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 「新宿のホコ天にこんなに人が集まっているのを見たことありますか?」

 学生からなる団体「SEALDs」の中心メンバー奥田愛基さんは、伊勢丹新宿店前の歩行者天国を埋め尽くした人々に向かって、こう問いかけた。

 「8月30日の島根の(安保法案に反対する)デモの数、750人。超ヤバイっすよ。俺、島根の高校に行っていたけど、750人いっぺんに見たことない。そういうことが全国で起こっている」と語り、安保法案に反対する国民の声が、着実に日本各地に広がっていることを訴えた。

 「SEALDs」と「安全保障関連法案に反対する学者の会」が共同で、同法案に反対する抗議集会を、2015年の9月6日(日)に、買い物客でにぎわう東京・新宿で行なった。

 参加人数は主催者発表で1万2千人。伊勢丹新宿店の前の歩行者天国は、「憲法守れ」、「War is over if you want it」、「アベ政治を許さない」などのプラカードを掲げる人々で溢れかえり、その中には公明党の支持母体である創価学会の「三色旗」もはためいていた。プラカードを掲げた参加者の姿は、百貨店に挟まれた新宿通りの4車線に延々と続き、伊勢丹から150メートルほど先にあるビックロや紀伊国屋本店の店舗の前にも確認された。

 集会では、学生、学者、そして政界から計10名がスピーチを、そして1万2千人が共に安保法案反対のコールを行い、新宿の百貨店街に響き渡った。ステージに向かって左手に伊勢丹、右手に丸井のビルが、通りを埋め尽くした参加者を挟み込むようにしてそびえ立ち、まるでその空間自体がスピーカーとなり、集会の声がその中でずっしりと響いているようだった。その雰囲気は、過去にSEALDsが主催した人の流れの激しい渋谷でのデモや、広い空間が広がる国会前での抗議集会とも異なるものだった。

 「安全保障関連法案に反対する学者の会」の呼びかけ人である学習院大学教授の佐藤学氏によれば、学生と学者の会が、7月31日に第一弾の共同行動を砂防会館(東京・千代田区)で開催した際は、参加者4000人だったとのこと。それから一ヶ月余りで、同法案に反対の声をあげる人々が、格段に増えていることに手応えを示した。

 その上で、「私たちはこの歩行者天国をハイジャックしました。この力で安倍から日本を取り戻しましょう」とステージから呼びかけ、一週間後に再度抗議集会を開催すると述べた。

 また、安倍首相が4日、参議院平和安全法制特別委員会の審議中にもかかわらず、委員会には出席せず、大阪市でよみうりテレビのバラエティー番組2本(『情報ライブ ミヤネ屋』、『そこまで言って委員会NP』)に出演したことに触れ、「安倍首相は卑怯者です。国会で答弁が怖くなったら、国会を逃げ出して、テレビに逃げていったじゃないですか。私たちは逃げ出す総理はいりません!国会を棄てる総理はいりません!」と、厳しく断じた。

  • スピーチ 栗栖由喜さん(国際基督教大学4年)/永田和宏氏(京都大学名誉教授・京都産業大学教授、細胞生物学、歌人)/佐藤大さん(大学4年生)/廣渡清吾氏(東京大学名誉教授・専修大学教授、法学、日本学術会議前会長)/海部宣男氏(国立天文台名誉教授、天文学)/さくらさん(大学3年生)/浅倉むつ子氏(早稲田大学教授、法学)/蓮舫氏(参議院議員、民主党代表代行)/吉田忠智氏(参議院議員、社民党党首)/二見伸明氏(公明党元副委員長)/志位和夫氏(衆議院議員、日本共産党委員長)/奥田愛基さん(明治学院大学4年)/佐藤学氏(東京大学名誉教授・学習院大学教授、教育学)
  • タイトル 「安全保障関連法案に反対する学生と学者による共同街宣@新宿」
  • 日時 2015年9月6日(日)15:00~17:30
  • 場所 新宿伊勢丹前・歩行者天国(東京都新宿区)
  • 主催 SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)/安全保障関連法案に反対する学者の会詳細、PDF)
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「常識外の行動をして、立憲主義を踏みにじった総理の言葉をいったい誰が信用するのか」――蓮舫・民主党代表代行

