆竹花火じゃないか。
爆弾ならまだしも。
爆弾だったら死んでますよ!あっ君の大学の学長なあれ私の同期だ。
圧力かける気ですか?君は英語も話せるし日本の歴史にも詳しい。
まずは背が高くていいな。
背は関係ないでしょ。
それより何より女に興味がない。
いいね。
スキャンダルだけは困るからな。
あり得ませんよスキャンダルなんて。
だから君なんだよ。
絶対やりませんよ!学長には連絡しておくよ。
叔父さん!
(携帯電話)
(携帯電話)
(携帯電話)ふ〜ん…。
(山下)本日のご予定は京流東流新流三大流派の家元のお宅を訪問します。
フッ…エスコートおはよう。
(山下)大臣から伺ってます。
お願いします。
乗ってください。
(呼び出し音)
(西川)フフフ…。
キャサリンさん我ら京流には長い歴史に裏打ちされた美があります。
それ故どんな場所にでも合う生け花をご提供出来ると思いますよ。
(西川)今は東流の東郷さんが華道界の会長をやっておられますがもうすぐ次の会長を決める選挙です。
我らと組んでいたほうが何かといいかもしれませんね。
(麗子)この辺りに色があるといいと思います。
はい。
はいどうぞ。
(西川)和彦久条君。
(西川)これがうちの愚息です。
あっそう愚息…。
一時は私の跡を継ぎたくないと言ったりこの久条に跡を継がせたほうがいいとか言って遊びほうけていたんですが最近になってようやく勉強する気になって。
(和彦)だって僕なんかより久条さんのほうが才能あるから。
そんなそんな…。
華道界の二大スター。
サンキュー。
小川麻衣子さんはともかく私なんて…。
(西川)小川麻衣子さんはうちではなくて東流ですな。
(麗子)そういえばキャサリンさんは友達だと麻衣子さんから聞きました。
ええ…。
えっ…ではまさか東流と組まれるおつもりですか?麻衣子とは友人ですが個人的繋がりとビジネスは分けて考えています。
(西川)そりゃよかった。
あっではどうぞ。
お近くでご覧ください。
ありがとうございます。
(山下)次は東流の東郷流風さんのお宅へ伺います。
はいありがとう。
あっミスターエスコートその前にここに…。
えっ!?何か?スケジュールの変更各方面に連絡してください。
俺が?
(さやか)何か?
(ため息)ここが麻衣子さんのマンションです。
麻衣子!麻衣子!麻衣子!ごめんキャサリン…。

(蚊の飛ぶ音)
(東郷)我々東流は新しいものを取り入れる自由な気風があります。
その辺りきっとアメリカの皆様にも気に入って頂けると思います。
そうだ。
今やり方をお教えしましょう。
どうですか?習っていきませんか?いえ…。
あの…習うのは小川麻衣子さんにと思っています。
小川麻衣子…うちの?それではうちを選んで頂けるという事ですか?おい。
あっすみませんつい…。
(東郷)小川麻衣子は…あれは駄目です。
なんていうか周りにちやほやされて勘違いしているようなのでね…。
二大スターだかなんだか知りませんが私に言わせればあんなものは華道じゃない。
約束したんです。
麻衣子さんに習うって。
でも様子がおかしい。
何かあったんでしょうか?
(東郷)さあ…。
門下生は100万人以上いますのでいちいち把握出来てませんな。
どうぞよろしくお願い致します。
麻衣子さんは今の華道界のあり方に反発してるんだ。
高い月謝とか世襲制の家元とかそういうのを全て廃止すべきだって。
だから多分家元に嫌われてる。
書いてあんだよ…ね。
書いてありますね。
ええーっ!?
(パトカーのサイレン)ご苦労さまです。
(森本鑑識官)おう。
この缶コーヒーに毒物が入っていてそれを飲んだようだね。
毒物は青酸カリってとこかな…。
(鈴木)橋口さん被害者のものと思われます。
(橋口)小川麻衣子30歳。
(カメラのシャッター音)
(キャスター)「昨夜堀川通三条若蓮堂で殺害されたのは東流の華道家小川麻衣子さん30歳とみられ警察は殺人事件として捜査を進めています」「小川さんの遺体の周辺には所持品が残されており外傷がない事から死因はなんらか…」こうして平安京がこの範囲にあったという事がわかります。
では現在の地図と平安京の復元図を重ね合わせてみましょう。
このように平安京を中心軸として…。
(ドアの開く音)キャサリン!
(学生たちのざわめき)殺された?なんで…昨日会ったじゃない。
麻衣子に会いたい。
でも警察が中に入れてくれない。
どうして?司法解剖されます。
一郎ちゃんなんとかしたげおし!あっ…一郎ちゃんの叔父様は外務大臣で亡くならはったお父様は元京都府知事で私は元々お父様のお仕事を…。
峰子さん。
早う電話したげよし。

