関東全域、特に栃木・茨城、そして宮城に大雨による堤防決壊と洪水が発生して大変なことになっています。この長い雨をもたらした線状の降水帯は、台風17号と18号の二つの台風のはざまで長い時間停滞していました。
異常気象をもたらす大気ブロッキング
まず、今回の雨をもたらした状況に、二つの台風があります。
気象庁によると、東海―北陸地方を縦断し9日に日本海に抜けて台風18号から変わった低気圧に向け、南西から暖かく湿った空気が大量に流れ込んだ。そこに、日本の東側の太平洋にある台風17号を取り巻く東からの湿った風が衝突。行き場がなくなった空気が上昇し、積乱雲を発達させた。
東からの風が、南西からの空気の流れを押しとどめる形になったことで、大雨が降る範囲は広がらず、東西約100~200キロの幅に収まった。このことも雨が激しくなった一因だ。積乱雲は南北の帯状にずらりと並び、鬼怒川の流域とほぼ重なった。
豪雨の帯、なぜ居座ったのか 二つの湿った空気ぶつかる(asahi.com)
一般に、空気の流れと空気の流れが一箇所に集まることを収束といって、収束が起こると空気は地表から上空に逃げます。上昇気流ですから雲が発生し、地表付近の膨大な水蒸気は凝結して雨となるわけです。台風ほどの強い運動量と水蒸気をもった場が東西に並んでいたので、収束は非常に強くなったわけです。
しかしこの状況が長く続いたのには、もう一つの原因がどうもありそうにみえます。下流のブロッキングです。ブロッキング、あるいは大気ブロッキングは、中・高緯度に高気圧が居座り、長い時間同じ場所に停滞することを指します。ふつうは偏西風にともなって大気現象は西から東に移動するのですが、ブロッキングはこうした上流からの流れを飲み込みながら安定して同じ場所に停滞します。同じ場所に長い時間居座るということは、雨なら雨が長く続き、寒さなら寒さが長く続くわけですので、普通ならただの雨ですむ現象が異常気象となる原因になります。そういう意味で、ブロッキングは異常気象と切り離せない話題になっています。