「よくわからない造り手?」 いいえ、そんなはずはありません。
大勢が知る『あのワイン』を日本市場に広めた実力者が手掛ける新機軸
さすがの手腕発揮で新たな『安旨ピノ王者』の称号も目前です。
《ブロック・ナイン》 ピノ・ノワール "ケイデンズ・ヴィンヤーズ" カリフォルニア
Block Nine Pinot Noir Caiden's Vineyards, California 750ml
■ ブロックナインが手掛けるはこの一種、ピノノワールのみ。
だと言うのに、パーカーさんは「ラリー・レヴィンのワインは一貫して...」と述べます。
つじつまが合わないような・・・?
実はそんなこともありません。
ラリー・レヴィン氏が造るワインとは、過去より日本のマーケットでも幅広い支持を得ています。
■ ヘッドワインメーカーとして、ラリー・レヴィンが長く造り続けたワインとはフランシスカン。 1998年よりフランシスカンのワイン造りに携わり、2000年代初頭から10年程の間に日本市場で急激に認知を増したフランシスカンの各種は、氏が醸造部門のトップとして手掛けたものです。 |
ムートンと対等にオーパス・ワンの株式を保有する一大酒類資本にコンステレーション・ブランズがあります。そのファインワイン部門は「アイコン・エステーツ」(Icon Estates)と称され、傘下には、シミーやレイヴェンスウッドにロバート・モンダヴィ等も加わる中、フランシスカンもまたその一員。アイコン・エステーツにはグループの統括を担う「ワイン醸造部門代表の副社長」(Vice President of Winemaking)のポストが設けられますが、その座に長く就いた人物もラリー・レヴィン(Larry Levin)。今でこそ広く知られるフランシスカンですが、“お値打ちナパ決定版”としてその名を響き渡らせた理由は、「価格不相応」とも言える高いクオリティに他ならぬ筈であり、それをワイン造りの最前線から支えた前醸造責任者としても氏の名が挙げられます。
■ 葡萄品種は違えども、氏が自ら起こした新レーベルでも往時のコンセプトが踏襲され、価格帯で最も難しい品種の一つ(ピノノワール)に対しても、費用対効果の高いワインが実現されました。
《ブロック・ナイン》 ピノ・ノワール "ケイデンズ・ヴィンヤーズ" カリフォルニア
ワインアドヴォケイト誌(パーカー)にワインエンスージアスト誌でも大きく讃えられる中、そのキャラクターに的を得る最たるレビューがWE誌によるのもの。次のように述べられます。
「上品でクラシックなフレンチオークと赤いチェリーのアロマ。ラズベリーのフレーバーと快活な酸味に質感の良いタンニンがしっかりと組み合わさる理想的にバランスのとれたワイン。競合他社の多くよりもやや抑制的である中、ピンと張りのある釣り合いと食欲をそそるテクスチャーは、一層と魅力的なものである。」 (WE誌ジム・ゴードン -2015/05/01/-)
端的に表されていると思います。過不足のない果実感に口中に触れる肌合いの良さが特に見事であり、舌触りと喉越しにおける滑らかさはこの価格帯では滅多に出会えぬ水準にあります。「ミディアムボディであるからこそ」の魅力がふんだんに備わるピノであり、この品種にとっては生来の持ち味であるスミレやイチゴのアロマに加え、熟成香にも似る紅茶葉様の香りに魅力が一段と引き立てられています。
あろうことかこの価格でフレンチオーク樽熟成×100%。もちろんピノノワール×100%です。お見事!
【品種構成】ピノノワール100% Pinot Noir 【原産地呼称】米国>カリフォルニア州|California, USA 【タイプ】[赤] ミディアムボディ Medium 【内容量】750ml |
【PS】 ブロックナインのワイナリー所在はナパ・ヴァレーのセントヘレナ地区。ラリー・レヴィン氏が居を構える処でもあり、ラベル表記にある“ケイデンズ”(Caden's)なる畑はその裏庭にあるそうです。ナパ・ヴァレー産のみでこの価格はおろか量を賄える筈もないとの思いからインポーターに尋ねたところ、「ナパヴァレー産と共に他地区の果実もブレンドされる。」と報告されました。ついては“Vineyards”(複数形)となる次第です。
■ ラリー・レヴィン - Larry Levin - & ブロックナイン - Block Nine Wine -
日本を始めとしてフランシスカンに人気をもたらした最大功労者としてばかりでなく、ラリー・レヴィン氏のキャリアは実に輝かしいものです。世界有数のワインシンクタンクでもあるUCデイヴィス(カリフォルニア大学デービス校)でワイン醸造学の学位を修了。後に質実剛健の造りをソノマで続けるドライクリーク・ヴィンヤードにて17年を過ごし、ニュージーランド、チリ、オーストラリアでもワイン造りに携わります。籍を置いた先の中からとりわけ注目すべきは、それらやフランシスカンのみではありません。歴史的なマウント・ヴィーダー・ワイナリーもその一つ。(ハイツ・セラーズの設立に立ち会いマーサズ・ヴィンヤードを設けたバーナード・ローデス博士がボルドー品種のクローンを求めた「バーンスタイン・ヴィンヤード」(Bernstein)の所有者であり、原産地呼称としての「マウント・ヴィーダーAVA」を冠した初のワイナリー) 他にもナパの高級生産者であるクインテッサや、先述のアイコン・エステーツ傘下にあるロバート・モンダヴィ、エスタンシアにおいても醸造部門の重責を担いました。