コスプレイヤーさんをミラーレスカメラで撮影するのは失礼?
コスプレイヤーさんを撮影するにあたって、ミラーレスカメラを使うのは失礼であり御法度である―
そんな不文律があるようです。
このテーマに対して、実態はどうなっているのかを探るべく、メグスリノキ編集部では夏コミ(コミックマーケット C88)に参加したコスプレイヤーさんを対象にアンケート調査を実施しました。
アンケートは、先日開催された夏コミ(コミックマーケット88)のコスプレエリアにいらっしゃったコスプレイヤーさんを対象に実施しました。 聞いた中身は、ズバリ直球で「これより上のカメラで撮ってほしい」という境界線があるかないか。
調査結果レポート :【徹底調査】コスプレ撮影の「ミラーレスお断り」は本当なのか!? コスプレイヤー120人にきいてみた
数千人ともいわれるコスプレ参加者に対して、有効回答数120名ということで、統計学的に有意といえるかどうかが気になるところですが、回収率は90%を超えているのでアンケート調査として意味がある結果になっていると考えています。
(ご参考:『サンプル数や回答数よりも回収率が大事な理由――調査・リサーチ・統計の基礎その3』)
今回の調査結果からは、コスプレイベントにおいてミラーレス機でお断りされる可能性は極めて低い、という結論が出ています。
もちろん、コミケだけがコスプレイベントではないですし、スタジオ撮影では事情も異なるでしょう。
それでも、圧倒的な結果となりました。(詳しくは、上記調査結果をご覧ください)
では、何故「ミラーレスお断り」という言葉が登場したのでしょうか。
ミラーレスとは、そもそも何か
「ミラーレスお断り」が語られる際、「重要なのはボディよりもレンズ」「コンデジはどうなんだ」「最近はスマホでもキレイに撮れる」など様々な観点の意見が提示されます。
まず、ミラーレスとは何なのか、を改めて確認してみましょう。
ミラーレス一眼カメラ(ミラーレスいちがんカメラ)とはデジタルカメラの分類のひとつで、一眼レフカメラの光学式ファインダーの代わりに電子ビューファインダーや液晶ディスプレイを通じて像を確認する形式のレンズ交換式デジタルカメラの総称である。
ミラーレス一眼の呼称は、従来の一眼レフカメラと比較して、撮影用レンズの入射光を光学式ファインダーに導くための反射ミラーが存在しないことに由来する。ミラーレス式カメラ、ミラーレス機などとも称される。市場では画質・表現力が同等のデジタル一眼レフカメラとひとくくりに分類され、デジタル一眼カメラもしくはレンズ交換式カメラという表現を用いるメーカーや販売店、価格比較サイトも見られる。
Wikipediaの記述をまとめると、ミラーレス = デジタルの一眼レフカメラからファインダー部分につながる反射ミラーを取り除いたもの、ということになります。
コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)やスマホのカメラも反射ミラーがありませんが、一眼レフカメラと違ってレンズ交換が出来ないので、これらはミラーレスとは呼ばれません。
実際に市場に存在する機種から考えると、反射ミラーを持たず、レンズ交換が出来るデジタルカメラ = ミラーレス、と捉えて差し支えないでしょう。
つまり、一眼レフとミラーレスの違いは、構造的には反射ミラーとそれに紐付く光学式ファインダーがあるかないかの違いしかない、ということになります。
一眼レフが大きくて重たいのは、この反射ミラー周りの構造によるところが大きいようです。
反射ミラーがないと何が起きるのか?
「ミラーレスお断り」は反射ミラーがないからダメ、ということなのでしょうか?