 政界からは民主党代表代行の蓮舫氏、社民党党首の吉田忠智氏、元公明党副委員長の二見伸明氏、そして、日本共産党の志位和夫委員長がスピーチを行った。

 蓮舫氏は国会での審議を通して、この法案の欠陥が明らかになっているとして、「なんで自衛隊が地球の裏側まで行って、米軍の後方支援をして、核弾頭を運べるようにするんですか?劣化ウラン弾を運べるようにするんですか?クラスター爆弾を運べるようにするんですが?安倍総理は『常識的にそんなことするはずがない。そんなことわかるじゃないか』と言いました。しかし、常識外の行動をして、立憲主義を踏みにじった総理の言葉をいったい誰が信用するんでしょうか」と、安倍総理の姿勢を強く批判した。

 さらに続けて、「これらの法案が通ったら、自衛隊は防衛大臣が判断をすれば、地球のどこでも米軍の空母を、米軍のステルス戦闘機を、たったひとりの自衛官が守れるようになるという。撃たれたらどうするのか。魚雷が撃ち込まれたらどうするのか。現場の判断で撃ち返す、という。これを一般的には『戦争が始まること』というのではないのか。安倍総理は、『安全な場所でやるからだいじょうぶだ』と言う。世界のどこに、安全な場所だから武器や弾薬を守ってくださいという場所が、いったいどこにあるのでしょうか」と訴え、参加者から賛同の喝采を浴びた。

「私が、何百万という借金をしながら何を学んでいるのは、抑圧者の権力に抗い、それと戦う知性です」

 ステージに登壇した学生の一人、国際基督教大学4年の栗栖由喜さんはスピーチの中で、多額の借金をしながら大学に通っていることを告白しながら、その意義を次のように語った。

 「貸与の奨学金を受けながら大学へ通っています。私は高校の時から奨学金を貸与しながら学校へ通っているのですが、何百万という借金をしながら何を学んでいるのか、安倍さんに教えてやります。それは抑圧者の権力に抗い、それと戦う知性です」

 また、憲法や国民の声を全く無視し、法案の成立を急ぐ安倍政権を厳しく批判した。

 「国家の安全保障の問題はとても複雑で、理論は崩壊し、未熟な議論のままで決定できるようなそんな単純なことじゃない。

 この世の全ての富を手に入れても、死んでしまった誰一人の命も私たちは生き返らせることができない。『私が責任を取る』ということがどんなに無責任で残忍なことであるのか、安倍さんはしっかりと認識すべきです」

「公明党員は議員の胸ぐらを掴んで、『目を覚ませ』、『正気にかえれ』と言ってもらいたい」――元公明党副委員長・二見伸明氏

 元公明党副委員長の二見伸明氏は、自らを「公明党が『平和の党』、『福祉の党』として一定の存在感を持っていた頃の副委員長」だと紹介し、「結論から言いますと、この安保法案はぶっつぶす以外にありません」と、同法案に反対する立場を示した。

 その上で、「もしこの中に公明党の党員がいたならば聞いてもらいたい。今こそ私情を捨てて、立ち上がって、公明党の議員一人一人の胸ぐらを掴んで、『目を覚ませ』、『正気にかえれ』と言ってもらいたい」と述べ、党員が自ら行動を起こすことの重要性を訴えた。

 ステージからスピーチを行った二見氏の目にも、参加者が掲げた創価学会の「三色旗」が目に入っていたはずである。二見氏の力強い言葉は、公明党内部に新しい変化を生むきっかけとなるだろうか。
(IWJ・青木浩文)

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