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豊根村がチョウザメ養殖新手法 プラズマ技術応用へ

養殖を始めて3年。順調に育ったチョウザメを手にする熊谷仁志さん=豊根村下黒川で

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 キャビアの特産品化を目指しチョウザメの養殖プロジェクトに取り組んでいる豊根村は、プラズマ技術を応用した新しい養殖手法の実証実験を始める。事業費六千百五十万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を九月村議会に提案した。実験には名古屋大プラズマナノ工学研究センターが協力する。

 プロジェクトは二〇一二年、下黒川地区に住む熊谷仁志さん(55)の計画を支援する形で始まった。熊谷さんは村が創設した「起業家支援補助金」(年間五十万円)の交付を受けて稚魚や水槽を購入し、山から引いた沢水でチョウザメを養殖している。

 三年前、体長一〇センチ前後だった稚魚は、八〇センチ以上に成長し、千五百匹が元気に泳ぎ回る。

 村は今年一月、村内の飲食店や宿泊施設経営者、観光関係者らを招いてチョウザメの試食会を開催。刺し身やフライにして提供し、好評だった。

 養殖のめどが立ち、プロジェクトは次の段階へ進む。「プラズマ技術の応用で、水質浄化や魚の成長促進が可能になるとされる。この分野の研究ではトップレベルの名大に協力してもらい、研究を進める」と村地域振興課の青山幸一課長(48)。

 養殖池に備え付けるプラズマ生成装置の開発に加え、村内の養殖適地の調査や新豊根ダムを使った養殖の可否の検討、流通ルートの開拓などを視野に入れる。事業費は、国の地方創生緊急支援交付金を充てる予定。

 熊谷さんが養殖しているチョウザメは、あと五年で採卵が可能になる。「それまでに販路を確立して豊根ブランドのキャビアを売り出し、特産品化の先駆けにしたい」と青山課長は話す。

 (鈴木泰彦)

 <チョウザメ> 形はサメに似ているが、サメの仲間ではない。シーラカンスと同じ古代魚の残存種で、3億年前から地球上に存在するといわれる。海水、淡水の両方で生息し、魚肉や卵(キャビア)は古くから珍重されてきた。キャビアの採取には稚魚から育て7、8年を要する。

 

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