反射ミラーがないとどんなコトが起きるのか、具体的に見てみましょう。
先ほど、一眼レフとミラーレスの間には、反射ミラーとファインダーしか違いがない、とまとめました。
しかし、反射ミラーが存在しないのはコンデジやスマホも同様です。
今、世の中で一般的に使われているほとんどのカメラは反射ミラーを持っておらず、一眼レフだけが反射ミラーを持っている、とも言えます。
(二眼レフとかもありますが、二眼レフでランチの写真を撮ってInstagramにアップするオシャンティー過ぎる人が一般的とはなかなか言えないので、ここでは置いておきましょう。)
つまり、反射ミラーがなくても、世の中のほとんどのカメラは何の問題も無く使われている、ということです。
では、反射ミラーは何のためにあるのか。つまり、一眼レフは何のために存在しているのか。
反射ミラーの役割を捉えることが重要になりそうです。
一眼レフで写真を撮る際、カメラマンがファインダーを覗くと、そこには反射ミラーを介した像が映っています。(正確には、反射ミラーの後にペンタプリズムと接眼レンズを介した像)
これに対して、ミラーレスをはじめとする大多数のデジタルカメラは、光学センサーが捉えた像を液晶画面で確認することが出来ます。
この構造的な違いは、以下の結果に繋がります。
- 一眼レフのファインダーに映る像 : 光学的に処理した像が映っているので、被写体そのものとカメラマンが見る像の間に時間的なズレがほとんど無い (被写体とカメラマンの間の距離÷光の速さ = 両者の時間的ズレ)
- 一眼レフ以外の大多数のデジタルカメラの液晶画面(電子ファインダー含む)に映る像 : センサーが捉えた光学情報をソフトウェアがレンダリング処理した後に液晶画面へ表示しているので、被写体そのものとカメラマンが見る像の間に時間的なズレがわずかに生じる (被写体とカメラマンの間の距離÷光の速さ + センサーから処理プロセッサへのメモリ読出し時間 + ソフトウェアのレンダリング時間 = 両者の時間的ズレ)
ミラーレスは一眼レフに比べると、ファンインダーに映る像が僅かに遅れる、ということです。
確かに、カメラマンが「今だっ!!」と思ってシャッターを切っても、それが遅れているのだとするとシャッターチャンスを逃してしまいそうです。
しかし、カメラメーカー各社がその遅れを放置しているわけもなく、筆者が愛用しているミラーレス機「FUJIFILM X-E2」ではファインダー表示までの時間は、たったの0.005秒となっています。
音楽に置き換えれば、BPM120の楽曲で32分音符1つが0.0625秒ですので、そのさらに10分の1以下のズレです。320分音符というものが存在すれば、それ1つ分ですが、演奏不可能な細かさですよね。
それくらいのズレしか存在しないのであれば、シャッターチャンスを逃す、というほどのことでもないように思えます。
もっとも、0.005秒のズレというのは現行機種でのズレですので、ミラーレスが登場した当初はもっと大きなズレがありました。
もしかすると、その頃の「ミラーレスはタイミングがズレる」という悪い印象が残っているのかもしれません。
ところで、反射ミラーを介さなくともファインダー表示が遅れないのであれば、一眼レフの利点がないように思えます。
反射ミラーの役割は、他にはないのでしょうか?
実は、時間的ズレを克服したカメラメーカー各社がまだ乗り越えきっていない、もう1つの難関が残されているのです。
ミラーレスはピントが合わない!?
ミラーレスをはじめとする大多数のデジタルカメラは、レンズを通過した光が光学センサーへ向かって常時直接入ってきます。(なので、レンズを太陽に向け続けると、場合によってはセンサーが焦げます!!)
一方、一眼レフは反射ミラーがあるので、シャッターを切ったときのみ、レンズを通過した光が光学センサーに届きます。
この違いは、ファインダーに映る像以外に、写真を撮る際に大切なもう1つの要素に影響します。
それは、ピント合わせを行うAF(オートフォーカス)のシステムです。
一眼レフの反射ミラーはファインダーに繋がるペンタプリズムに向けて光を反射させていますが、そこにはピントが合っているかどうかを検知するセンサーも組み込まれています。(組み込み方は各社異なるので詳細割愛します)
このセンサーは一般的に「位相差AF」という高速かつ、動くものにもシビアにピントを合わせることが出来る仕組みを採用しています。
対して、反射ミラーを持たないデジタルカメラは、シャッターを切る前から光学センサーに届いている光を使ってピントが合っているかどうかを判断します。
これは「コントラストAF」という方式を採用することが多いのですが、位相差AFに比べるとピント合わせの速度が遅い傾向にあります。
コントラストAFは映像の世界でも多用されているので、ダメなシステムというわけではないのですが、位相差AFに比べると速度や精度の面で分が悪いのが現状です。
それ故に「ミラーレスはピントが合わない」という印象を持つ方も少なくありません。
動きの早い被写体を撮るなら、やはりミラーレス一眼よりもデジタル一眼レフ(デジイチ)のほうが安心感がある。構造的にデジイチとミラーレスではAFの構造が異なり、デジイチのほうが優れていると言われる。
ASCII.jp:動く被写体を撮るなら……デジイチ or ミラーレス一眼!? (1/5)|秋の風景を撮るのに適したデジカメはコレだ!
