東日本豪雨:3人死亡26人不明 宮城でも堤防決壊

毎日新聞 2015年09月11日 09時57分(最終更新 09月11日 13時48分)

流され大破した乗用車の間を捜索する警察官ら=茨城県常総市で、後藤由耶撮影
流され大破した乗用車の間を捜索する警察官ら=茨城県常総市で、後藤由耶撮影
冠水した道路にボートを浮かべ、救助を求める人がいないか調べる消防隊員=宮城県大崎市で、佐々木順一撮影
冠水した道路にボートを浮かべ、救助を求める人がいないか調べる消防隊員=宮城県大崎市で、佐々木順一撮影

 ◇豪雨被害甚大

 台風18号から変わった温帯低気圧と日本の東を北上する台風17号の影響で記録的な豪雨となり、鬼怒川が決壊した茨城県常総市で11日、行方不明者は25人になったと市が明らかにした。8歳の子供2人が含まれるという。また気象庁は同日午前3時20分、新たに宮城県に大雨の特別警報を発表。県北部の大崎市で川の堤防が決壊するなど浸水被害が相次ぎ、栗原市で1人が死亡、1人が行方不明となっている。

 このほか、栃木県鹿沼市の土砂崩れで行方不明になっていた女性が発見され、死亡を確認。同県日光市で排水用土管に吸い込まれ重体だった男性も死亡した。

 常総市によると、11日正午現在で市内32カ所に5519人が避難。東部地区の全1万1664世帯で停電・断水が続いている。県警によると、決壊現場周辺などで救助されたのは午前11時現在、221人となった。ただ、多くの人が避難している地域交流センター周辺は水が引き始め、孤立状態は解消する見込みになっている。自衛隊も常総市と結城市で午前10時までに約470人を救助した。

 一方、大崎市などによると、渋井川が同市古川西荒井地区の3カ所で決壊、浸水域は約21平方キロに及んでいる。決壊は午前4時半〜5時ごろとみられ、同地区の20〜30人が孤立。県西部の大和(たいわ)町でも吉田川の水が堤防を越え、午前8時半現在で30人近くが取り残されている。栗原市や県警によると、同市金成大原木の三迫(さんはさま)川付近の道路で、水没した車の中にいた女性(48)が死亡。同市栗駒稲屋敷では、男性(62)から「車から出られない」と通報があり、消防車が駆けつけたが、車はなくなっていた。

 さらに岩手県でも、北上市の県道が崖崩れで通行止めになり、夏油温泉で観光客ら66人が孤立している。

 宮城県は午前2時半に、住民が孤立しているとの情報がある栃木県も同9時に、自衛隊に災害派遣を要請した。

 気象庁によると、雨が降り始めた6日午前0時から11日午前11時までの東北各地の総雨量は、宮城県丸森町573ミリ▽福島県川内村496.5ミリ▽仙台市433ミリ。同庁は11日朝までに栃木、茨城県の特別警報を解除した。

 気象庁気象研究所(茨城県つくば市)の津口裕茂研究官は「積乱雲が帯状に連なり、大雨をもたらす線状降水帯が関東で9日に発生し、東北に移動した。今も存在しており、これほどの長期間、規模になるのは極めて珍しい。線状降水帯と台風17号は北上する見通しで、北海道では12日朝まで警戒してほしい」と話した。

 菅義偉官房長官は11日午前の記者会見で、今回の被害に対する激甚災害指定について「当然そういう方向になるのではないか」と述べ、検討する考えを示した。また政府は被害状況把握のため、赤沢亮正・副内閣相を長とする政府調査団を栃木、茨城両県に派遣した。【狩野智彦、山本有紀、千葉紀和、長谷川豊】

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