(森本)指紋の検出は被害者のものだけなんですがこのプルトップの部分からは出てません。
被害者は蓋の開いた状態でこの缶コーヒーを受け取り飲んだものと思われます。
顔見知りの犯行…。
(栗田捜査部長)動機は怨恨金痴情のもつれあらゆる線が考えられます。
被害者の身辺は徹底的に洗ってください。
(一同)はい。
(栗田)次薬物の出どこは?
(栗田)橋口さん。
(栗田)先週の日曜日にあった二条城の爆竹の事件あれどうなってますか?進展ありません。
(橋口)爆竹もお香もごく一般的なもので。
じゃあただのいたずらという事で処理してください。
いたずら?上からのプレッシャーがすごくて…。
あれが副大統領を狙ったテロだとしたら大問題です。
(女性警察官)橋口さん。
ご来客です。
誰?副大統領の娘さん。
「もしもし一郎君?」叔父さんの力でなんとかならないんですか?「キャサリンさんを麻衣子さんに会わせてあげられませんか?」いやいやそんな事よりキャサリンさんをすぐアメリカへ帰せというお達しがあった。
副大統領の娘が殺人事件に巻き込まれるなんていう話が広まってみろ国際問題だぞ。
「明日の飛行機を手配したからな必ず乗せてくれ」「わかったな?」あっ…。
(不通音)
(ノック)
(橋口)失礼します。
以上が捜査でわかった事です。
顔見知り…。
(橋口)しかしまさかガイシャが…小川麻衣子さんがキャサリンさんと知り合いだったなんて。
会えますか?会えないんですか?
(栗田)それより我々京都府警が責任を持ってホテルから空港まで護衛致します。
(栗田)明日の便でしたよね?えっあっいや…あの…。
キャサリン。
サンクス。
キャサリン!失礼します。
待って!待ってください!待って!ホワッツ?いやあの…。
何?あの…。
こちらだそうです麻衣子さんが亡くなったのは。
麻衣子と私はニューヨークで出会った。
(キャサリンの声)麻衣子は花を愛していた。
(キャサリンの声)そして何より人を愛していた。
(キャサリンの声)それからすぐに仲良くなって…。
(麻衣子)京都に来たらこれよ。
(ため息)ああーっ!幸せが逃げちゃうよ。
えっ?日本ではねよくそう言うの。
だからため息なんかつかないで。
ね!
(キャサリン・麻衣子)「心秘かな嬉し涙を」「流したりして」ワワワワ〜ン。
ハハハ!「人は」「人は」「かわいい」オウ!かわいい。
「かわいいものですね」ありがとうございます。
(麻衣子)キャサリン!麻衣子!よかった間に合った…。
ごめんね遅くなっちゃって。
サンキュー。
来てくれたんだねありがとう。
今度会った時は私が生け花を教えるね。
本当?うん。
約束。
「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ます」「指切った」何それ?約束のサイン。
ハハハ…子供みたいね。
元気でね。
けれど…今回私はビジネスのために日本に来た。
たくさんの人が私に近づいてくる。
花のためじゃない。
お金のため。
もしかして私のせいで麻衣子が…。
私が麻衣子に会おうとしたから…。
私が麻衣子の友達だから…。
違う。
君は悪くない。
ミスターエスコート。
連れてきてくれてありがとうございました。
どこに行くんです?人の命を奪うなんて許せない。
1人で何が出来るんです?僕はあなたのそばにいないと大学をクビになるんです。
だから…。
だから手伝わせてください。
僕はあなたのエスコート役ですから。
ありがとう…ミスター。
一郎です。
一郎。
華道界では結構有名なんでしょうかね?だろうな。
敵も多そうだが…。
敵ですか?
(橋口)うん…。
よいしょ…。
ああ…開きました。
橋口さん。
(橋口)おお…。
なんすか?これ。
なんだ?これは。

(読経)
(読経)ベルガモ…。
(読経)この度はなんと申し上げてよいやら…。
非常に残念です。
麻衣子さんの事あんなふうに言ってたのに家元自ら葬儀委員長とはね…。
うん…ポリティクス。
ポリティクス?政治?うん。
華道界の会長を決める選挙が近いから根回し。
ああ…なるほどね。
各流派の家元が集まってるもんな。
さすが政治家の娘さんは鋭い。
ああ…。
政治家の娘そう言われるのが一番嫌い。
ごめんなさい。
僕もそう言われるのずっと嫌だった。
親は親。
僕は僕。
きっとあなたもそうなんでしょうね。
お忙しい中を誠にありがとうございました。
(橋口)すみません。
(東郷)はい。
こういう者ですけど…。
(橋口)この小川麻衣子さんのインタビュー記事ですが今の華道界に対する辛辣な批判が書いてあります。
これじゃ門下生が減ってしまう。
それで邪魔になったんじゃないですか?それが葬儀でする質問ですかな?で?この件については故人とはきちんと話し合いをした。
いつですか?10日ほど前だ。
どんな話し合いをしたんですかね?平行線だった。
それで結局彼女は東流をやめる事になったんだ。
(鈴木)やめる?なぜです?うちとは作風が合わなかったんだ。
彼女はとても前衛的だったからね。
(鈴木)引き留めはしなかったんですか?うちは自由な気風なんでね。
自由ねえ…。
ん?
(悠子)あなた。
もういいかな。
ありゃ相当なタヌキですね…。
タヌキに失礼だろ。
(橋口)あっ…。
まだ日本にいたのかよ。
ああ一郎君。
キャサリンさんまだ京都にいるらしいじゃないか。
ええ?あー…あと少し滞在を延ばしたいそうです。
「駄目だ」「副大統領から電話があってなすぐ帰って…」もしもし?あっ…。
何?すいませんよく聞こえないんですが。
もしもし?叔父さん?「一郎君!一…」切りやがった。
(ため息)ちょっと見て頂きたいものがあるんですがね…。
なんですか?これは。
え?小川麻衣子さんの部屋にあったカレンダーです。
この数字…暗号ですか?
(橋口)いやこれは…だからその…。
タイム。
(橋口)ん?時間ね。
ん?16日は20時。
(橋口)小川麻衣子さんが亡くなった時刻だ。
って事はこれは誰かと待ち合わせか何かをしていてその時刻を表わしてるっていう事でしょうか。
ええ…?その可能性高いな。
誰とですか?小川麻衣子さんがお二人の前から乗ったというタクシー。
その運転手に話聞いてあるんです。
(橋口)小川麻衣子さんはずっとメイクやら髪形を気にしていたそうです。
デート…。
携帯履歴も洗ってみましたがそれらしき人物は浮かんできませんでした。
キャサリンさん何かご存じないですか?9日が14時。
爆竹ね。
(爆竹の音)二条城!そうです!2つの事件は何か関係があるんですか?その前の2日は19時。
何か事件が?調べてみましたが2日はそれに関連するような事件も事故もありませんでした。
麻衣子は何も盗まれてない。
え?ニュースでそう言ってました。
ああ…。
犯人は現金カード持ち物全てを残していきました。
免許証は?残ってました。
犯人は生け花の人ね。
何?華道界の人間?どうして?普通犯人は死体の身元がわからないように免許証を盗んでいく。
時間稼ぎね。
うん。
でもこの犯人は置いていった。
麻衣子だとすぐわかると思った。
麻衣子は有名だから。
確かに…。
有名人なんかを殺してもすぐに誰だか身元がわかってしまうから免許証を盗んでも意味がない。
でも小川麻衣子さんはそこまで有名じゃないよ。
僕は知らなかったし。
そこ。
犯人は麻衣子を有名人だと思っていた。
だから免許証を置いていった。
彼女を有名人だと思っているのは華道界の人間だ。
だから犯人は…華道界の人間か。
あの中に犯人がいると思う。