カメラメーカー各社とも、この問題に対しても様々な手法で対応を進めています。
コントラストAFであっても高速に処理する仕組みを開発したり、位相差AFの考え方を取り入れた「像面位相差AF」を可能にした光学センサーを開発したりと、一眼レフの位相差AFとの差はどんどん縮められています。
しかし、これまで一眼レフを開発してきたカメラメーカーのAFシステムにかける気合いと技術の蓄積はハンパなものではなく、例えばCanonのEOS 1D系を使った際のピント合わせの速度や動くものを追いかける性能は圧倒的です。EOS 1D系以外の一眼レフカメラも、各社ともよく練られたAFシステムを採用しています。
そうした技術面の長年の蓄積があるため、一眼 vs ミラーレスという観点では、まだ差を埋め切れていない部分があります。
ただ、これはファインダーの遅れ同様に技術進化で乗り越えれるので、時間の問題と言えますね。
それでも、ミラーレスではなく一眼を選ぶ理由
こうして見てみると、ミラーレスが登場して年数が経った今となっては、(AFシステムが優秀な機種であれば)ミラーレス機と一眼レフの間にはあまり差がなく、重くて大きな一眼レフを選ぶ理由がないように思えます。
それでも、コスプレ撮影だけでなく、数多くの撮影現場で一眼レフが使われています。
何故、一眼レフが選ばれるのでしょうか?
ここで、筆者がカメラに対して行った選択の話を少しだけさせてください。
私はこうして一眼を捨てた
筆者は過去8年ほど一眼レフを使い続けてきました。
コスプレイベントの取材だけでなく、音楽イベント・ライブ撮影、アイドルの宣材撮り、インタビューなど様々な現場のメインカメラとして、機動力のあるCanon EOS 5Dmk3を使っていましたが、先日これを手放しました。
途中、ミラーレスの代表格であるSONY NEX-5 (今はNEXシリーズは廃盤となり、αシリーズに統合されています)、Panasonic LUMIX LX3やFUJIFILM X20といった特徴のあるコンデジを併用してきましたが、メインカメラが一眼レフであることに代わりはありませんでした。
しかし、FUJIFILM X-E2というミラーレス機を手に入れてから「もしかしたら、メインとして使っていけるのでは?」と思い、徐々に出番を増やしていき、最終的には一眼レフを手放すに至りました。
X-E2は、フジフイルム伝統のフィルムの表現を再現したフィルムシミュレーションという機能と、これまた伝統のあるFUJINONレンズという極めて優秀なレンズを使うことが出来ます。さらに、軽量コンパクトなボディの中に、FUJIFUILM独自のX-Trans CMOSという光学センサーを備えており、デジタルカメラを構成するレンズ・センサー・ソフトウェア・ボディの4点がとても良く出来ているカメラなのです。
ただ1点、AFシステムがとんでもなくおバカ、という耐えがたい問題を抱えています。
EOS 5Dmk3と比べると遅く、なにより動くものに対しては致命的に弱いです。
飛行機関係の案件で空港を訪れることが度々あるのですが、滑走路の飛行機にピントを合わせ続けるのは筆者の腕では至難の業です。
裏を返すと、それだけEOSのAFが優秀ということでもあるのですが…。
それでも、EOSと対応レンズで組んだ撮影機材の半分程度の重量で、ディストーション(歪み)が驚くほど少ない最新のFUJINONレンズを使えるX-E2をなんとかメインに据えたいと試行錯誤を続けていました。
数日連続のイベント取材となると、ちょっとした重量の差が体力に与える影響は大きく、撮れ高にダイレクトに影響してきます。
また、個人的な好みの話で恐縮ですが、ディストーションの少ないレンズで撮った写真が好き、というのもあり、FUJINONレンズはまさにピッタリなのです。
より良い写真を撮るために、軽量な機材と優秀なレンズを使いたい…とひたすら考えていきました。
そして、ここではEOSじゃないと撮れないな〜、ここはX-E2で撮れるな〜、と現場毎にトライを繰り返していった結果、導き出した答えは
EOSのAFが必要な現場は担当しない!! X-E2一本で行く!!
