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【茨城】安保関連法案 保守系地方議員も懸念 「都合よく憲法解釈」集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障関連法案の審議が参議院で進む中、県内の保守系地方議員からも懸念や批判の声が上がり始めた。11法案を一括して今国会で成立させようとする安倍政権の姿勢を、議員らは「強引すぎる。国民をないがしろにしている」と危ぶむ。 (妹尾聡太) 「平和憲法が揺らいでいる。憲法解釈の手法が強引。都合よく解釈でき、姑息(こそく)だ。必要なら手順を踏んで、正々堂々と改正すべきだ」 八月二十七日に行われた県の戦没者追悼式。遺族代表で東海村議の豊島寛一さん(70)は、追悼の辞の中でこう語った。遺族会と自民党のつながりは深く、発言は異例だ。 豊島さんは「自民党は耳が痛いだろうが、遺族だからこそ正直に思いを述べたかった」と決意を明かす。その後も批判はなく、むしろ「よく言ってくれた」と感謝する電話を受け、国会議員からも「感銘した」とメールが届いた。人づてに、ある自民党の県議が「私にはあそこまで言えない」と話していたとも耳にした。「上層部に選挙の公認権を押さえられているから、言いたくても言えないのだろう」と同情する。 自身も六年ほど前まで自民党籍があった。「今も根っこには自民の考え方がある。時代に合った憲法改正は必要だろう」。だが、安倍政権には「決めたことを強引に進めているだけ。米国で法案成立を約束するなど国民、国会を軽視している」と憤る。 ■ ■筑西市議で自民党員の小島(おじま)信一さん(58)も、安保法案に異を唱える一人だ。昨年、閣議決定で集団的自衛権を限定容認したことには賛成していた。しかし、今回の法案には「今までこつこつ積み上げてきた安全保障、国際平和貢献の論議を壊してしまう」と危機感を強めている。 法案には三つの問題があると指摘する。(1)集団的自衛権から地理的な制約がなくなったこと(2)米軍が始める戦争に加担する恐れがあること(3)十の改正法と一つの新法を一括して審議していること−。「どの法案も国会が空転するほど重要なのに急ぎすぎている。成立しても運用すべきでないと言いたい」 六月定例市議会で、安保法案の慎重審議を求める意見書案(反対多数で否決)に賛成したが、そうした行動に特に批判はないという。今月十二日には法案反対の集会にも参加する。「『戦争法案』と呼ぶことには同意しないが、国民が関心を失わないように、安全保障の議論を続けなければ」 ◆下妻では元高校教諭ら学習会下妻市の元高校教諭らが中心になり、安全保障関連法案の廃案を目指して20日、同市のビアスパークしもつまで学習会を開き、市民グループ「平和の会しもつま」(仮称)を結成する。 当日は午後1時半から、憲法が専門の茨城大名誉教授の田村武夫氏が「自衛でなく他衛で若者を殺していいのか」と題して講演した後、質疑応答を行う。 呼び掛け人は「安倍首相の戦争志向の政策・政権運営に危機感を抱いて反対や疑問の声を上げる人が増えている。下妻の地から行動を起こしたい」と話している。今後、県内の護憲グループなどと連携して運動を広めていく。 (原田拓哉) PR情報
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