(女性の悲鳴)煙だ!煙だ!
(男性)燃えてる!
(女性)燃えてる!
(鈴木)部長。
(栗田)どうしました?四条堀川のボヤ騒ぎのあった現場からお香が見つかりました。
見てください。
9日は二条城の爆竹騒ぎ。
16日は若蓮堂の殺人。
そして今日のボヤ騒ぎ。
二条から始まり三条若蓮堂四条堀川のボヤ…。
(峰子)堀川通?ええ。
二条三条四条。
全て堀川通で行われてます。
しかも毎週日曜日に。
なるほど。
これは同一犯の可能性があります。
同一犯?だから次の日曜日は五条堀川。
何がある?えっとこの辺の名所旧跡は…。
あっ!西川鳳先生のお宅。
確か五条堀川。
京流家元!
(峰子)うんうん。
昔ね一郎ちゃんのお父様がお茶会によう呼ばれてはったの。
次の日曜日何かありますか?それはあれやわ華道界の会長を選ぶ選挙。
西川先生のお宅で。
それか!選挙…。
華道界の人間が集まる。
犯人は華道界の人間。
一郎ちゃんそれは行かなあかんわ。
選挙ですよ?中に入れませんよ。
ちょっと…この子誰やと思ってはんの?この人を入れへん華道家なんか誰もいはらしまへんえ。
誰に決まるかね…。
会長になったらどの流派も会員がどっと増えて収益の桁が1つ上がるらしい。
またお金…。
誰も花を愛してない。
(麗子)すみません。
(麗子)今年の全国華道大会のポスターが出来上がりましたので。
(悠子)まあ…。
わあ…きれいね。
よかったそう言って頂けて。
皆様決まりました。
今日のお昼は何かしら?園の吉月のお弁当をご用意しております。
まあ素敵。
なぜだ…!ただ今日本華道協会の会長の任を預かりました西川鳳でございます。
これからの3年間精一杯務めさせて頂きます。
何とぞよろしくお願い申し上げます。
副会長には新流の山野華子さんを指名したいと思います。
計ったな!フフフ…。
あなた!
(華子)さてようやくお昼を頂けますわ。
(西川)和彦久条君。
(華子)午後からは華道大会について話し合いますのでぜひご参加ください。
(北川秀円)ほな私らは。
ハッハッハッハッ…。
茶番だ!
(悠子)ああ…あなた!そして誰もいなくなった…。
西川先生が…。
京流の家元が…亡くなりました。
(東郷)中で久条麗子さんが見張ってる。
あなた…本当に亡くなられたの?
(華子)お弁当とお茶の用意をお手伝いしようと台所に行ったら誰もいなくて…。
そしたら西川先生が見当たらないって。
それでみんなで探してたんです。
見つけたのは誰?私と東郷先生と麗子さんです。
家の中は全部見たんです。
でも茶室にはいないはずだと思ったんで最後になって。
そしたら…。
西川さん!鍵がかかってる。
鍵?ああ。
鍵は中からしか開きません。
じゃあ…。
こじ開けるぞ。
先生…。
先生!触るな!死んでる。
あなたはそのままここを見張ってて。
私警察呼んでくる。
一郎。
ん?中から鍵…。
密室だ。
(パトカーのサイレン)
(鈴木)自殺ですかね?どうかな…。
他殺の可能性もあるがな。
堀川通の事件と同一犯だとすればここにいる全員が容疑者だ。
会長選は仕切り直しだ。
いいね?はい。
お好きにどうぞ。
どういう意味だ?
(華子)あんたも絞られたの?はい…。
皆様今お茶をいれますね。
(華子)いいよそんなの。
ここん家はこれから大変になるんだから。
(伊吹信彦)麗子さん!大丈夫ですか?伊吹さん。
どうして?西川先生の事を聞いて飛んできたんです。
先生は?警察が運んでっちゃったわよ。
そうですか…。
伊吹ギャラリーの伊吹さんです。
よく展覧会でお世話になっていまして。
知ってるわよ。
へえ〜…。
(風鈴の音)失礼します。
とんでもない事に巻き込んでしまって…。
すみません。
謝らないでください。
誰が…。
西川和彦さんお話伺いたいんですが…。
この方は今お父様を亡くされたのですよ。
申し訳ありません。
皆さんにお話を伺ってるもので。
浜口さんこの人を早くアメリカへ。
(橋口)すいません。
(風鈴の音)
(風鈴の音)密室…。
でもふすまって簡単に外れるんでしょ?あっでも中から鍵がかけられていたから…。
ねえどこかに茶室ない?あなたの部屋ふすまある?キャサリン…もうアメリカに帰りませんか?知人が2人も殺されてるんです。
いつあなたに危険が及ぶかわからない。
だから…。
こういうのはどう?麗子と家元と華子は共犯。
3人で殺して口裏を合わせた。
もうやめましょう!あとは警察に任せましょう。
麻衣子さんだってこんな事は望んでないはずだ。
じゃあ何を望んでる?麻衣子はどうしてほしいの?あなたに何がわかるの?女ってどうして男の優しさわかんねえかな…。
(さやか)男って本当ダサいわ。
(森本)死因は青酸カリによる窒息死です。
この青酸カリは不純物の分析の結果三条若蓮堂で小川麻衣子を殺害したものと一致しました。
間違いなく同一犯です。
現場にいたのはこれだけです。
一気に容疑者が絞れました。
徹底マークです。
(一同)はい!橋口さん。
この2人なんとかしてください。
はい。
(峰子)二条三条四条五条…。
次は六条やね。
六条堀川いうたら…六条朱雀寺!六条朱雀寺やねえ。
もう…。
何があったか知りませんけど外国から来た女の子を1人危険なところへ行かすのは日本男児としてどうかと思いますけどね!SPがついてます。
もう…そういう問題やないでしょう。
一郎ちゃんのお父様はお母様をよう守ってはった。
ちっちゃい時の一郎ちゃんかて…。
(メッセージの受信音)お母様の事をよう…。
どこ行きはるの〜?学食行ってきます!日曜日は学食お休みですけど…。
遅い!ごめん。
あの…この前はちょっと言いすぎたかな…。
いやいや…早う行きまひょ。
気にしてないみたいだな。
早う行きまひょ!行きまひょ!今のところ異状なしです。
随分と日本を気に入って頂いたご様子で。
ここは我々に任せてください。
(女性の悲鳴)下がって!
(女性の悲鳴)
