安保法制:安倍首相「元最高裁長官は今や一私人」

毎日新聞 2015年09月11日 20時44分

 ◇山口・元長官が集団的自衛権の行使は「憲法違反」と指摘

 安倍晋三首相は11日の参院平和安全法制特別委員会の集中審議で、元最高裁長官の山口繁氏が、集団的自衛権の行使は「憲法違反」と指摘していることについて、「今や一私人になられている方について、いちいちコメントするのは差し控える」と述べた。政府は最高裁の砂川事件判決(1959年)を集団的自衛権の行使容認の合憲性の根拠の一部としているが、元最高裁長官を「一私人」としたことに、野党側の反発が強まる可能性がある。社民党の吉田忠智氏への答弁。

 山口氏は共同通信のインタビューに対し、「集団的自衛権の行使を認める立法は憲法違反と言わざるを得ない」と指摘。砂川判決も「集団的自衛権を意識して判決が書かれたとは到底考えられない」との認識を示していた。首相はこれに対し「最高裁判決の範囲内のもので、違憲との批判は当たらない」と述べた。

 首相はまた、集団的自衛権行使の「具体例」としてきた中東・ホルムズ海峡の機雷除去に関し「海峡を迂回(うかい)するパイプラインは存在する」と答弁する一方、「海峡が封鎖されれば世界各国から(パイプラインの)利用要望が殺到し、我が国が十分な量の原油を輸入することは極めて困難になる」と指摘。海峡が機雷で封鎖された場合は「日本の存立が脅かされる明白な危険」が発生し、集団的自衛権行使による機雷掃海を行う必要性を強調した。

 また、国連の潘基文(バン・キムン)事務総長が中国の抗日戦争勝利70周年の記念行事に出席したことについて「極めて残念だ」と述べた。【青木純、飼手勇介】

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