財務省が、消費税率10%引き上げに合わせて提示した「日本型軽減税率制度」案が、袋だたきにあっている。同省は10日に開かれた自公与党の検討委員会でも説明したが、与党内から異論が噴出しているのだ。首相官邸にも慎重論がくすぶっており、撤回に追い込まれる可能性が出てきた。
「軽減税率の課題を克服する議論のたたき台として出した」「消費者の利便性や事業者への対応など、さまざまな意見が出るのは当然で、多角的な検討があると思う」
麻生太郎財務相は11日午前の記者会見で、財務省案について、こう語った。いつもの自信満々という態度ではなかった。
それもそのはず、10日に開かれた検討委員会後の記者会見で、公明党税制調査会の斉藤鉄夫会長は「(軽減税率導入の)与党合意と整合しているのかを含め、党内でも議論を進めたい」と、財務省案への慎重姿勢を強調したのだ。出席者によると、公明党側からは、制度を疑問視する意見が相次いだという。
財務省案は、買い物時に消費者が10%分を支払い、「酒類を除く飲食料品」に関して、後から2%分を払い戻す仕組みだ。マイナンバー制度で希望者に配られる個人番号カードを、会計のたびに小売店や飲食店の端末にかざす必要があり、日常の買い物が煩雑になるなどの懸念がある。
そもそも、この案が持ち出された背景には、生活必需品などの税率を低くする軽減税率の議論の行き詰まりがあった。