(山下)下がって!
(鈴木)本堂だ!
(鈴木)下がって!危ないから下がってください!花火。
(鈴木)花火?犯人に完全になめられてる!今のところ目撃者はまだ見つかっておりません。
はい。
模倣犯かな?同一犯。
(鈴木)橋口さん。
今鑑識が現場に向かってますので現場検証が終わり次第また連絡…。
橋口さん集合!うん…。
京流東流新流。
華道にはいろんな流派があります。
でも基本は1つ。
全部やり方は同じです。
基本は大きな花が3つ。
そしてその間に小さな花。
という事は…この小さな花が二条城で起きた爆竹事件。
でその隣の大きな花が三条で起きた麻衣子さんの殺害事件。
でその隣は…。
四条堀川のボヤ。
でこの後ろの大きなのが五条。
茶室の密室殺人。
じゃあこれがさっきの六条朱雀寺…。
華道界の人間が生け花に見立ててこの事件を起こした。
だから同一犯か?そう。
茶室の密室トリックがわかれば誰が犯人かわかる。
はい。
でもなんで堀川通なんでしょう?そこにこだわる理由がわかりません。
一条二条っていうのは京都では東西の通りの名前です。
南北の通りは堀川通だけではありません。
確かに…。
何か堀川通にこだわりがあるとしか思えんな…。
堀川通は平安京の頃からあります。
通りの下には堀川という川が流れていてかつては京友禅の洗い場に使われていました。
一時はこう市電も通ったりしてて。
確か浜口さん地図がご専門ですよね?はい。
平安時代の京都を再現する研究をしています。
う〜ん…役に立たんなあ。
(橋口)ところで次の大きな花は?この隣の小さな花が六条だとしたらこれは七条でしょうね!うん…。
次の殺人…。
七条堀川巡回警らを強化します。
絶対…絶対に防ぎましょう。
(風鈴の音)自分でやりますから。
失礼しました。
何もなかった…。
警察の人も何も見つけられなかったって。
まあ…まだでも土曜日だし。
でも明日の日曜日七条堀川で殺人がある。
何か仕掛けをするはず。
明日も朝から見回ろう。
麻衣子さんのために。
う〜ん…。
それと茶室の密室の謎を解かなきゃな…。
フン!ん?帰れって言わない。
もう言いませんよ。
(2人の笑い声)ねえあなたの大学ちゃし…ちゃ…。
茶室?茶室がある?あああるよ。
借りたい。
うん。
聞いてみる。
ありがとう!
(店主)はいお待ち!うわっおいしい!ノー。
まだ食べてないから「おいしそう」。
はい。
わかりました。
じゃあいただきます。
どう?山下さんさやかさん食べる?交代でどうかな?駄目です!命令です。
やったー!お〜来た来た来た来た。
いらっしゃ〜い。
これどうぞ召し上がれ。
一郎さんすいません。
詰めて頂いてもよろしいですか?はいはい。
よいしょ。
お酒いっとく?遠慮しておきます。
一郎は?うん…僕ももう今日はもういいや。
いっとこ?うん。
はい。
おっとっとっと…。
それはお酒をつぐ時につがれるほうが言う言葉。
そう?そう。
はい。
おっとっとっと…。
そうそうそうそう。
フフフ。
おっとっとっと…。
さやかさんほら。
ああ…。
(3人)おっとっとっと…。
じゃあ乾杯!
(さやか・一郎)乾杯!
(電話)
(松井)はい東流華風殿です。
え?家元?家元ですか!誘拐!?わかりました。
すぐ伺います。
大丈夫です。
警察だとわからないようにしますから。
東郷流風が誘拐された。
(一同)えっ!?家元から直接電話がかかってきたんですか?
(松井)ええ。
知らない番号でした。
電話に出ると家元の声で「誘拐された。
とにかく言う事を聞いてくれ」。
「警察には言うな」と。
よく通報してくれました。
ありがとうございます。
犯人から何か要求は?土曜日だから大丈夫ですよね?何かの間違いですよね?これまでの事件は全て日曜日に起きてるって新聞で読みました。
ですから…。
奥様。
(クラクション)なんだようるせえな…。
おい…待てよお前こら!おい!痛ぇ…。
ハッ!血…血だ!おい!やばい血だよ!明らかに人の血液ですね。
田村刑事!ありました。
これがここに止まってたキャンピングカーです。
ばっちりナンバーも写ってます。
(田村)よっしゃ。
各検問所に連絡や。
はい。
これ。
何か字が書いてあります。
(田村)東流?橋口さん!ああ。
(橋口)和歌山県警から画像が送られてきました。
これに見覚えは?あ…主人の…。
(松井)奥様!奥様!しっかり…。
奥様!おい!こちら京都府警068より本部へ!捜索者らしき人物が血を流して倒れております。
至急応援願います!
(栗田)殺害現場は和歌山県白浜のキャンプ場と推測されます。
京都ナンバーの車には盗難届が出されていました。
これ以上なめられては困ります。
全力で犯人を逮捕してください。
(一同)はい!いくぞ。
(橋口)被害者の東郷流風さんは相当金遣いが荒かったようです。
それに女遊びも。
金と女…。
その事は奥さん知ってたんでしょうか?その可能性は高いですね。
とにかく方々で恨みを買っているんです。
いつ?ああ…死亡推定時刻ですね。
土曜日の午後8時と推定しています。
全員アリバイがある?
(橋口)被害者の妻悠子久条麗子西川和彦山野華子全員京都にいました。
殺害現場は和歌山です。
往復するのに4時間はかかる。
犯人が和歌山を出発してからすぐに検問をしたのに何も引っかからなかった。
なのに遺体は京都で発見された。
どうやって移動したのか…謎です。
どうしてこの3人が…。
(橋口)わかりません。
この3人が亡くなる事によって誰が得をするのか今のところ手掛かりはありません。
一郎行くよ。
どこへ?おもちゃ屋さん?なんで?あの…!何かわかりましたら連絡差し上げます。
私だってあなた方と同じ気持ちです。
事件が起こるとわかっていながら防げなかった。
こんな連続殺人絶対に許せません!ああ…!一郎お願い。
コーヒー飲みすぎだよ。
なんか他のもの買ってくる。

