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[東京 11日 ロイター] - 人民元相場をめぐり、中国がジレンマに遭遇している。人民元を買い支えれば国内の流動性を吸い上げ、デフレ経済を一段と悪化させるリスクを高める一方で、人民元安を容認すれば、借金まみれの民間部門の返済負担を重くする。
<中国経済の診断書と処方せん>
中国の楼継偉財政相は今月7日、「中国は過去に9―10%の成長を達成した。しかし、これは持続不可能で、潜在成長率も上回っていたため、過剰生産能力と在庫の大量増加を招いた」とし、過剰生産能力と在庫の調整には「今後数年を要する」との認識を示した。
中国が選んだ処方せんは、過剰設備の削減という政治的に困難な「供給圧縮」政策ではなく、財政拡大による国内需要のテコ入れと、人民元安による輸出拡大という「需要喚起」政策だ。
中国は8月11日から3日間で、人民元売買の基準となる対ドル為替レート「基準値」を4.6%余り引き下げた。しかし、市場実勢を尊重する政策は、予想以上の人民元安を招き、中国人民銀行(中央銀行)は価格維持のため、連日人民元買い/ドル売り介入を余儀なくされている。
<人民元買いのコスト>
8月末の中国の外貨準備高は3兆5573億ドル(約428兆6500億円)で、7月末と比べて939億ドル(約11兆3000億円)減少した。月間減少幅は過去最大。
人民銀行は8日、外貨準備高が大幅に減少した要因を「外国為替市場で操作を行ったため」と説明し、元買い/ドル売りの市場介入を認める異例の報道官談話を発表した。また、家計や企業の外貨選好が強まったことも、外貨準備の減少につながったと説明した。
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