九州旅客鉄道(JR九州)は10日、豪華寝台列車「ななつ星in九州」に新たな運行ルートを加えると発表した。鹿児島県と熊本県の海沿いを走る第三セクター、肥薩おれんじ鉄道の路線を経由して3泊4日で九州を1周する。JR九州に続き豪華列車の運行を計画する鉄道会社もある。東シナ海を臨む新たな風景を用意し、沿線自治体とも連携して地域の魅力を引き上げ競争力を高める。
新ルートの運行は2016年4月からで、おれんじ鉄道の川内駅(鹿児島県薩摩川内市)と八代駅(熊本県八代市)の間を含む。ななつ星がJR以外の路線を走るのは初めて。地元の食材を使った料理を提供し、季節によっては車窓から海に沈む夕日を楽しめる。
新ルートで運行する16年4~9月分の申し込みは10月1日から11月30日まで受け付ける。従来の3泊4日コースより1割ほど値上げしており、料金は最低で1人53万円。
運行開始から約2年となるななつ星は、いまだに予約の倍率が30倍を超える人気が続いており、海外からの注目も高い。一方でリピーターも増えていることから新ルートを追加することにした。
人気列車の運行は地域振興に向け国内外からの誘客に期待する自治体には追い風になりそうだ。JR九州の青柳俊彦社長は「ななつ星をきっかけに地元の人が沿線のよいところを磨き世界に発信してほしい」と話す。
おれんじ鉄道は九州新幹線の部分開業に伴い、04年に並行在来線を引き継いだ。沿線の人口減で経営環境は厳しく、レストラン列車など観光による集客を進めている。ななつ星の運行について同社の淵脇哲朗社長は「(沿線風景などが)一流と認めてもらった。計り知れない効果だ」と話す。
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