(電話)誰?こんな夜中に…。
私出る。
はいもしもし。
キャサリンさん報告があります。
見つかったのね。
(橋口)「え?」もう1台車が見つかったんでしょ?ああ…はい。
でもどうして?解けました…。
殺害現場は和歌山じゃない。
京都よ。
どういう事ですか?「あとで」
(電話の切れる音)あっ…。
(峰子)何がわかったん?どうなん?キャンピングカーは2台あった。
犯人はこのキャンピングカーを盗みキャンプ場に向かった。
そして電車で京都に帰った。
そしてもう一つ同じキャンピングカーをレンタルしてキャンプ場に向かう。
それでこれをこうしてこうして…。
入れ替えてほんで?こっちだけキャンプ場に残してこっちは京都に戻る。
そして被害者をこの中で殺害。
これをまた切り離してこの車にブローチと血液を載せてキャンプ場に戻る。
戻ったら残った車をキャンプ場の近くに乗り捨てる。
そして…出発。
これは検問に引っかかっても中身は空っぽ。
わかった!ほんでこの車で京都に戻ってこっちと繋いで七条堀川に来て切り離す。
でこの車をレンタカーに返した。
そしてこの盗難車がさっき見つかった。
ワ〜オ!ちゅう事はあれや。
殺害現場は和歌山やのうて京都。
土曜日に京都にいた人物が犯人っちゅう事や!東郷さんのご遺体はずっと京都やった。
そう。
あなたは名探偵ね。
あなたこそ名探偵キャサリン!そうか…そういう事か!ありがとう。
あなたのおかげで謎が1つ解けた。
いや俺は何も…。
あと少しね…。
麻衣子待ってて。
キャサリン。
ん?飲む?えっ!?ちょっと早いかな〜。
やれるだけの事はやったよ。
あとは警察に任せてもいいんじゃないか?まだやらなきゃいけない事がある。
え?和彦さんに会いたい。
会ってどうするの?確認したい事がある。
何を確認するの?会ってみないとわからない。
キャサリン…。
3人も殺されてるんだ。
もう帰国したほうがいい。
まだ帰れない。
俺たちがどれだけあなたの事を心配してるか…。
どれだけ…どれだけあなたは周りを巻き込む気なんだ?どれだけ周りが見えていないんだ?どんなに気を使って…どんなに…。
そうね…。
確かに…そうね。
でもごめんなさい。
これだけはどうしても確認したいの。
どうして?事情聴取です。
あ…逮捕じゃない。
でも多分取り調べを受ける事になるだろう。
取り調べ?なぜ?連続殺人事件の重要参考人なんです。
違う!和彦さんは犯人じゃない!四条堀川でボヤがあった時刻あの場所で野次馬が撮った写真に彼が写っていた。
乗って!嫌だよ。
愚息乗って!
(橋口)追え!
(鈴木)は…はい!免許持ってますか?当たり前や!いい加減にしてくれよー!
(ため息)いつもこんな感じですか?たまにね。
あなたは犯人じゃない。
なんでそう思うんですか?ベルガモ。
あの花は麻衣子の好きな花。
(英語)ベルガモ。
イエス。
ベリーグッド!それだけ?十分です。
(ノック)ちょっとあんた早う車出してえな!邪魔や。
すいません。
すいません。
こっち。
ここならゆっくり話せます。
今日昼からイベントだからそれまではゆっくりしていっていいよ。
ありがとう。
はい。
ありがとう。
はい。
ああ…ありがとう。
最近までここでよく演奏していたんです。
家元を継げって親がうるさくて…。
その反発もあってミュージシャンを目指してました。
まあもうやめてしまいましたが…。
麻衣子もよく聴きに来てくれました。
そう…。
あなたの事はよく麻衣子から聞いていました。
彼女と僕は付き合っていましたから。
禁断の恋?フフ…。
ベルガモの花言葉です。
僕は京流家元の息子。
麻衣子は東流のトップスター。
まさに禁断の恋でした。
もし会っている事がバレたら引き裂かれるのは目に見えていた。
それで…彼女は東流をやめる事を決めたんです。
でもまだやめる手続きの途中でしたのであなたに会うと東流として会わなければいけなくなる。
それで…。
連絡がつかなかった。
彼女もあなたに会いたがっていました。
僕は…早く2人の仲を公表したかった。
いつも隠れるようにデートしていましたから。
あっ…毎週日曜日は必ず会う事に決めていてこうやってあらかじめ待ち合わせの場所を決めていたんです。
(和彦の声)メールでやり取りするよりこのほうがスリルあるねって盛り上がったんです。
電話もわざとしないで約束の場所に行くと彼女がいる。
なんだか胸がときめきました。
あっちょっと…。
これは全て堀川通沿いにあるんです。
8月のデートは2日一条戻橋9日二条城それから16日三条若蓮堂…。
(和彦)23日四条堀川30日五条の西川邸9月6日六条朱雀寺13日七条堀川。
全部事件の場所ね。
(和彦)20日八条京都駅27日九条東寺。
犯人は恐らくこの私たちのデートプランを知っていた人間です。
誰?僕の持ち物を盗み見る事が出来るのは麗子さんでしょうか。
うん…。
東流の人たちも麻衣子のメモを見た可能性がある。
新流の山野華子さんは?
(和彦)確かに家元2人が亡くなって一番得するのは彼女です。
みんな可能性がある。
でも犯人はなんのために僕たちのデートプランどおりに事件を起こす必要があるんでしょう?それがわからないんです。
ああ…。
ほらなんだっけ…。
ああちょっと待って。
あっ!これ。
「自己顕示欲」なるほど…。
そういえば麻衣子とこの計画を変えようって話をしていたんです。
でもそんな矢先にああなって…。
計画を変える?八条の京都駅を三十三間堂に九条の東寺を清水寺にしようって。
どうして?あっ…それらを繋げるとこういう形になるんです。
L?ラブの…。
ラブ…。
あっ…だから麻衣子が亡くなったあともデートの場所に行った。
はい。
それで四条堀川で目撃されてしまいました。
じゃあ…。
トゥーラブ。
ラブ。