というものです。
「機材優先って本末転倒でしょ。バカなの?」という声が聞こえてきそうですが、そう決めたんです。
何故なら、X-E2で撮った写真の方が、自他共に評価が高い写真が多かったから。
アレコレ考えても、結果が全てですから、覆しようがないわけです。
これは筆者の仕事はディレクションがメインであり、オールラウンダーなカメラマンとして仕事をしてるわけではないからこそ、選択することが出来たものでもあります。
これがもし、ライブも撮る、静物も撮る、ポートレートも撮る、F1レースや飛行機も撮る、という仕事のスタイルであればX-E2ではなくEOS優先にしていたはずです。
しかし、筆者の場合はX-E2で撮れない仕事は他のカメラマンに依頼する、という選択が出来るので、もう自分で撮らなくていいな、と考えたわけです。
機材優先で決めるあたり、機材ヲタから抜け切れていませんがw
少し、と言いながら長くなってしまいましたが、つまりは「自分は何を撮るのか・撮らないのか」という選択こそが機材の選択にとって重要なわけです。
こう書いてしまうと、当たり前のことを今さら何を言っているんだ、という感もありますが、この取捨選択の大切さを身をもって実感したので触れさせていただきました。
一眼レフ = 絶対に撮らなければならないからこその信頼性
閑話休題。
一眼レフの中でも中級機〜ハイエンドに位置づけられる機種に備わっている、超高速&高精度なAFシステムや高速シャッター、過酷な現場でもシャッターを切り続けられる耐候性・防塵防滴性能、数多くの現場のフィードバックから練られた操作性、といった高い機能性はどんな現場でも確実に撮れる、という信頼感があります。
刻一刻と状況が進む現場で「今の撮れてなかったのでやり直しお願いしま〜す」なんてわけにはいきません。
この信頼性こそが、一眼レフを選ぶ最大の理由と言えるでしょう。
かといって、ミラーレスやコンデジには信頼性がない、ということではありません。普通に使っている分には何の問題もなく写真を撮れます。南極でミラーレスだけで撮影をしている写真家のかたもいらっしゃるくらいです。
言い換えれば、一眼レフには過剰なまでの信頼性がある、ということですね。逃すわけにはいかないシーンで、圧倒的な信頼性が必要、と考えるのであれば中級機以上の一眼レフが最適な選択肢になります。
ならば、どうやってカメラを選べばいいのか
ミラーレスかどうかにかかわらず、デジタルカメラは大雑把に言って
- レンズ
- センサー
- ソフトウェア
- 全てを支えるボディ
の4点で構成されています。
一眼レフの上位機種は衝撃に強く、水滴がかかったくらいでは壊れない構造になっているものが多く、重量もそれだけ重めです。
そうした重いボディとバランスを取る、というわけではありませんが、重量よりも光学性能を純粋に優先したレンズが数多く存在します。「そもそも重いんだから、重量無視して突き詰めるぞ!!!」という話があったかなかったかは分かりませんが、良いレンズは大きい・重い・高い、が通例です。
対して、ミラーレスのレンズには、良く撮れる上に軽量コンパクトというものが多数存在します。
先ほど挙げたFUJINONレンズ(XFシリーズ)のように、コンパクトなのに一眼レフ向けのレンズを超える驚異的な光学性能をもった優れた設計のレンズ(あくまで筆者個人の評価ですよ!!)もあり、決して写りが二の次ということではありませんが、比較的コンパクトなものが多くなっています。
この違いにはセンサーのサイズによるところも大きく、一眼レフの上位機種に採用される「フルサイズ」と呼ばれるサイズのセンサーよりも、ミラーレス機に多く採用されている「APS-C」「フォーサーズ」というセンサーのほうがサイズが小さくなっており、それに合わせてレンズも小さく出来るという利点が効いています。
結果、一眼レフ向けの高性能なレンズは大きく重く、ミラーレスのレンズは軽量コンパクトな傾向にありますが、一概に言い切れないのが難しいところです。
実際、SONY α7シリーズはミラーレス機ですが、ミラーレスの構造でフルサイズのセンサーを採用しているので、α7シリーズ用のレンズは他の一眼レフ向けのレンズとかわらない重量バランスに落ち着いています。
先に挙げたデジタルカメラを構成する4点のうち、レンズだけとってみようとしても、このようにセンサーと切り離して考えることが出来ず、複雑であることがわかります。
