取材・撮影:綿井健陽
小泉純一郎政権当時、「イラク復興支援特別措置法」(イラク特措法)が成立しました(2003年7月)。それを受けて、03年12月から09年2月までの間、陸海空自衛隊がイラクやクウェート等に派遣されました。中でも、陸上自衛隊は06年7月にイラク南部・サマワから撤収するまでの間に、約5600人の自衛官が派遣されて、給水や道路補修などの活動を行っていました。
いま国会の安保法制審議では、自衛隊の任務や役割の拡大が定義・議論されています。しかし、これまでどんな活動を行ってきたのか、その検証が置き去りにされたまま、自衛隊の活動内容や位置付けが変えられようとしているように見えます。
07年4月20日(第一次安倍政権)に閣議決定された政府答弁書では、以下のような記述があります。
「(イラク)陸上自衛隊派遣当時、自己完結能力があり自ら身を守ることができる自衛隊以外に、現地において安全に活動を実施し得る主体はなかったと認識しており、このような現地の治安情勢等を踏まえれば、陸上自衛隊の活動は、十分な効果を挙げ、イラクの復興に大きく貢献したものと考えている。」
≪政府答弁書全文は以下参照≫http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumon_pdf_t.nsf/html/shitsumon/pdfT/b166172.pdf/$File/b166172.pdf
では、当時イラクに派遣された陸上自衛隊は、どんな活動を実際にしていたのか、当時サマワの人たちは陸上自衛隊に何を期待していたのか、陸上自衛隊の活動へのサマワの人たちの評価はどう変化したのか、そして、自衛隊のイラクでの活動は、本当に自衛隊でしかできない活動だったのか......それらを検証してみました。
ちなみに、イラクでの自衛隊活動の経費は、2007年4月と08年12月に発表された政府答弁書などによると、最終的に総額で900億円を超えています。その8割近く(約721億円)がサマワでの陸上自衛隊が使ったものでした。内訳は、自衛官への人件費等の必要経費が約482億円、武器車両購入費が93億円、装備品整備諸費は、147億円に上っています。人件費の中には、自衛官への手当(=1人1日あたり、最高2万4000円)も含まれています。
※この映像は、06年3月にマクザムから発売されたドキュメンタリー映画『Little Birds イラク戦火の家族たち』(撮影・監督:綿井健陽/2005年劇場公開)のDVD特典映像の一部です。※
http://www.maxam.jp/products/detail/7/
イラク南部サマワでの自衛隊の活動を、03年から05年にかけて、テレビ朝日系列「ニュースステーション」「報道ステーション」で、綿井健陽がリポートした映像を再編集して、一つにまとめました。映像中に出てくる字幕の数字や記録は、06年2月時点で判明したものであることをご了承ください。
※テレビ初放送!ぜひご覧ください。
BSスカパー(無料):2015年9月11日(金)深夜2時~(=12日午前2時~)
『Little Birds イラク 戦火の家族たち』(2005年公開)
http://www.bs-sptv.com/program/1467/
撮影・監督:綿井健陽/編集:安岡卓治/編集助手:辻井潔/企画協力:小西晴子/製作:安岡フィルムズ
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