(ピアノ)
(荒い息遣い)はあちきしょう…。
あれ?
(ピアノ)
(ピアノ)「愛燦々とこの身に降って」「心秘そかな嬉し涙を」「流したりして」橋口さんちょっと…。
「人はかわいいかわいいものですね」「ああ過去達は優しく睫毛に憩う」「人生って不思議なものですね」
(ピアノ)
(ピアノ)キャサリン今朝はごめん。
ん…?何が?和彦さんロマンチックね。
麻衣子愛されていたとても。
あっ『ロミオとジュリエット』みたい。
一郎は?えっ?愛する人いるの?いや…君は?ああ…。
私が愛しているのは…。
ジェームス。
ニューヨークで待ってる。
さっ次は茶室の謎を解かないと。
淡い恋。

(刺す音)
(女性たちの悲鳴)開けるよ。
アートギャラリーの伊吹さんが殺された。
それも京都駅の前でだ。
京都駅は堀川通の八条にある。
つまり犯人は和彦さんと麻衣子さんのデートプランがLの形に変更になった事を知らないんだ。
あっ犯人はミスを犯した。
えっ?どういう事?生け花の大きな花は3本。
これは4人目の殺人。
つまり余計な殺人。
という事は今回の殺人は計画的なものではなくて口封じか何かのために殺さざるを得なかった。
行こう警察に。
いやこのトリックを解くまで邪魔しないで。
今日はチームに分かれるぞ。
(一同)はい。
メインチームは堀川通を真っすぐ下った九条にある東寺。
(橋口)サブチームは西川和彦さんのデートプランどおりL字に回った場合を考えて清水寺。
いいか今日こそは絶対に犯人確保するぞ!
(一同)はい!
(ドアの開く音)
(鈴木)橋口さん!おう。
見てください。
京都駅前の監視カメラの映像です。
(橋口)東郷悠子!?伊吹さんが刺されたのと同時刻です。
あの誘拐事件は妻の狂言だったのか!
(携帯電話)はいもしもし。
トリック解けた。
えっ本当に?で犯人誰?今から来てください。
刑事さんを連れて。
ああ…わかった。
あっ橋口さん!キャサリンが犯人わかったって。
東郷悠子だ。
ええっ!?君も一緒に行くか?はい!犯人東郷悠子なんだね?急いでください!はい!早く!まっ…待って…!
(不通音)外務省の者です。
キャサリンさんお父様がアメリカでお待ちです。
これ以上あなたがここにおられると日米関係にひびが入ります。
父に伝えてください。
これ以上邪魔をすると親子関係にひびが入ると。
さあ早く事件を解決してください。
ソーグッド。
サンキュー。
東郷悠子さん重要参考人として署までご同行願えますか?
(悠子)刑事さん先週の日曜日の朝郵便受けにこれが入ってました。
(橋口)「東郷流風さんを殺した犯人を知っています」「本日15時京都駅前に来られたし」わたくし行ってみたんです。
(悠子の声)そしたら…。
(女性たちの悲鳴)
(悠子の声)ギャラリーの伊吹さんが…。
誰だ?これを出したのは。
でもなんで京都駅なんだろう?え?ちょっといいですか?京都駅は八条にあります。
デートプランはL字をなぞるように変更になったので八条堀川は通りません。
変更になったのを知らなかっただけじゃないのか?あるいは知っていたとしても計画を変えられなかったか…。
犯人は堀川通を下がって七条で曲がらず京都駅のある八条九条と下がらざるを得なかった。
九条…。
あっ…!なんだよ?九条は地名じゃありません。
人の名前です。
久条麗子さんが危ない!あっあれ!消防を呼べ!消防!はい!キャサリン!何してるの!?麗子さんは?中にいるはず。
うっ…!開けてください。
あっ!くう…!一郎一郎…。
えっ?まさか…。
わかった。
麗子さん!麗子…!うっ…。
麗子さん!麗子さん!この人だったんだね。
(風鈴の音)始めてください。
はいじゃあ…。
犯人は西川さんに青酸カリ入りのお茶を飲ませて殺した。
んっ!うう…。
そしてふすまを閉めて…。
あなたはあの選挙の日ポスターを持っていた。
(麗子)華道大会のポスターが出来上がりましたので。
(キャサリンの声)そしてそのポスターの中には…。
この時点ではまだ密室は完成してません。
あなたはそのままここを見張ってて。
私警察呼んでくる。
その時に破れたままの裏側に紙を貼った。
この方法でしかこの密室は作れません。
だとしたら犯人はあなた以外にあり得ません。
(女性警察官)ありました!大野屋という表具屋さんがこの茶室のふすまを取り替えたと証言しています。
まだ処分されずに残っていました。
あなたのおっしゃるとおりです。
なぜ?なぜ殺したんですか?西川さん東郷さん伊吹さん…麻衣子。
なぜ!?私の母は東郷流風にもてあそばれ捨てられました。
私は東郷流風の娘です。
(麗子の声)その頃私たちは札幌に住んでいました。
(岡友子)こんなもの受け取れません。
そんなつもりじゃないんです!
(すすり泣き)先生私待ってますから!
(麗子の声)母は東郷が戻ってきてくれる事を期待しながら自殺を図りました。
(麗子)お母さん!?お母さん!お母さん!ねえお母さん!ねえお母さん!
(女性)どうしたの?あなたあなた!ねえお母さん!ねえ!私は東郷に復讐を誓いました。
そのために華道界に入ったんです。
天と器の調和がとれてますね。
(麗子の声)厳しい世界でした。
京流の家元の家に住み込みで働きながら中学を卒業させて頂きました。
でも家元から花を教わる事はありませんでした。
(麗子の声)それでも私は必死で花を勉強しました。
いつか東流の東郷を見返してやりたい。
京流を大きくして東流を潰してやる。
そう思っていました。