同様に、センサーにおいても、ローパスフィルタの有無、センサーの部品であるCMOSの性能、画素数、センサーサイズなどなど…といった要素があり、さらにセンサーが受け取った光をソフトウェアがどう処理するかによって、一概にどれが良いとは言い切れない関係にあります。
例えば、高画素になればなるほど暗い場所のノイズがキツくなる、というカメラマンにとっては常識の話があります。
これは光学センサーの画素密度を上げる(高画素化をする)と、センサーが熱を持ちやすくなりノイズが増えることと、1つ1つの画素が小さくなったことで受け取れる光の量が減少するのを補っていることでノイズが発生する、という2つの要因が影響しています。
ところがなんと、SONYの最新機種であるα7RIIでは4200万画素の高画素センサーにも関わらず、同じSONYの機種で1220万画素まで減らして低ノイズをウリにしたα7Sに肉薄するノイズの少なさを実現しています。
いくつかのレビューで、動画や同サイズの縮小画像での比較では「α7R II の高感度はα7Sといい勝負」というテスト結果が出ていますが、DxOのスコアでも、α7R II の高感度はα7Sに迫っていますね。
こうなると、今までの常識が覆されるわけですから、何が何だか分かりません。
ただ、確実に言えるのは、今のデジタルカメラは技術進化の恩恵を受けて、スマホ並みのスピードで高速進化を繰り返しているので、今までの通例・常識がひっくり返るのも早い、ということです。
かつて、AppleのCEOであったSteve Jobsは「誰がスマホやタブレットにスタイラス(タッチペン)を必要とするんじゃボケェ(意訳)」と言い放ちましたが、先日発表されたiPad ProのためにAppleはスタイラスを用意しており、その使いやすさは各種メディアで報じられているとおりです。
これは、Jobsの考えが間違っていたのではなく、「書こうと思って画面に手をついたら、ペンじゃなくて手のひらに反応して上手く書けない」「書いてるんだけど、反応する時としない時があって線が途切れる」「ガラスの画面だと、書いてる感じがしなくて気持ち悪い」といった具合にちょっと前まで使いにくかったスタイラスが、センサー周りの進化によって十分に使いやすいものになった、ということの結果です。
ちょっと前まで、4Kの動画を撮れるカメラは業務用で100万円コースでしたが、今日ではスマホで撮ることが出来るようになりました。
間もなく、スマホの液晶画面も4KのものがSONY Xperia Z5 Premiumとして登場します。
デジタルカメラも、スマホと同じデジタル機器の世界ですから、ものすごい速度で進化をしています。
そんな世界では、過去にとらわれるのではなくて、新しい常識に乗っかることが正しい選択と言えるでしょう。
過去実績の蓄積には説得力があります。しかし、技術進化によって古くなってしまった実績を信じるのは、ただの思い込みでしかありません。
「ミラーレスお断り」という言葉も、そうした思い込みから生まれたのかもしれません。
もちろん、機材の特性に関わる要因だけでは見えてこない社会学的テーマもありそうですが、撮影機材としては既に書いたとおり一眼レフに対するミラーレスのネガティブな要素は克服されつつあります。
そうした思い込みの罠にはまらないためには、実際に触れて自分で使ってみるのが一番です。
とはいえ、デジタルカメラは高価ですから、そうホイホイと買って試せるものではありません。
住んでいる場所によっては、店頭で試そうにもたくさんの機種を置いているお店が近くにない、ということもあるかもしれません。
その時は「自分は何を撮るのか・撮らないのか」を見極めて「それに必要なレンズ・センサー・ソフトウェア・ボディな何か」を絞り込んでいくことが近道であるように思います。
何をどうやって撮るのか、どんな写真に仕上げるのか。そのためには何が必要なのか。
それを徹底的に考え抜いて選んだカメラで、それを選んだカメラマンが撮るのであれば、被写体にとって失礼ということは決して無いと思います。
…なんていう話を書いたところで、もっと精緻でスマートな文章が35年前に書かれていたことを思い出し、頭が良い人には勝てんな〜、と途方に暮れつつ公開ボタンをポチッと。
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