(ギター)親父がうるさくてさ。
(麗子の声)そんな時家元の息子さんである和彦さんだけが私に優しくしてくれました。
(麗子の声)気がつけば私は和彦さんの事ばかり考えるようになっていました。
「はかない恋だと」
(麗子の声)花以外になんにもしてこなかった私はずっと一途に和彦さんの事だけを思い続けていました。
そして和彦さんも私の事を思ってくれているそう確信していました。

(ギター)
(麗子の声)いつか私たちは結婚する。
そうすれば私が家元を継いで彼には好きな音楽を続けてもらいたい。
そんな夢を抱いていました。
ところが…。
(一同)アンコールアンコール…。
(麗子の声)和彦さんはいつの間にか麻衣子さんと恋仲になっていました。
私は絶望しました。
このままでは和彦さんを取られてしまう。
京流内で確固たる地位を得ない事には肝心の東郷への復讐が果たせない。
なんとかしなければ。
そう思った私は家元に取り入ったのです。
なのにあの時…。
(麗子の声)私の人生が終わった瞬間でした。
(麗子の声)死のうと思いました。
けれど私だけ死ぬのは馬鹿馬鹿しいと思ったんです。
だって私の人生なんにもいい事がなかったんですもの。
だからみんな死ねばいいと思ったんです。
和彦さんを奪った小川麻衣子。
私をもてあそんだ西川鳳。
私たち親子をこんな目に遭わせた東郷流風。
二条から始めました。
私にとっては打ち上げ花火のようなもの。
(麗子の声)副大統領が来てくれたおかげで予想以上に盛り上がりました。
和彦さんと麻衣子がいつ会うかはわかっていました。
私は先回りして彼女に毒入りの缶コーヒーを飲ませました。
(麗子の声)彼女私に早く帰ってほしくて一気に飲み干していました。

(麗子の声)四条堀川に和彦さんが現れた時はなんだかとっても哀れに見えました。
だってもう待ち合わせしても麻衣子さんは来ないんですもの。
うまくいったな選挙。
東郷先生が怒鳴り散らしながら探しております。
しばらくここでお隠れください。
ううっ…!
(橋口)五条の西川鳳を殺したあと六条朱雀寺での騒ぎを起こしたのもあなただ。
まるで生け花の花と同じように大きな事件と小さな事件を交互に。
まるで華道界への復讐。
そして3つ目の大きな花が東郷流風。
(麗子)伊吹は私の恋人ではありません。
向こうが一方的に私に惚れてたんです。
私はそれを利用しました。
(東郷)うわーっ!うっやめ…やめ…。
(麗子の声)この日は母の月命日でした。
母が死んだのと同じ七条という地名であの男を殺せるなんて。
それもあって和彦さんのデート計画のとおりに事を進めていったんです。
そして東郷の血とブローチを…。
(橋口)アリバイ作りのためにわざと写真に写る場所に車を止めたんだな。
(麗子)でも怖くなったんでしょうね。
私の事をバラすと脅してきたものですから…。

(刺す音)うっ…!
(伊吹)麗子さん…。
これが4つ目の花となってしまいました。
このせいであなたは私と気づいたんですよね。
最初から全て覚悟していました。
死なせてほしかった。
勝手な事言わないでください!彼女は親友を殺されたんですあなたに。
その苦しみわかりますか?あなたは和彦さんを殺さなかった。
(風鈴の音)それはあなたの中にまだ和彦さんへの愛情があるからだったんじゃないんですか?愛する人を奪われた苦しみあなたにもわかりますよね?和彦さんは禁断の恋を貫こうとしていた。
貫いて世間に認めさせようと努力していた。
でもあなたは禁断の恋を憎しみに変えた。
お母様の事は本当におつらかった事でしょう。
でもだからといって誰かにとって大事な人を奪っていい理由なんて絶対にない。
そうかもしれませんね。
でも私にはもうすべき事は何もないんです。
死なせてほしかった。
ノー!ノー!ノー!あなたは生きて罪を償いなさい。
それがあなたのすべき事。
日本と日本が生んだ生け花を嫌いにならないでください。

(記者)「この度は長いご滞在いかがでしたか?」「楽しかったとは言えませんがこの国がもっと好きになりました」
(記者)「そうですか。
それはどうもありがとうございます」一郎ちゃん。
キャサリンさんアメリカ帰らはるみたいやね。
(記者)「アメリカに帰られたらまずどなたに会いたいですか?」「ジェームスです」
(記者)「ジェームスさん。
恋人ですか?」「ああフフ…。
カメです」一郎!ゴー…!
(記者たち)キャサリンさーん!何かひと言お願いします!ひと言頂けますか?長い間ありがとうございました。
うわっ英語上手ね。
これ機内で召し上がってください。
ああっ生八ツ橋?おお〜ありがとう!何事もなくてよかった。
キャサリン!
(記者)調べろ調べろ!早く電話電話!ありがとうミスターエスコート。

(英語)もう一郎ちゃんったら。
マスコミの前でなんて事をしてくれたんだ。
私も予想外な出来事でして。
あっでも全て叔父さんのせいですからね。
ん?私言ったじゃないですか。
エスコートなんてしたくないって。
嬉しそうな顔をして言うな。
でも国際問題にでも発展したらどうしましょう?馬鹿者。
2015/09/05(土) 21:00〜23:06
ABCテレビ1
ドラマスペシャル「名探偵キャサリン」[字]

あのシャーロット・ケイト・フォックスが民放初となるドラマ出演!!サスペンスの女王・山村美紗作品で京都を舞台とした本格ミステリーに初挑戦!!

詳細情報
◇番組内容
アメリカ副大統領の娘・キャサリン(シャーロット)は、ビジネスに華道を取り入れるため来日。外相(里見浩太朗)は甥の一郎(谷原章介)をエスコート役に。華道の魅力を教えてくれた麻衣子(笛木優子)との再会を楽しみにするキャサリン。しかし、連絡が取れないまま、麻衣子は殺されてしまう! 事件の真相を探りたいキャサリンは、一郎と共に警察顔負けの名探偵ぶりを発揮。事件の裏には、華道界の権力闘争が潜んでいた…。
◇出演者
シャーロット・ケイト・フォックス、谷原章介、尾上松也、高岡早紀、宇梶剛士、山村紅葉、濱田マリ、笛木優子、河相我聞、榎木孝明、藤田弓子、竜雷太、里見浩太朗
◇原作
山村美紗『花の棺』
◇脚本
岡本貴也
◇監督
唐木希浩
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】黒田徹也(テレビ朝日)
【プロデューサー】中込卓也(テレビ朝日)、黒川浩行(ユニオン映画)
◇おしらせ
☆番組HP
 http://www.tv-asahi.co.jp/catherine/

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32723(0x7FD3)
TransportStreamID:32723(0x7FD3)
ServiceID:2072(0x0818)
EventID:37462(0x9256)

カテゴリー: 未分類 | 投稿日: | 投稿者: